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俺にもちょうだいって真鍋先輩が言うから、手にしたチェリーパイを真鍋先輩の口許に運んだ。
真鍋先輩の手が、チェリーパイを持つ僕の手をつかんで、食べる。
ちょうど同じタイミングで友弥も木戸先輩に食べさせてて、友弥と目が合って同時に………そらした。
ダメだ。恥ずかしすぎる。
「マジうまいな、これ」
「でしょ?僕これ大好きなんです」
真鍋先輩がうまっうまって言ってるから、嬉しくなって、まだ食べますか?って、差し出した時だった。
「ぼりしょんだぜ」
「透?」
「透くん?」
透が突然呟いて、チェリーパイをじーーっと見つめて、ぱくっと食べた。
「俺にはあーんする相手もあーんしてくれる相手も居ない。ぼりしょんだ……ぼりしょん過ぎる」
「あーーーー、それは、ちょっと………ぼりしょん?」
「相手、男だけど………ぼりしょん、なの?」
友弥が真鍋先輩と木戸先輩を指差す。
そうだよね、男4人であーんって、はたから見たらそっちの方がぼりしょん?
「ぼりしょんだろ」
「ぼりしょんなんだ」
「ちょーぼりしょん?」
「超絶ぼりしょん!!」
「ちょっと待て!!」
真鍋先輩が僕と透と友弥の会話をちょっと大きめの声で止めるから、僕たち3人は思わず背筋を伸ばした。
な、な、何?何か怒られる?うるさかった?
「ぼりしょんって、何だ?」
すごい真面目な顔して聞いている。
え、えと。
「あれ、真鍋先輩はぼりしょんをご存知ないですか?」
笑いを堪えつつ、友弥が聞く。
「俺の辞書には載ってない」
「ぼりしょんちょー」
「だから亮平くん、ぼりしょんって何?」
「木戸先輩、それを言うならちょーぼりしょんです」
「ちょーちょーぼりしょん」
真鍋先輩がブレザーのポケットからスマホを取り出してピコピコしだした。
「真鍋先輩?」
「……………んん?」
「どうしたんですか?」
「調べても出てこないぞ、ぼりしょん」
え?スマホで調べたの!?
「最先端過ぎて出てきませんよ?」
「最先端なの?」
「超最先端です」
完全に友弥が面白がってる。
これって止めた方がいいのかな?ほっといていいのかな?
「ちょーさいせんたんって、何か美味しそうだね」
なんて、木戸先輩が言うから、僕も段々面白くなってきて。
「あー、ちょーワンタンメン、みたいな?」
「そうそう」
「何だよ、ちょーワンタンメンって」
「ちょーワンタンメン、お野菜たっぷり、替え玉無料!!」
「くださーい」
ふふふふーって僕と木戸先輩で、笑う。
「えー、何の話でしたっけ」
「え?ワンタンメン?」
「まー、それこそちょーぼりしょんだわ」
「え?何だっけ」
ぼりしょんって。
木戸先輩が、また急に真面目な顔で言うから、シンとなって。
ぼりしょんって?
「なんか、トイレ行きたくなる」
「わーー、トイレトイレ!!」
「何ですかそれ」
「トイレって」
「ぼりぼりしょん」
「何ですか、ぼりぼりしょんって?」
「ダメだ、ますます意味わかんねぇ」
透と友弥と木戸先輩で更に盛り上がっていくぼりしょんトークに、真鍋先輩が頭を振った。
だから僕はつんつんって真鍋先輩をつついて、その耳にこっそり。
「しょんぼりってことです」
って、言った。
そしたら真鍋先輩が3人に分からないように僕の後頭部をぽんぽんって、してくれて。
「やっぱお前かわいいわ」
小さな声に、ドキドキした。




