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「………うわ」
「すっげーーーー」
「何ここ」
文字通りぽかーーんな僕たちをよそに、真鍋先輩はどんどんそこに入って行く。
僕んちから自転車で約10分。
辿り着いた真鍋先輩の家は、豪邸?お屋敷?お城?だった。
うん、思ってたよ?お金持ちなんじゃないかってね?
思ってたよ?思ってたけどね?
想像の遥か上を行くゴージャスと言うしかないおうちに、ぽかーーんって。ぽかーーんってするしかなかった。
「行くぞーー」
向こうの方で真鍋先輩が呼ぶ声がする。
「まー、行くぞ」
「まーくん、ここではぐれると迷子だよ」
「うぇっ!?迷子!?やだっ」
本当に迷子になりそうで、僕は必死に早歩きをして追い付いた。
階段をあがって2階。
真鍋先輩の部屋は1回部屋を出たらどこなのか分かんないようなところで、しかもびっくりするぐらい広かった。
ふっかふかの真っ白な絨毯にでっかい猫足テーブルの上には、お食事ですってお手伝いさん?メイドさん?が運んで来てくれた何かよく分かんないオシャレな料理が死ぬほど乗っていた。
もうお昼の時間はとっくに過ぎていて、確かにお腹ペコペコなんだけどね?いくら男5人でも、こんなに食べられない、よね?
「亮平くん、もうすぐ着くって」
相変わらずぽかーーんってしまくっている僕たち3人に、真鍋先輩は変わらない笑顔でそう言った。
「先に食ってていいって」
って、言われても、さ。
透と友弥がこれうまっとか、これ何だ?とか言って食べてるけど。
僕は何かよく分かんない。喉を通らないって言うか。
「真尋、どうした?」
「………ううん」
真鍋先輩が心配してくれるけど。
心配して、くれるけど。
「あー、家のこと?」
「………うん、びっくり、した」
「親が金持ちなだけで俺が金持ちな訳じゃないから」
「そう言われても………」
「真尋」
「うん………?」
「俺は俺だ」
じっと、僕を見る真鍋先輩。
真鍋先輩は、真鍋先輩。
真鍋先輩は、真鍋先輩。
繰り返してみる。
親が金持ちなだけで、俺が金持ちな訳じゃないから。
言い聞かせてみる。
「先輩は、先輩」
「そう」
ちょっと不安そうに、僕を見てる。
何か、色々あったんだろうな。
こんなおうちだもんね?
小さいうちは大丈夫だろうけど、中学生、高校生になって。もしクラスにこんなおうちに住んでる友だちが居るって分かったら、きっとうわってなって、特別扱いしちゃうかもしれない。
おうちはおうち。
真鍋先輩は、真鍋先輩。
「うん、分かった」
「真尋………」
「ごめんなさい、びっくりしちゃって」
「俺も、呼ぶの本当はドキドキだった」
「そうなんですか?」
「そうだよ」
うん。
びっくりした。びっくりしたよ。
そして思うよ。
こんなすごいおうちに住んでて、あんな有名な大学に行っちゃうのに、相手が僕で、本当にいいの?って。
「真尋?」
真鍋先輩が呼ぶ。
真鍋先輩。
僕のこと、好き?
好きって言ってくれるなら。
言ってくれる、なら。
「ううん、何でもない」
言ってくれるなら。
それを信じれば、いいんだよね?
「先輩、食べよ!!」
「真尋」
「なあに?」
「心配、すんな」
透と友弥に見えないように。
真鍋先輩の手が、テーブルの下で僕の手をぎゅっと握ってくれた。
「………うん」
真鍋先輩は、真鍋先輩。
僕も、真鍋先輩の手をぎゅっと握り返した。




