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すぐにコンコンってノックされて、どうぞって言って、ドアが開いて。
本当に真鍋先輩が、居て。
僕はパジャマ姿のまま、どうしたらいいのか分からなくて、立ってた。
「ごめんなさい、連絡するの忘れてて」
「風邪?」
「はい、あの………そうです………。ごめんなさい。せっかく迎えに来てもらったのに」
ダメ、だ。
どうしても昨日のあれを思い出しちゃう。
真鍋先輩のにおい、体温、腕、大丈夫か?っていう声。
カーーーーッて、顔が真っ赤になる。
真鍋先輩の顔が見られない。
「ごめん」
「え?ちがっ、先輩のせいじゃ!!ないし!!って、ほら、うつっちゃうから先輩!!ね?」
「そんなヤワじゃねっつーの」
真鍋先輩が眉毛を下げて、困ったように笑った。
ピアノを弾いてくれた時に見た、すっごいドキっとした、笑顔だ。
「熱、高いの?」
「ううん、そんなに…………」
そんなに高くないですって。最後まで、言えなかった。
だって、真鍋先輩が。真鍋先輩、が。
「結構熱くね?」
コツンって。
僕のおでこに。真鍋先輩のおでこを。
くっつける、から。
僕は目を思いっきり見開いたまま、固まっちゃうしか、できなくて。
「病院は?」
「もう少し、したら行きます」
「じゃ、もう少し、寝てろ」
「は、い……………」
おでこをくっつけたまま、真鍋先輩はそう言って。
離れて。
僕を支えて、ベッドに連れて行ってくれた。
「病院から帰ったら、連絡くれ」
「え?」
「明日学校行けるかどうか」
「あ、はい」
「明日、金曜日だし」
「金曜日!!」
そうじゃん、明日金曜日じゃん!!
思わず頭を抱えた僕に、真鍋先輩が首を傾げてる。
部活はとりあえず1週間休めと言われた。
1週間経ったら足の様子を見つつ、部活に顔を出せって。
明日。
もしかしたら、真鍋先輩と一緒に学校に行けるのは………明日で、最後?
「ほら、横になれって」
「はい…………」
ぽんって頭を叩かれて。
チラッと見上げた真鍋先輩が、すごくすごく、カッコよかった。
「窓から見送っちゃ、ダメ?」
「却下」
「先輩ーーー」
見送りたいよ。せめて、後ろ姿だけでも。
「寝ろ」
「………はい」
「おとなしく寝てたら、帰りにも寄ってやる」
「本当!?」
「俺が風邪ひかせたようなもんだから」
「それは違うけど!!じゃあ寝る!!」
先輩が、来てくれる。
そのためなら僕ずっとおとなしくしてる!!できる!!
速攻でベッドに横になって、布団を被る。
ぶっって、真鍋先輩は何故か吹き出して、肩を震わせて笑っている。
え?ぼ、僕、何か変なこと、言った?
「連絡、しろよ」
「はい」
「じゃな」
掛け布団を直して、布団をぽんぽんって、あやすみたいに2回叩いて。
「行ってらっしゃい!!」
「行ってきます」
真鍋先輩は笑って、僕の部屋から出ていった。




