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『閑話休題』

私は声を上げて嗤う。

そこには、居るべきであろう、ヒトもダシンも居ない。

より、正確に言うなら。

堕ちて狂った愛おしいヒトらしいモノは居る。


例えば。

堕ちながらも力を求め続けた狂おしいヒト

拒まれながらもただ一人のヒトを愛し続けた愛おしいヒト

嫌われながらも我が道を生き続けた素晴らしいヒト

傷つきながらも永遠の自由を夢見た美しいヒト

妬みながらも一つの事を成し遂げようとした輝かしいヒト


堕ちて狂った愛おしいモノたちはそれぞれの誇りを胸に抱きながら堕ちていく。

私はそれが面白可笑しい。

それらはそれぞれの願いを叶えられるだけの力を持っているというのに。

それらは決して使おうとしない。

ヒトから外れた力を決して使おうとしない。

ヒトではないただのモノなのだから、使っても誰も否定しないというのに。

それらは頑なに使おうとしない。


私はそれがひどく羨ましい。

ヒトで在り続けようとするそれらがひどく羨ましい。

私はとうにヒトで在ることを棄てた。

だから、このような処に居るのだろう。

けれども、姿形だけはそれらよりもヒトで在る。

それなのに、それらは、ヒトでない姿形をした化物は、私よりもヒトらしい。


私はそれらを棚に飾り付けた。

私はここでふと気付いた。

目尻から透明な液体が一筋流れていた。

ヒトで在ることを棄て、心を壊し、感情ですら持つことがない、ヒトでないモノだというのに。

私はそれを拭い、揺り椅子に座り込み、再び、眠る。

誰も見ていないが、それは、微笑みながら意識の底に沈んでいった。

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