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階段をのぼってくる母さんの足音が聞こえてきて、僕は慌てて部屋のドアを開けた。
お菓子と飲み物が乗ったトレイをありがとって受け取る。
大丈夫?僕、顔赤くないかな。
「こんにちは。おじゃましてます」
「真鍋くんいらっしゃいっ。ゆっくりしていってねっ。夕飯は!?どうする!?食べていく!?」
「あ、今日はもう少ししたら帰ります」
「あらーー、そうなの?残念。あ、明日は真尋をお願いねっ」
「あ、はい」
母さんがおりて行って、僕はトレイを机に置いて、ドアを閉めた。
ああ、びっくりした。
真鍋先輩が隣に来い、みたいなジェスチャーをしたから、僕は真鍋先輩の隣に座った。
コーヒーが入ったマグカップを真鍋先輩の前に置いて、ミルクティーのマグカップを自分の前に置く。
「ビビったな」
「……………はい」
「で、もうあったまった?」
「ええっ!?え?あ、うん………」
もう、寒いっていうより………。
顔や身体がまだ熱い。
でも。
でも。
「寒いって言ったら………また、してくれるの?」
真鍋先輩を、チラッて、見る。
「まーひーろー」
「え?」
「お前何なの?」
「何なのって?」
聞いた瞬間にがしって、今度は横から、つかまった。
「わわっ」
「何して欲しいって?」
耳許で言われて、また一気に体温が上がる。
もう、ダメだ。
くらくら、しちゃう。
やっぱりやめようって、身体を離そうと、したら。
「誕生日おめでと」
囁かれたあと、真鍋先輩の腕に、力が入った。
ドキドキして、嬉しくて、もっと触れたくなって。
少し身体を捩って、真鍋先輩にそっと、腕を伸ばした。
僕。
初めて、こんな風に、こんなこと………した。
「プレゼント、持ってきたんだけど」
「え?僕に?」
「そう」
「………嬉しい」
「離してくんないと取れないぞ」
「うん………」
「真尋?」
離れない僕に、真鍋先輩が優しい声で呼び掛けてくれる。
僕の髪に、真鍋先輩が、触れる。
目を、閉じる。
「もう少し」
「真尋?」
「もう少し、このままがいい」
「またお前はそうやって………」
「ダメ?初めてだから、僕、こういうこと。………もう少し。もう少し、だけ」
ああ、ドキドキしてる。
もう、どうにかなっちゃうんじゃないかっていうぐらい、僕はドキドキしてて。
「んなこと言われて断れるかっつーの」
真鍋先輩の。
優しい、優しい、声。
そして僕たちはしばらくの間。
ただただ黙って。
抱き締め合って、いた。




