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第六話:己を信ずる心、造反。

「雛覇殿、忠葎殿、斉誄殿。お久し振りです」

織嘉は、抵桧の返り血を全身に浴びていた。

「あちらで戦をしているな、お前は戦わなくて良いのか」

「岱夷殿は、彼自身で戦を動かしたいそうなんです。軍から追い出されるような勢いでののしられてしまいました。…居場所が無い

と言うんでしょうかね?」

「ですから、私を迷惑でなければ『配下ではなく同盟勢力として』加えていただけませんか?」

やはり織嘉は、自分自身の位を捨てたくは無かった。

配下ではない同盟勢力としてのちぎりを求めた。

たった一人で造反ぞうはんを起こしたので部隊は無かったが織嘉のこころざしを見込み、こころよく受け入れた。

「俺たちの仲間になってくれるのはまことにありがたい。だが狗楓。お前は良いのか?岱夷の軍や自分の軍に造反を起こすことにな

るのだ。岱夷の軍が我が軍に攻め込んでくるかもしれぬ。その様な反乱が起きてまで同盟を組みたいと云う願望があるのか?」

郭升は織嘉がここで同盟の件を断ち切り、戦場いくさばへと、戻ると予想していたのだが、その予想はまと外れだった。

意外にも織嘉は明るく快活かいかつな表情を見せた。

その表情は作っているものではなく、心からの表情だと思った。

「ええ、岱夷殿との同盟は、只今ただいまより破棄はきする事を決心いたしました。私は、抵桧殿から奇襲を受けた際に『軍師気

取りの出来損ない』と言われとても傷心しょうしんしているのですよ、雛覇殿と手を組んでいただければ岱夷殿は孤立してしまうの

です」

織嘉は熱く語る。

「孤立?何故なぜ孤立するのだ?抵桧の軍がまだ進軍途中であろう」

「ああ、抵桧殿…。はもう居ませんよ。単騎で城内へ進軍してきた所を私が…ごめんなさい。大切な幼馴染おさななじみなのに私の勝

手で」

郭升と詠或と斉誄の三人は、今までに無く驚いた。

だが首を討ち取った織嘉本人が、幼馴染をあやめてしまった事に一番驚いていたのだ。

「とにかく、岱夷殿は孤立した状況次第しだいに攻めってきて、兵力差で負ける事でしょう。降伏か死かを選択する筈

《はず》。もはや岱夷殿の味方は自分以外に居なくなるのです!どちらかを選べば、もう天下はひとつとなるのです!此処ここ

いらっしゃる皆さんも心の中ではそう望んでいるのでは無いですか!?私には、そう感じます」

織嘉のはっきりとした主張だった。

その通り、三人は織嘉に造反させ刀武を独立勢力になる様にとも思っていた。

「…狗楓。我が城へ戻ろう。岱夷がいつこちらの気配に気付くか分からないからな」

この瞬間、織嘉の怒りや戸惑とまどいは一瞬にして希望と野望へ変化した。



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