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とにかく広い庭を、真鍋先輩とふたりで手を繋いで歩いた。
キラキラしてキレイで、何か本当にデートしてるみたいでドキドキした。
ふふふって意味もなく笑っちゃって、真鍋先輩に笑われて、でも嬉しくて堪らない。
「みんなどこ行っちゃったんだろ」
「探すか」
「うん」
もっとふたりで居たいっていう気持ちはあるけど、今日は5人でのクリパだもんね。
キョロキョロと見渡しながら、でも手だけはぎゅって、繋いでる。
ちょっと離れた、クリスマスツリーみたいに電飾された木のところに友弥の姿が見えた気がして。
「先輩、あそこ…………」
って!!
ぐるんって、そのまま回れ右をした。
ちょ、ちょっと待って!!ちょっと待って!?
「あーーーーー、見ちゃった?」
「み、見ちゃった…………。どうしよう………」
真鍋先輩が見ちゃったかーって、繰り返す。
すごい、心臓がドキドキバクバクしてる。
そりゃあね?ドラマとか映画では見たことあるよ?
あるけど、さ。
「急に進展したな、あの二人」
真鍋先輩をチラッと見たら、こめかみをぽりぽりしてて、僕をチラッと、見る。
真鍋先輩を見たら。もうさ。
おでことか、首筋とか、ほっぺたにキスされたのを思い出して。
あと数㎝の唇を思い出して。
ドキドキがMAXで。
「先輩、向こう、向こうに行こう」
ぐいぐい引っ張って、その場所から離れる。
「真尋、手汗すげぇぞ」
「だ、だ、だって」
「しどろもどろだし」
「だって、だって、あんなのっ………」
「したくなった?」
「え?」
真鍋先輩が、立ち止まって、僕を真剣な顔で見つめる。
僕はもう、その顔を、見てられなくて。
俯く。
「キス、したくなった?」
手を引っ張られて、抱き締められる。
「順番が、違うよ………?」
「順番?」
「僕、まだ先輩に気持ち言ってない」
「………そうだな」
「言っちゃ、ダメ?」
「ダメ」
「どうして………」
「今聞いたら絶対夜に押し倒す自信がある」
「押し倒すって………」
でも、もう、伝わってるでしょ?
伝わってるなら、言っても良くない?
「その上目遣いも禁止」
「もう、溢れちゃうよ」
「うん、見えてる」
「じゃあいいでしょ?」
「ダメ」
「先輩!!」
「ダメ」
「もう………苦しいよ」
黙ってるのが、苦しい。
真鍋先輩の背中に絡めた腕に、力を入れる。
好きが溢れて、止まらないよ。
ほっぺたを、寄せる。真鍋先輩の首筋に、唇を寄せる。
あんなの見ちゃったら。
友弥と木戸先輩のキスなんて見ちゃったら。
………僕もって、思っちゃうよ。
「真尋、待てって」
「やだ」
「真尋」
「やだよ」
真鍋先輩を、見つめる。
大好き。
言葉は、寸前で飲み込んで。
自分から、びっくりして固まってる真鍋先輩の唇に。
触れ………。
「光ちゃーーん!!光ちゃんどこーー!?寒いからそろそろ中入ろーーー」
………ない。
「真尋」
びくーーーーてなって、がくーーーーってなった僕の背中を、真鍋先輩がぽんぽんってしてる。
「ほら、行こう」
「うーーーーー」
キスできなかったのももちろん残念なんだけど、それ以上に。
………恥ずかしい。
恥ずかしくて、真鍋先輩にもたれ掛かって顔を伏せた。
顔が真っ赤だ。絶対真っ赤だ。
何かすごいことしたよね、僕?
「真尋」
「はーずーかーしーいー」
「恥ずかしいって、お前。俺はマジ焦ったっつーの」
「いやーーー!!先輩、何も言わないで、何も聞かないでーーー!!」
「喰われるかと思ったわ」
「ごめんなさいーーー!!」
ぽんぽんぽんぽん。
あやすみたいに背中を叩かれて。
「行くぞ」
「………うん」
真鍋先輩に引っ張られながら、キラキラの庭を、あとにした。




