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魔法なき世界の異端魔導士 ~冤罪で捕まりかけた大魔導士は異世界で自由気ままに旅をします~  作者: 出雲大吉
第3章

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第119話 イレーネさんがご主人様キラーになっちゃいました


「今何時だ?」


 イレーネに聞く。


「14時半」


 今から森に戻る時間でもないか。


「ギルドに行こう」

「そうね」


 東門をあとにすると、すぐそばにあるギルドに入る。

 そして、右端のブリジットのもとに向かった。


「あれ? 依頼は? もう終わったんですか?」

「終わったわね」


 今日もブリジットの対応はイレーネだ。


「何かありました?」

「演習ということでライオネル様が色々と考えておられてね……昨日から寝てない兵士を連れてきたんだけど、昼でギブアップ」

「またすごいことしますね……あそこも危ない森なんですけど……」


 ホントにな。


「それでも犠牲はなかったし、実りのある演習だってさ。早くなっちゃったけど、私達も何も問題ないし、満額もらえって」


 ライオネルからもらった書類をカウンターに置いた。


「まあ、依頼主が良いならそれで構いませんが……」


 ブリジットが書類を確認していく。


「あ、それと魔石ね」


 リーエがゾンビとオークの魔石をカウンターに置いた。


「わかりました。では、依頼達成ということで処理します。少々、お待ちください」


 ブリジットが書類と魔石を持って、奥に行った。


「ランクアップはなしか」


 ちょっと期待していたんだが。


「さすがにね。でも、今回の評価ポイントは大きいと思うわ」


 話をしていると、すぐにブリジットが戻ってくる。


「お待たせしました。依頼料が40万ソル、ゾンビの魔石が8000ソル、オークの魔石が5万ソルで合計45万8000ソルになります」


 ブリジットがトレイを置いたので金を取り、イレーネと分ける。


「良い仕事だったわ」

「こちらとしても問題なく終わって良かったです。明日からはどうされますか?」

「正直、今日は消化不良だし、明日も森に行くと思うわ」


 まあ、行くな。


「わかりました。頑張ってください」

「ええ」


 あ、そうだ。


「ブリジット、頼みたいことがあるんだが、良いだろうか?」

「ん? 何でしょう?」

「実はこの手紙をCランク冒険者のベッキー・グッドウィンという女性に届けてほしいんだ」

「おや? ラブレターですか?」


 イレーネの前で言うかね?


「違う。ベッキー宛だが、本当は一緒にいるトレイシー教授宛てだ」

「届けるのは良いですが、どこにいるかわかりますか? まさかダニア大陸ですか? 結構な料金がかかりますけど」


 ダリアがそう言ってたな。


「いや、マルーン王国にいるはずだ。同じタイミングでダニア大陸を出たからまだいると思う。ただ、どこにいるのかはわからない」

「隣の国ですね……わかりました。2万ソルかかりますけど、よろしいですか?」


 高いな、おい。

 まあ、銃をもらったことを考えれば安いくらいだけど。


「ああ。頼む」


 財布から2万ソルを取り、トレイに置く。


「ベッキーさん宛てに何かメッセージでも添えますか?」

「こっちは元気でやってるとだけ」


 それで十分だろう。


「わかりました。では、マルーン王国のギルドに連絡し、ベッキーさん宛てに送っておきます。ちょっと時間がかかるかもしれませんが、それはご承知ください」

「ああ。大丈夫だ」


 別に急いでいないし。


「じゃあ、私達はこれで帰るわ」

「はい。お疲れさまでした」


 俺達はギルドをあとにすると、宿屋に戻った。

 そして、リーエが淹れてくれたお茶で一息つく。


「問題なく終わったな」

「ええ。私達はね」


 兵士達は問題ばっかりだったな。

 まあ、一言で言えば寝不足だが。


「兵士も大変だ」

「仕官はどう?」

「ない。悪くない貴族だが、ちょっと真面目すぎるし、割を食いそうだ。それに女性関係が怪しい」

「ヴェルナーは私のことが好きだから心配よね」


 イレーネがそう言って、手を握ってきた。

 なんというか、本当に手を握るのが好きのようだ。

 俺もだけど。


「だからイレーネに戦うなって伝えたんだよ」

「あー、それそれ。あれは何? 急に頭の中でリーエの声が聞こえてきたからびっくりしちゃったわよ」

「念話だな。そういう魔法だ」


 俺とリーエはたまに使っている。


「そういうのもあるわけね」

「こうやって接触しているとやりやすいぞ。脳内の言葉を魔力に込め、相手に流すイメージだ」


 実際に流してみるか。


『今日は肉と魚、どっちにする?』


「魚が良いかな……ヴェルナーさー、そこは愛の言葉を囁くところじゃない?」


 ちょっと思ったけど、恥ずかしかったんだよ。


「悪いな。でもまあ、こんな感じでやるんだ」

「ふーん……」


 イレーネが魔力を動かし始めた。


『トランプする?』


 愛の言葉じゃない……


「するけど……いや、愛の言葉は?」

「それはまた今度ね……」


 イレーネが人差し指を俺の唇に当て、ウィンクをした。

 これを食らって、惚れない男はいないと思う。


「ああ……」

「よし、トランプよ。夕食までめちゃくちゃ時間があるじゃないの」

「そうだな」


 俺達は夕食の時間までトランプをして過ごしていった。

 そして、夕方になると、魚料理を食べる。


「今日の稼ぎでいくらになったんだっけ?」

「えーっと、120万ソルを超えていると思う」

「軽く大台を超えたわね……明日も森で良い?」

「ああ。200万ソルを目指して、やろうじゃないか。多分、そのくらいにCランクになってるだろ」

「じゃあ、やっていきましょう」


 俺達はやる気を出し、夕食を食べていった。

 しかし、ホムンクルスちゃんや、空気を読んでだんまりになるんじゃない。


お読み頂き、ありがとうございます。

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