第114話 ノリで……
翌朝、リーエに起こしてもらった俺達はシャワーを浴び、朝食を食べる。
「今日はどうします? 大物狙いですか? いっぱい狩りますか?」
リーエが聞いてくる。
「そうだなー……ある程度は狩りたいな。でも、ゴブリンとコボルトは無視で良いと思う」
「私もそれが良いと思うわ。大物を探しつつ、コスパの良い獲物も狙っていきましょう」
「では、そのように」
リーエが頷いた。
「あ、それとだが、今日は最初に銃の確認をしたい」
「教授からもらったやつ?」
「ああ。報告書を頼まれているし、俺もちょっと気になるから試してみたい」
「良いわね。でも、防御魔法の確認とかで撃ってみろって言われても嫌よ」
それの確認も考えていたんだが……
リーエに頼むか。
朝食を食べ終えると、準備をし、1階に下りた。
受付で弁当を受け取り、今日も泊まることを伝えると、宿屋を出て、東門に向かう。
そして、町を出ると、そのまま歩いていき、森までやってきた。
「やっぱり多いな」
あちこちから魔力を感じる。
「今日はもっと奥に行ってみない?」
「良いと思います」
「じゃあ、そうするか」
森の中の街道を進み、分岐点を左に曲がった。
やはり昨日、森に入ったところ辺りから周囲の魔力が減ったが、さらに奥に進んでいく。
すると、少し大きい魔力を感じた。
「あー、オークだ」
「よし、行きましょう」
リーエが石ころに魔力を込め、その辺に捨てると、街道を逸れ、森の中に入る。
そして、歩いていくと、オークもこちらに気付き、近づいてくる。
「来るぞ」
「あ、私がやるわ。ちょっと硬くするエンチャントを試したい」
「じゃあ、任せる。10秒後に来るぞ」
「了解」
足を止め、この場で待っていると、オークが姿を見せた。
すると、イレーネが剣を抜き、駆けだす。
オークもイレーネに突進し、拳を突き出したが、イレーネはそれを華麗に躱し、腕を斬った。
オークがたまらずに後ずさると、イレーネがそのまま飛び上がり、オークの首を飛ばす。
「綺麗な動きですね」
「何をやらせても映えるし、魅せるよな」
そりゃ二つ名も付くわ。
「褒めてたー?」
「褒めてた」
「拍手喝采ものです。では、魔石の採取は私がやります」
リーエがオークから魔石を回収し始めた。
「エンチャントはどうだ?」
イレーネに近づき、聞いてみる。
「良い感じ。なんか安心感が違うわね。私の剣は細剣だからどうしてもその辺が気になってたからありがたいわ」
「魔力の流し方も問題なかった。そのエンチャントは常時、使った方が良い」
「そうするわ」
リーエが魔石を回収し終えたので次に行く。
すると、前方にうろうろしているゴブリンがいた。
「銃の試し?」
「ああ。リーエ、銃をくれ」
「どうぞ」
リーエが銃を取り出し、渡してくれる。
ずっしりとした重みがあり、こんなものより遥かに強力な魔法を使える俺が少し緊張するのは前世の影響だろう。
「いつぞやの穴だらけのギタイトカゲを見るに一発じゃ難しいかもね」
教授が試したやつだ。
「かもな。ちょっとやってみる」
何をしているかわからないが、その辺をうろうろしているゴブリンに狙いを定める。
そして、引き金を引くと、バンッという破裂音がし、一瞬にして、肩に当たったゴブリンがよろめいた。
しかし、ゴブリンはきょろきょろと辺りを見渡し、俺達を見つけると、突っ込んでくる。
「えいっ」
隣にいるイレーネが弓を引き、光の矢を放つと、ゴブリンの頭部がなくなり、仰向けに倒れた。
「お見事です。さすがはイレーネさんですね」
「まあね」
イレーネが嬉しそうにドヤ顔を浮かべる。
「うーん……やはり速度はかなりのものだが、威力が微妙だな」
人を殺すには十分だが、魔物相手だとゴブリンでもあの程度だ。
「単純に弾が小さいのではないでしょうか?」
「そうかもな……リーエ、魔石と共に弾も回収してくれ。調べてみたい」
「わかりました」
リーエがゴブリンのもとに行き、解体を始めた。
「私も撃ってみていい? その辺の木に撃つから」
「ああ」
イレーネに銃を渡すと、イレーネが10メートルくらい離れている大木を狙う。
そして、引き金を引くと、やはりバンッという破裂音がし、木に当たった。
当然だが、木はびくともしてない。
「うーん……まあ、こんなものか」
「どう思う?」
「まず音がうるさい。目立ちすぎない?」
サイレンサーなんかないからな。
「それは俺も思ったな」
「誰でも使える護身用としては良いと思うけど、この程度の威力では魔物狩りは厳しいわね。子供は逆に危ないし、貴族女性とかが持つのが良いんじゃないかしら?」
護身用か……
「メインウェポンにはならんな」
「私の弓の方が威力があるくらいだからね。まあ、放つまでの動作、弾のスピードは段違いだけど」
「ヴェルナー様、回収しました。こちらが弾になります」
リーエが戻ってきて、弾を見せてくる。
どっかで見たことがある弾の形状と似ている。
「素材は鉛か……これ、誰の発想だろうな……」
「ヴェルナー様がいらした世界にあった武器ですよね? ヴェルナー様と同じような人がいるのでは?」
その可能性も十分にある。
教授に報告する際に聞いてみるか。
「リーエ、その銃で俺を撃ってみてくれ。防御結界を試したい」
「わかりました」
「えー、結局やるのー?」
イレーネは反対っぽい。
「大丈夫だ」
「そうですよ。ヴェルナー様の魔法は完璧なのです。それではいきますねー」
リーエが銃口を向けてくる。
イレーネはオーバーだと思うが、リーエのこのまったく躊躇しないのもなんか怖い。
「私は選ばれし民。旧人類は死んでください。これからはホムンクルスの時代です」
なんかイレーネがアフレコし始めた。
「さようならご主人様。私を作ったことを後悔してください」
乗っかったリーエが撃ってきた。
バンッという破裂音がしたが、目の前には回転する弾が止まっていた。
そして、その回転が止まると、弾が地面に落ちる。
「リーエさー……普通、顔面を狙う?」
俺も思った……
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