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決意
その後、青年の元に父親が訪れた。青年は、彼女の砂を掻き集めていた。それを丁寧に、瓶の中に詰めていく。青年は黙って見ている男を気にせずに、そのまま作業を進める。ぽつ、と床にシミができる。
「可愛くて、優しくて、純粋な子だった」
「……そうか」
「父上。俺に、真凪の扱いを教えてくれ。俺は、父上の跡を継ぐよ」
「……そうか」
そう言い、男はくるりと踵を返してそこを去ってゆく。息子の成長は喜ばしいことだ。恐らくこれからは、死者荒らしもなくなることだろう。丁重に彼によって弔われるのだろう。
青年は、瓶に詰め終えると立ち上がる。そして、自分の部屋へと戻った。そして瓶に口付けをする。さらり、と砂が揺れた。
「ここでずっと、見守っていてくれ」
ことん、と瓶を置いたのは、青年のベッド脇の小さいテーブル。瓶の中の砂が、少しだけ、輝いた。
青年をずっと少女は見守ります。話すことはできないけれど、ずっと。




