ひつじとおおかみ
お待たせしました。
【神の視点】の続きからです!
ふらふらしてすみませんでした!
〈お父さん〉がいなくなって、ボクの心は空っぽになった。何も、満たしてくれない。
それに、【神の視点】とかいう変な力のせいで、たまに体が痛みで動けなくなることもある。御伽話だと思っていた不思議な力は本当にある…なんて感動は来なかった。
ボクは、〈お父さん〉とずっと一緒にいたかった。あの日、〈お父さん〉にあんなことを言わなければ、ずっとそう思っていた。
あれから半年が過ぎ、今塔に来るのは本当の父親に雇われているらしい召使いだけだった。ボクは本当の父親に会ったことが――いや、記憶がない。召使いに視点を移せば、父親のことはわかるだろう。でも、力に頼るのは嫌だ。〈お父さん〉の死を利用しているみたいでだし、あの変な天使に負けた気がするから。
ボクは、玩具箱の中から人形を取り出した。
9歳の男の子が人形遊び、なんて世間には笑われるだろう。でもボクは違う。世間と違う。みんなの遊びと違う。
テーブルの上に無造作に置いてあった鋏を手に取る。暗い部屋の中で、刃はキラリと光った。
そして、塔の窓の外に人形を持った手を出す。手を離してしまえば、人形は真っ逆さまだ。
ボクは息を吸い、歌を歌った。
――――ひろいのはらに ひつじがいっぴき おりました。
ちかくにおおかみ おりました。
人形の髪に鋏を入れた。
じゃきん。
――――おなかがすいた おおかみは
ふくふくふとった そのひつじ
次は両腕。
じゃきん。
――――ごはんにしようと ねらいます。
のんびりひつじは きづいてた。
両足。
ざくっ。
――――じぶんがみられて いることも。
じぶんがくわれる うんめいも。
胴体を真っ二つに。
しゃきん。
――――それでもひつじは うごかない。
それではおおかみ はしります。
最後に、首を……。
ざくっ。
――――いーただきます ごちそうさまでーした……。
これが、ボクの人形ごっこ。
なんでひつじ逃げないんでしょうか…。
逃げろよ!ってなりますよね。




