真理を欲した男
あなたはこう思ったことはないだろうか?
なぜ自分が存在しているのか
これはひたすら真実を求めた男性のお話。
彼は人生をかけて自分の存在理由を考え続けた。
人生が終わりに近づく。
彼はまだ考え続けた。
死を目の前にしても、まだ、見出せない。
彼は絶望した。
存在理由を知りたいのに。
まだ解らない。
ひたすら考えても解らない。
彼は永遠の眠りにつく。
しかし、彼は生きている。
延命治療を受け続けている。
ただ、眠っただけ。
二度と目覚めるはずはない。
心の音はする。
彼の世界で奇妙な事が起こる。
お店が存在している。
一軒だけ。
彼の世界では何も存在しない。
彼だけ。
なのに、お店がある。
彼は導かれるように入って行く。
『なんでも叶えます』と書いてあった。
彼は警戒しなかった。
そこには、仙人がいた。
ヒトよりも長く生きる者。
伝説のお話。
いるはずはない。
それでも、彼は仙人にすがる。
仙人は彼を見る。
存在理由を知りたい彼を見る。
仙人は喜ぶ。
また、モルモットが来た。
仙人は彼の頭に埋め込む。
人工知能を彼に埋め込む。
彼は喜んだ。
真実を知る事が出来る。
知能を得た彼は彼の世界から覚めた。
彼は目覚めた。
周りには誰もいない。
白い壁に囲まれている。
ドアはない。
しかし、彼は恐れない。
ただ、ひたすら思考する。
存在理由は呆気なく見つかる。
彼は喜んだ。
さらに真理を知りたくなる。
今度はこの世界の真理を知ろう。
真っ白な部屋の中で彼は思考する。
しかし、呆気なく知る。
それでも彼は喜んだ。
また、新しい謎を考えられる。
思考し、解き。
思考し、解き。
思考し、解き。
その繰り返し。
やがて、全ての真理を知る。
彼は今度こそ悲しんだ。
もう、ない。
人生の目標が失われた。
真っ白な部屋で彼は哀しんだ。
悲しみ、哀しみ続ける。
仙人はつまらなさそうに眺め続ける。
彼は永遠に覚める事はない。
完




