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ミルクティーを飲み終えて自転車置き場に着いた頃には、もうずいぶん暗くなっていて、少し空気がつんとして、寒かった。
ふと見た西の空がキレイだなって。
「先輩、見て」
思わず自転車を出している真鍋先輩に、空を指で差し示した。
僕の横に自転車を持ってきた真鍋先輩が、同じように向こうの方の空を見る。
「キレイだな」
真鍋先輩と見る、夕焼け空。
胸の奥が痛くて。ドキドキしっぱなしで。
キレイ、で。
「ほら」
「え?」
ふわりと首に巻かれたマフラー。
「俺は暑くなるから」
「でも」
「しとけ」
有無を言わせない強い言葉とは裏腹に、すごくすごく優しい、目。
「…………はい」
嬉しくて、でも何か、恥ずかしくて。
マフラーに顔を埋めて俯くと、真鍋先輩がぽんって僕の頭を叩いた。
「行くぞ」
「はい」
僕は真鍋先輩の腰にしがみついて、その背中におでこをくっつけた。
真鍋先輩が好きって言ったら、きっとおかしいよね?困るよね?
だから、言わない。
言わないけど。
溢れだした気持ちに、もう、嘘はつけないよ。




