第115話 今日も早めに寝ましょう
「防御結界は問題ありませんね。銃弾も防げます」
リーエがしれっとした顔で言う。
「そうだな。これで何かあっても防げる」
「でもさー、魔法ってバレない?」
「バレても良い。銃を向けてきた時点で敵だ」
殺す。
撃っていいのは撃たれる覚悟のある奴だけだ。
「それもそっか。まあ、ためらわないわね」
「そういうことだ。じゃあ、検証はこれでいい。狩りを再開しよう」
「ええ」
その後、本格的に狩りを始めていく。
今回は大物だけじゃなく、ゾンビやウルフなんかも積極的に倒していき、魔石を回収した。
昼になり、昼食を食べた後も狩りを続けたが、15時を過ぎた辺りで森をあとにすると、町に戻る。
そして、ギルドに入ると、やはり人が少なく、右端にブリジットがいたのでそちらに向かった。
「こんにちは。なんか御二人に依頼が来てますけど……」
ブリジットが苦笑いを浮かべる。
「それは後ね。まずは精算をお願い」
「わかりました。それでは魔石をお願いします」
ブリジットがそう言うと、リーエが魔石を置いていく。
「今日は薬草と毒切草はないから」
「ええ。当分は昨日の分で大丈夫なので問題ありません。しかし、今日は多いですね」
ブリジットがカウンターの上にある魔石を籠に詰めながら呆れる。
「今日は頑張ったから」
「なんかもうランクに関係なく依頼を回した方が良い気がしてきますね。まあ、そういうわけにもいかないんですが……では、精算してきます」
籠に詰め終えたブリジットが奥に向かう。
「なあ、やっぱりランクを上げないと実力があっても依頼って回ってこないのか?」
「ギルドが認めても依頼主が認めないケースもあるのよ。そもそもギルドが認めるっていうのがランクだからね。難しいところなのよ」
ギルド側も絶対に二重登録って思っているだろうが、規定は規定か。
ギルドは実績を重視しているから仕方がないだろう。
俺達が待っていると、ブリジットが戻ってくる。
「いやー、すごいですね。めんどくさいので詳細は明細書を見てください。とにかく、28万6000ソルです」
「どうも」
イレーネと金を分けると、財布に入れる。
「それで依頼なんですけど……」
「あー、それね。ギルマーティン伯爵家のおぼっちゃまから来た?」
「ええ。おぼっちゃまはどうかと思いますが、ライオネル・ギルマーティン様から指名依頼が来ています。どうしたんですか? あなた達、この前、ここに来たばかりですよね?」
普通に考えたらありえないな。
「ほら、図書館に行くって言ってたでしょ? その時に会ったのよ」
「あー、なるほど。確かに貴族の方は図書館を利用されるイメージがありますね。じゃあ、図書館は利用できたんですか?」
「そこよ、そこ。冒険者はCランク以上だってさ。受付で止められたのよ」
「あー……Cランクですか……うーん……もうちょっと頑張ってください」
もうちょっと頑張ればCランクになれるらしい。
そのもうちょっとの詳細を聞きたいが。
「そういう話を受付でしてたらそのおぼっちゃまが来たのよ。それで話をしていたらなんか10日後、いや、9日後か。9日後に遠征をするから明後日のその演習についてこいって言われたわけ」
「なるほど……それで森での護衛依頼になっているわけですか」
護衛?
「護衛って感じじゃないと思うけど……向こうも兵を連れていくと思うし、どちらかというと同行よ?」
「同行と護衛では護衛の方が評価が高いんですよ」
あー、ライオネルの配慮か。
「あの人、なんかすごく良い人なのよね」
「ギルマーティン家は評判の良い家です。ギルマーティン伯爵は正義感の強い人で有名ですね」
ライオネルは良い家で良い教育を受けて育ったんだな。
それでもちゃっかり愛人を作っているのは貴族のご愛嬌か?
「まあ、そういうわけで指名依頼が来ているわけよ」
「なるほど……あんまり良くないですし、他の高ランク冒険者を回したいんですけど、まあ、そちらが取ってきた仕事ですので何も言いません」
結構、言ってるけどな。
「大丈夫よ。貴族を相手にするのも慣れてるし」
「そうですか……じゃあ、まあ、お願いします。料金は40万ソル、仕事内容は護衛と魔物狩り、場所は東の大森林、朝の7時に東門に集合です」
40万ソルもくれるのか……貴族ってすごいな。
「了解。じゃあ、明後日に行ってくるわ」
「失礼のないようにお願いしますね」
「わかってるわよ」
俺達はギルドをあとにすると、宿屋に戻った。
そして、いつものように順番で風呂に入ると、部屋でゆっくりする。
「良い依頼ですね。40万ソルです」
「さすがは貴族って感じね。これでいくらになる?」
「今日の儲けで80万ソル弱になっています。魔石次第では120万ソルを超えるかと……」
あっという間だな。
この前までは80万ソルを貯めるのに苦労していたというのに。
やはり儲かる町で腰を据えてやると違うな。
「目標額を上方修正した方が良さそうね……よし、200万ソルにしましょう」
良いと思う。
「どんどん貯めていきましょう。それで明日ですけど、どうしますか?」
「ああ。それなんだが、明日は休みにしないか? 連続で森に行っているし、明後日は仕事だ」
「良いんじゃない?」
「私も賛成です。英気を養うべきでしょう」
2人が頷く。
「じゃあ、そうしよう。俺も報告書を書いてしまいたいんだ」
銃のやつね。
「あー、それがあったわね。了解。私はエンチャントの練習でもしようかな。あとトランプ」
「良いと思います」
「よし、そうしましょう。これ、旦那。イレーネさんの手が空いてるわよ」
はいはい。
俺達は夕食を食べると、トランプや魔法の練習をし、ちょっとしてから就寝した。
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