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約束

 そして、何年か経った後。少女が幼さを残しつつも成長したころ。いつも通り少年に会いに来たものの、少女は浮かない顔をしていた。少年はそんな少女の様子に胸騒ぎを覚えていた。


「 引っ越すことになったの 」


 引越し。つまり、ここの町からいなくなってしまう。どこまで引っ越すのだろうか。ここには来れないのだろうか。少年の中で、不安が膨れ上がる。


「 ここにはもう、来れないの 」


 少年の不安は弾け飛び、どす暗い感情が渦巻いた。口を開いたらそれが飛び出そうだったから、少年は唇を噛み締めた。少女はそんな少年の様子を見て、もっと悲しそうな表情をした。違う、そんな顔をさせたかったわけじゃない。少年の中で歯痒さがさらに募る。


「 ごめんね、私ではどうしようもない。ここは交通の便も悪いし、中々来れない 」


 少女は激情のあまり動けない少年をそっと抱きしめた。少女の手も震えていることを、少年は初めて知った。死にたいよ、そう少女が囁いた気がした。


「 でも、もし死ぬなら、ここにするって言うのは決めているの 」


 はっと少年は顔を上げた。悲しくて、寂しくて、虚しくて、悔しくて。いろんな感情が渦巻いて、少女も苦しんでいる。


「 ねえ、お願い。私が死んだ時は、貴方が私を弔って 」


 少年は頷くことしかできなかった。少女はそれを見届けて、くるりと踵を返して去っていく。砂浜に、ぽつ、ぽつと、小さなシミができた。

青年をずっと苦しめてきた呪縛の正体は、少女との約束でした。

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