◇後日譚◇
蛇足に感じたら、ごめんなさい。
レン達と別れて、自宅へと帰ってきた俺達。
そろそろ俺と律の関係も落ち着くくらいの日数は経ったはず。
なのに⋯⋯。
何処に行くにもベッタリ貼り付いてくる律に、最初は苦笑して、されるがままの俺だったけど⋯⋯
「ごめん、いい加減に離れてくれないかな?」
(さすがにうっとうしい⋯⋯)
片手手の平でぐいー!と律の顔を押して距離を取ると、律は
「⋯⋯分かった。俺、向こうにいる」と、悲壮な表情のまま、トボトボと歩き出し、一人掛けのソファーの上に座ると、両手で膝を抱えてうずくまった。
(⋯⋯なんだろう。見えない耳と尻尾が、しょんぼり垂れてるように見える⋯⋯)
暫く、自由になった嬉しさで、スマホをいじったりしてたけど⋯⋯。
しょぼりと未だに同じ姿勢のままでいる律を横目に見ながら立ち上がる。
俺の気配に気付いた律は、顔を上げ姿を目で追いながら様子を窺っていた。
キッチン入る前に、ちらりと、律の方を見遣ると慌てて立てた両膝を抱える両腕に、顔を埋める律。
子供のようなその様子に、ちょっと吹き出しそうになるのを慌てて堪えた。
『澪はこれ!コーヒー飲むなら、こっち!』と買い物時に律がカゴに入れていたノンカフェインコーヒー。
まだ宿っているか分からない律と俺の子のために買った、ノンカフェイン。
カフェインで眠れなくなる俺。
夕餉の後に飲むのに、意外に重宝していた。
それを淹れて律が座ってる前、テーブルの上に湯気の立つカップを置いた。
俺のは、その隣。
律は、微動だにしない。
(うーん、しょうがない⋯⋯)
「寒くなっちゃった」
と、言いながら俺は、律を包むように抱きついてみた。
「み、澪⋯⋯ッ!」
(はや)
ガバリ!と音がしそうなほどの勢いで顔を上げて俺を見る律。
涙目。
俺は、そんな律を見、頭上を見上げた。
(⋯⋯なんだろ、見えない耳が立ち上がって、ブンブン振ってる尻尾が見える⋯⋯)
「よしよし」
そんな大型犬の頭を撫でてみた。
『わふっ!』と、声が聞こえそうなほど、俺に撫でられながら律は嬉しそうに頬を紅潮させるのだった。




