35
風邪だねって病院で言われて、薬を貰って帰ってきた。
熱が下がれば大丈夫って。
こら、熱!!早く下がれ!!
真鍋先輩にメールしてから、布団に潜って念じる。
学校行きたい。明日は行きたい。絶対、行きたい。
先輩と、一緒に。
自転車でさ、真鍋先輩に、掴まって。
ちゃんと寝てろよ
届いたメールが嬉しくて。
スマホを抱き締めて、僕は目を閉じた。
その後も、ちゃんと寝てるか?熱どう?
休み時間になると届く真鍋先輩からのメールに、あったかい気持ちになった。
もうすぐ、授業終わるかな。何時ぐらいに着く?
早く…………早く、会いたい。会って、本当は聞きたい。
色々と聞いてしまいたい。
真鍋先輩、僕はただの後輩?
そう聞いたら、先輩は何て答えてくれる………?
熱はそんなに高くないって言っても、やっぱりあるもんはあるんだなって、思った。
自分でもびっくりするぐらい、今日はずっと寝てて、真尋ーー!!って呼ぶ母さんの声で、目が覚めた。
「お友だち来たわよーー!!」
え?お友だち、って。
寝起きの頭がフリーズしてる。
お友だち。
…………お友だち!?
慌ててスマホを見る。
何件かメールが届いてて、最後のメールに真鍋先輩から今から行くって入ってた。
って、ことは真鍋先輩!?
足音が聞こえる。
わわわわ、心の準備できてないんだけど!!
ガバって起きて、ドアを見る。
真鍋先輩、だよね?そうだよね?
コンコンってノックされて、どうぞって答える。
開く。
「ちゃんと寝てたか?」
「はい!!」
キターーーーーー!!って。ジャンプして喜びたい!!
なのに。
………なのに。
「あれ、元気そうだね」
「え?」
あ………。
最高潮に上がったテンションが、一気に急降下した。
何で?どうして?
「おれも来ちゃった」
ふふふって笑う木戸先輩が、真鍋先輩の後ろからひょこって、顔を出した。




