ep.15: 10000層のフロアボス
今回は長いです
1000層を攻略してから1760年くらいの時間が経過した。
そして、今度は10000層に到達した。1000層のフロアボスからは1000層ごとにフロアボスが来ていたので、この層でもフロアボスは来るだろう。というか多分10000層のフロアボスの次は20000層と、今度は10000層ごとにフロアボスが現れるのだろうが。
とりあえず、ちゃちゃっと(フロアボスは階層主より少し戦いの舞台が広くなったり、実力がだいぶ上がったりするだけで、フロアボスがいるそうも階層主と同じ感じでその層の構造にあった空間が広がっている)ボス部屋の入口までやってきた。ちなみに、ここ1700年で手加減はちゃんと出来るようになった。
改めてみるとボス部屋の入口は結構立派である。なんか初めてボス部屋の入口の扉を真面目に見た気がするので、少し立ち尽くしていると、成都さんは立ち竦んでいた。
「ご主人様、ここのフロアボスはこれまでのフロアボスより強い気がします」
と言われても、ただの雑魚としか思えない。実際、界が強くなりすぎてこれまでのフロアボスもこの先にいるフロアボスも雑魚としか感じていないのだ。
「そうかなぁ…?この先にいるやつも変わらない気がするんだが」
「…やっぱりご主人様は凄いです。」
何故か褒められた。界は少し頭が?になりながらダンジョンの扉を開けた。すると、中にいたのは灰色がかった銀髪の美少女だった。
その美少女はこっちを少し見て一瞬驚いた表情をするも、すぐに何もなかったかのような表情をして、話しかけてきた。
『フロアボスの私が言うのも何だけど、できれば私の提案を聞いてくれないかな』
「…私はご主人様のためにも提案に乗らないほうが良いと思います」
と成都さんが言ってくるが、それより気になったことがあったので質問してみることにした。
「なんでお前は一瞬だけ驚いたんだ?」
『キミの実力が強すぎて驚いただよ。私が勝てるとは到底思っていないから提案をしたいと言っているんだけどね』
とフロアボスの彼女が言うのを聞いて少し警戒しているような少し嬉しそうにしているような成都さんは無視し、質問を続ける。
「それ以外にも驚いた理由があるだろ」
『なんのことかな?私が驚いたのはあなたの強さだけだけだよ?』
「…それならなんでお前は驚いた直後に悲しい顔をしていたんだ」
それを聞くと、フロアボスはさっきよりも驚いた表情をして、何かを諦めたような感じで話しだした。
『実力がデタラメなやつには何も通じないのかな…。まあいいか、確かに私はもう一つ驚いたことがあった。ただ、それはもう1人が妹に酷似していたことに驚いただけだ。髪色が白銀じゃなくて灰色がかった銀色なら多分妹と勘違いしていたよ』
と言ったのを見るに、本当にこの2つにしか驚いていないようだった。
「んじゃ、お前の提案ってやつを言ってみろ」
「ご主人様!?いいのですか?」
『その娘の言う通りだ。私はフロアボスだし、話している間にあなたのことを殺そうとするかもしれないよ』
「そんなご丁寧に言ってくる時点でその気はないだろ。それに、もしそうなったとしても負けるつもりはないしな」
「た、確かに」
『まあそれで良いのなら良いよ。そもそも私は君に奇襲を仕掛けるつもりはないからね』
「で?提案って?」
なんか話の方向がズレそうな気がしたので戻しておく。そして、フロアボスの彼女は提案を話し始めた。
『簡潔に言うと、私を君の仲間にしてほしいんだ。とは言っても、このダンジョンの仕組み的に1回攻撃はしないといけないんだけど』
少し彼女が話した提案は長かったので要約すると、界たちの仲間になりたいが、そのためにはダンジョンの仕組みのせいで一度本気の攻撃をしてから1度殺されなければならなかった。なので本気で攻撃をして殺されてから仲間にさせて欲しい。というものだった。
「なんで俺達の仲間になりたいんだ?」
「理由は3つ、まずは君達、特に男子の方には勝てる気がしないからかな。無謀な戦いを挑んで死ぬのは嫌だからね。それよりは仲間になるために殺される方が嬉しいさ。次に、妹に会いたいから。私には妹がいてね、妹と会うためにも死ぬわけにはいかないんだ。最後に、もっと世界を知りたいから、かな。フロアボスになる前は全然世界について知ることが出来なかったからね、生身で体感してみたいのさ。そのためにも、こんなところで一生フロアボスをやっていつかは殺される運命なんてやってられない。これでどうかな?」
と言われて、少し考えてからまた質問をする。
「理由は分かったが、それをすることで俺達にはどんなメリットがあるんだ?」
『もしもやってくれたら、これからずっと君の願いは何でも聞こう。それに、もう1人の方の指導もできるよ?後、私はこの先の層で最低限の自衛を出来るくらいの実力はあるから、護衛対象が増えるとかはないはずだよ。それに、私を仲間にしてもあまりデメリットはないはずだ』
そう言われて、どうするかの意思が固まった。
「分かった。お前の提案に乗ろう。正直理由を聞いた時点で十分だったが、メリットもあるっぽいならいいだろ。それに、あいつは言ったことは守るようなやつな気がするし、なにより覚悟を決めためだったからな」
そう言うと、多少不服そうにしながらも渋々成都さんは「ご主人様がそういうのであるならば文句はないです」と言って納得してくれた。
そうして、フロアボスを仲間にすることが決まった。
『じゃあ、始めるね』
と言ってフロアボスが攻撃を出そうとする前に、1つだけ質問し忘れていたことを聞くことにした。
「なあ、お前名前は?」
その質問を受けて、少し考える素振りをしてから質問に答える。
『あなたが決めて』
そう言って、彼女は攻撃を放った。
◆
気づいたら、また【空間】や神様の時と同じような四角い空間にいた。
「またか」
少しだけ感慨深くなっていると、景色が真っ白から白のような場所になる。
そこには優斗と僧侶らしき人、魔法使いらしき人、そして剣士らしき人がいた。何故か咲希はいない。
『お前が魔王か!』
『いかにも。と言いたいところだが、私はまだ魔王ではない。だが、お前たちの領土に侵略をするようにしたのは私だがな』
と声がした方を見ると、黒い髪に2本の角を生やし、目付きが悪い誰が見ても悪人みたいなやつがいた。と言うか悪人じゃん、セリフ的に。
そして、そいつを見ながら優斗が怒りに震えている様子で話し始める。
『なんで人の領土に侵攻したんだ?お前のせいで大勢の人も、魔族も死んだんだぞ?』
『…ふん、別に虫のようにどこにでもいる人族が死ぬくらいどうってこともないだろう。私はただ私の目的を達成したいだけだが?』
『大勢の人や魔族を殺すのがお前の目的なのか?』
『厳密には違うが手段としてはそうかもな』
『じゃあお前は目的のためなら魔王だって殺してもいいと思っているような奴なんだな』
『私は魔王がどうなってもいいしむしろ魔王の座を奪おうとしているくらいだぞ?それに目的を達成するにはこれだけじゃ足りない。それに、あの方から力を授かった私にお前たちが勝てるわけ無いだろう』
そこまで言うと、優斗は今度は落ち着くために深呼吸をした。そうして落ち着いたのか、また話し始める。
『そうか。どうやら俺とお前じゃあどうしても合わないらしい。ここで絶対に倒させてもらうぞ、■■■■■!』
『どうせ負けるものを…。まあいい、そっちが来るのならこっちは最初から全力でいかせてもらおうか!』
そうして、優斗達と魔族?の戦いが始まった。
最初に攻撃に出たのは優斗だ。魔族に向かって突撃している間に仲間の魔法使いと僧侶が身体強化魔法をかける。
そして、魔族に近づいた優斗は確実に魔族の息の根を止めようと最初からとどめを刺すつもりで技を発動する。
『想斬!』
そう言って優斗が剣を振ると、剣を振った後の場所に驚くほどきれいな虹色の筋ができていた。もしも優斗が魔族と戦っていなかったら見とれているであろうくらいに綺麗だった。しかし、その一振りが魔族の首に当たると思ったところで避けられてしまう。
『なかなか面白そうな攻撃をしてくるではないか。だが、その程度の攻撃が私に当たるわけ無いだろう!』
『ならば当たるまでやり続けるまでだ!』
と言うとお互いにお互いを攻撃するがギリギリのところで当たらない戦闘が始まった。そして、戦闘が始まってから1時間がたった。
戦闘が始まって1時間が経った。優斗は限界突破を使用しているし、魔族も奥の手らしきものを使っていて既に両方ともに疲弊している。
『はぁ……はぁ……まだ…まだぁ!…』
『お前も…やるでは……ないか…だが甘いわ!』
そう言って繰り出される魔族の攻撃が優斗に襲う。なんとかして受け止めようとするが、これまでの戦いで疲れ切っていたことがあり隙が生まれてしまった。そこに魔族の攻撃は容赦なく入り込んでくる。そして、優斗に魔族の攻撃が襲いかかり、優斗は大きな傷を負ってしまった。
「大丈夫か!」
とこの空間に来てから久しぶりに声を出すも優斗にはまるで伝わっていない。その代わりに、優斗と一緒にいた人たちが『勇者様!』や『急いで治療しなくては!』という声が聞こえただけだった。
しかし、疲れ切っていた魔族の攻撃とはいえその威力は強く、既に多くの血が優斗から流れ出てしまっていた。
『ゆ、勇者様!死なないでください!』
『治療が間に合いません…。頼むからこんなところで死なないでください!勇者様!』
といっしょにいる人達が声をかけるが、その甲斐も虚しく優斗は死んでしまった。あまりに唐突な幼馴染の死を受け入れられず呆然とするが、しばらくすると界の中から物凄い怒りが湧いてきた。そんな中、いつの間にか景色は白い空間に戻っていた。しかし、それに気づかないほどの猛烈な怒りが界の事を支配する。
「…許さねぇ。絶対に殺してやる!」
そう言うと、界は自らの創造機能で創り出した刀を構える。ちなみに、今更だがこの刀には【理】と命名している。
そうしていざ【理】で攻撃を繰り出そうとするところに、突如としてフロアボスの彼女が現れる。
「ちょっとここで君が攻撃を繰り出すのは止めてー!!!」
と言っても、界が攻撃をやめようとする気配はない。なので、咄嗟に
「これは幻だから、実際はこんな事になってないから!死んじゃった子は生きてるから!」
と言うと界は攻撃をやめた。それを見て「よかった、被害が少なくて」と言っていると気持ちを落ち着かせた界が質問してきた。
「なんでこんな物を俺に見せたんだ。危うく本気で攻撃するところだったぞ」
「私の攻撃は精神攻撃だから、本気のとなるとその人にとって不幸な幻を見せるくらいしか無かったんだよね」
「…今回はしょうがなかったのかも知れないが、もうこの攻撃は2度とやらないでくれ」
「当たり前だよ…模試やったら私は生きていなそうだしね」
ということで、とりあえずフロアボスの攻撃は終わった。
◆
フロアボスが『あなたが決めて』と言ってすぐに、ご主人様が急に意識を失ったかのように倒れました。急いで近づいてみると、スヤスヤと寝息を立てながら寝ていました。
「ご主人様に何をしたんですか?」
『少し、夢を見てもらっている…だけさ……』
そう言うと、フロアボスの彼女も寝てしまいました。
とりあえず、ご主人様の身にとても危険なことが迫っているわけではなさそうで安心です。それにしても、ご主人様の寝顔は可愛くてしかも少しかっこよくてズルいです。ですが、今はそのようなことを言っている場合じゃないのでご主人様の寝顔を満喫しながら警戒に当たりましょう。
と言ってから1時間が経ちました。今のところ特に何もありません。相変わらずご主人様の寝顔はズルいままです。
そうしてご主人様の寝顔を満喫していると、突然寝顔がなにかに驚いたようなものになりました。次第に汗も出始めました。
うなされているのかと思い、ご主人様の体を少し揺さぶってみます。しかし、ご主人様は何も反応しません。それどころか、今度はなにかに猛烈に怒ったような感じになっています。
すると、急に立ち上がりいつも携えている刀…【理】を構え始めました。というか攻撃しようとしています。
ご主人様の攻撃をここでやられると絶対にやばい気がするので全力で止めようとしますが、その努力は虚しく私にもフロアボスの彼女にも当たらないようにして攻撃は放たれてしまいました。
ご主人様は切ろうと思えば空間も切れるくらい強い攻撃が放てます。しかも、さっきご主人様は何かに対して怒っているように見えました。怒りというのは冷静さを失わせて人の思考力を低下させてしまいますが、攻撃の威力は上がってしまいます。今回もそうなのかいつもの攻撃より物凄く強い攻撃でした。
そんな攻撃が最初の障害物…つまりはボス部屋と10000層を隔てていたダンジョンの壁に当たるとどうなるかと言うと、一瞬でその壁があった場所を空間ごと斬ってしまいます。しかも、一切攻撃が衰える気配がありません。
もちろんそんな壁が斬られても全く衰えないならその咲希も同じで、どんどんと10000層の木が空間ごと斬られて伐採されていきます。どこかのゲームの大王が大喜びしそうな光景ですね。
そうして、ご主人様が放った斬撃はひたすら衰えること無く進み続け、ついには見えなくなってしまいました。その頃には10000層の森は攻撃によって伐採され、そこは大量の切り株と切り株より上にあった幹や枝、葉が散乱している結構カオスな空間でした。
その光景に衝撃で呆然としていると、ご主人様が起きてきました。それと一緒に、フロアボスの彼女も起きてきます。
「ご主人様!大丈夫でしたか?うなされていたようですが」
「大丈夫だ。心配してくれてありがとうな」
「それくらいメイドとして当たり前のことです!ところで…」
「ん?どうしたんだ?」
「ご主人様が放った攻撃で10000層の森が消えちゃったんですけど、どうしましょう?」
『「え」』
「まさか…俺攻撃放ってたの?」
「はい…思いっきり…」
「ま、まじかぁ」
界の攻撃により滅茶苦茶に破壊された10000層のお片付けが決定した瞬間であった。
アフターエピソード(お片付け中)
界:「幻覚?で攻撃しようとしないんじゃなかった…」
フ:「あれはしょうがない気もするけどね」
成:「何があったんですか…?」
※フはフロアボス




