73
「最近ラッキートランプひいてるの?」
「あーー、あんまり」
「何で?」
「ジョーカー引いちゃいそうでこわくて」
朝練が終わって、僕と透は制服に着替えていた。
友弥は試合が終わってからまたサボるようになっていて、今日の朝練は寒いーーーって言いながら部室でゲームをやっていた。
僕は坂本先生と軽いキャッチボールとグラウンドの隅でスイングや筋トレをしていて、時々隣で練習しているサッカー部を………ボールを追いかけている真鍋先輩を見ては、ひとりで赤くなっていた。
「でも、さっきちらっと見たけど、イイ感じだよね、まーくんたち」
「ええっ!?」
「ああ、何か………甘いな」
「あああ甘い!?な、何がっ!?」
「漂う空気感が。ねぇ?透くん」
「だよな?」
「なっ………何言ってんの!!もうっ!!」
「照れんなよ、まー」
「今さらだよ、まーくん」
イイ感じ?甘い空気感?
…………うん。分かる、よ。それは僕にだって分かるんだ。
だから。
だから、すごく、どうしたらいいのか、困ってて。
「新井ぃ、外に真鍋先輩居るぞーーー。呼んでくれってーーー」
「え!?ぼぼぼ僕!?えと、はい!!今行きます!!わわわわっ」
2年の先輩に言われて、パニクって慌てすぎてロッカーの物をドサドサって落としちゃって、透と友弥に爆笑された。
「何だろね?」
「朝も一緒だったのにな」
「ラブラブだね」
「ラブラブだな」
「もう!!やめてよ、2人とも!!僕先行くからね!!」
慌てすぎて、ネクタイが結べないまま、僕は荷物を持って部室の外に出た。
外に出ると、真鍋先輩が本当にそこに居て。
「わり、さっき言い忘れたことがあって。って、お前ネクタイは?」
「あ、急いで出て来たから」
「ボタンぐらいちゃんとしろよ。開けすぎ」
え?って言う間もなく、だらしなく開いていたカッターシャツのボタンを真鍋先輩がはめてくれて、僕の顔が一瞬にして、かああああって真っ赤になったのが分かった。
「そこで赤くなられると、俺も照れるっつーの」
「う、だ、だって………」
「明日さ、学校終わってからお前ら3人何か用事ある?」
ぺしって叩かれた頭をさすりながら、んーーー?って考える、けど。
明日は特に何も聞いてない、よね。
きっとまた2人がうちに来て、だらだらして終わりかな。
「終業式のあとは、多分何にもないです」
「亮平くんが、明日一緒にどっかで飯食わない?って言ってたのすっかり忘れてて」
「木戸先輩が?」
「早佐構いたくて仕方ないらしい」
「あーーーーー」
ふふんって、意味ありげに真鍋先輩が、笑う。
友弥も、さ、結構木戸先輩のこと、気にしてたよね?
「じゃ、みんなで行きましょう!!」
「教室で待っててくれれば、俺ら行くから」
「はい、待ってます!!」
明日!!5人でごはん!!
何かちょー楽しみ!!




