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「うわっ、お前ら全員持ってやがる!!」
僕たちが差し出したチェリーパイを見て、木戸先輩が目を丸くさせた。
「亮平くん、本当に幻なの?」
「幻だよ!!今日なんかいつもより30分も早く家出たのに買えなかったんだぞ」
木戸先輩が唇を尖らせる。
ああ、本当に好きなんだなーって思って。
「あの、木戸先輩良かったら僕の食べてください」
「え?」
いいの?って顔が、4つ並んだ。
だってここのチェリーパイは本当に美味しいからね。
僕、毎月食べてるし。
今日は真鍋先輩とこうしてご飯食べられたし、いいやって。
どうぞって差し出したら。
「どうせならハヤのやつ食いたい」
「え?」
「はい?」
僕と友弥とでええ?ってなって、真鍋先輩は隣で爆笑してる。
「実はおれハヤって結構好みのタイプなんだよねぇ」
ふふふふって木戸先輩が笑って、友弥がかーーーーーって真っ赤になって俯いて、僕と透はぽかーんってなって、相変わらず真鍋先輩は爆笑してて。
「な、な、何言ってんですかっ」
「えー?だってハヤかわいいじゃん?新井ちゃんのかわいさが目立ちすぎてるけど、おれハヤのが好きなんだよね」
「だ、だから何言ってんですかっ………」
「何って好みの話だよ。ハヤがいいって言ってんの。ハヤのチェリーパイくれ。ってかあーんって食わせろ」
ほらほらほらって、木戸先輩が友弥に迫っている。
友弥はもう本当に面白いぐらい真っ赤っかで、僕は透とただただ呆然とそれを見ていた。
「前に屋上で一緒に飯食ってから、ずっと言ってたんだよ。ハヤかわいいハヤかわいいって」
「そうなんですか?」
「よくお前ら探しては見てたよ」
「じゃ、じゃあ本当に真鍋先輩とは………」
ちらって真鍋先輩を見たら、びしってデコピンをされた。
「いたっ」
「だから言っただろ?亮平くんとは何でもないって」
「はい………」
おでこをさすりながら、また友弥を見ると、友弥が超照れながら木戸先輩にチェリーパイをあーんしているところだった。
木戸先輩の嬉しそうな顔………。
「木戸先輩」
「ん?」
「友弥が好みのタイプなら、どうして僕にあんなこと言ったんですか?」
言った!!
勇気を振り絞って、ふふふー美味しいーーって言ってる木戸先輩に。
てか木戸先輩、めっちゃかわいい。
「あんなことってーーーーなんだっけ?」
がくーーーーー。
項垂れた僕を真鍋先輩が爆笑する声がよくよく聞こえる。
「最近光ちゃんがかまってくれないんだよねって。そろそろ返してって」
「ああ、それ?」
「それです!!」
「光ちゃんがずっと新井ちゃんのことかわいいかわいい言ってたから、どれだけかわいいのかなって」
「え?」
「亮平くん!!」
慌てたように真鍋先輩が木戸先輩を遮ったけど。
聞こえたよ。聞こえちゃったよ。
真鍋先輩、僕のことかわいいって言ってたの?木戸先輩に?
もう一度真鍋先輩を見ると真鍋先輩は目をそらして、こめかみをぽりぽりしていた。
「ま、確かにかわいいけど、やっぱりおれはハヤのがいいな」
「だっ、だからそういう冗談はやめてくださいって」
「冗談でんなこと言うかよ。ほら、チェリーパイよこせ」
「よこせってアンタ何偉そうに!!」
あ。友弥。
友弥の顔を見れば分かる。
あれ、嫌がってるように見せかけて、実は喜んでいる顔。
喜んでいるってことは、友弥………?
透も同じことを思ったみたいで。
目が合った透がニヤって、笑った。




