↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界に召喚されたけど、聖女じゃないから用はない? それじゃあ、好き勝手しちゃうから!  作者: 明衣令央
第一章・異世界転移と異世界転生

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

31/74

第31話・リュックサック


 午後になると、ジュニアスが私の荷物を持って、部屋にきた。


 王様と話したのが午前中だから、まだ数時間しか経っていない。


 こんなにすぐに持って来てくれるという事は、ジュニアスは以前から私の荷物を入手していたのだろう。


 そして、返してほしいと言わなければ、そのまま処分するつもりだったに違いない。




「これでいいか?」




「見てみる」




 荷物――元の世界から持ってきたリュックサックの中を確認する。


 リュックサックの中身は、財布、化粧ポーチ、ハンカチ、ティッシュで。




「サーチートがない」




 そう呟いた私に、「何だ、それは」とジュニアスが首を傾げた。




「私のぬいぐるみだよ。ハリネズミの……」




 今は、自分で動いて喋っちゃうけどね。




「そんなもの、入っていなかったぞ」




「どうして?」




「そんな事、俺が知るか。まぁ、入っていたとしても、捨てていたがな」




「どうしてよ!」




「お前の足元でチョロチョロしていた、おかしな生き物だろう。俺が見た時は吹き飛ばされて転がっていった、間抜けな生き物でしかなかったが、兵士たちからは、危険な魔物だという報告を受けているからな」




 オブルリヒト王国の報連相は、結構しっかりしてるらしい。


 そういや、ジュニアスが私を連れに来た時、サーチートの姿を見ていたっけ。




「あの子は、魔物なんじゃないよ、多分……」




 いや、確か、使い魔って言ってたような気がする。


 使い魔って、魔物なんだっけ?


 まぁいいや。とりあえず、このリュックサックの中には、最初からサーチートが入っていなかったというのは、ジュニアスの様子から本当の事らしかった。


 でも、これは、どういう事だろう?


 ジュニアスに見つかれば、捨てられるか壊される可能性があるから、わざと入れていなかったって事?


 それとも、サーチートがもう、ぬいぐるみとしても存在していないって事?


 一体、どっち?








「おい、昨日は大変らしかったな」




「は? 何の事?」




「ジュンを、よく止めたな」




「へ? あぁ、あの時の事か……」




 サーチートの事を考えていたら、ジュニアスから話しかけられた。




「あの時、ナディアの部屋には、俺も居た……。ジュンが暴走していれば、俺も死んでいたかもしれん……」




 あぁ、そう言えばそうだったなぁと思う。


 私はナディア様とアニーさんの事しか考えていなかったけれど、ノートンが少し乱暴にジュンを止めたのは、ジュニアスのためだったんだろうなぁ。




「あのさ、ちょっと聞きたいんだけど」




「なんだ?」




「あのジュンって女の事、どう思ってるの? すごく危険な女だって、思っていないの? はっきり言うけど、あの女、おかしいよ?」




 私がそう言うと、そうかもしれんな、とジュニアスは頷いた。




「だが、欲しい物は何が何でも、どんな手を使っても手に入れるという姿勢は、俺に、そして俺の母に似ていてな、俺はジュンのそういうところを、気に入っている」




「あ、そうなんだ……」




 ジュンが似ているという事は、ジュニアスも彼のお母さんも、ジュンのような性格というわけか。


 恐ろしい三人組である。


 だけど、そんな人たちばかりで、上手くやっていけるのかな?


 譲り合いとか、できないんじゃないの?


 ちらりとそんな事を思ったけれど、どうでもいいかと思い直した。


 私はジュンのような人間とは、一緒に居たくないから、つまり、ジュニアスとも一緒に居たくない。




「おい、ジュンの事だが、なるべく何もしないように、こちらでも気を付けるが、お前の方もジュンを挑発するなよ。大人しくしておけ」




「はいはい」




 適当に返事をした私に、ジュニアスはため息をつく。




「殺されたくなければ、大人しくしておけと言っているんだ。俺は、矛と盾、二人の聖女を、どちらも失いたくないんだ。お前たちの力を使って、この国が、いや、俺が、この世界の王……ルリアルークの王になるのだ」




「は?」




 何言ってんだ、こいつ……という目で、私はジュニアスを見てしまった。


 この男は、私がその手伝いをすると思っているのだろうか。


 絶対に、嫌だ。手伝いたくない! 絶対にだ!




「おい、大人しく言う事を聞いておいた方がいいぞ。死にたくなければ、な」




 私が考えている事がわかったのか、ジュニアスがニヤリと笑う。




「そうでないと、ジュンの望むようにさせてしまうかもしれんぞ。俺は、そうはしたくはないのだがな」




 ジュニアスはそう言うと、私の前から立ち去った。


 つまりあの男は、言う事を聞かなければ、私が盾の聖女だろうが何だろうが、殺して捨ててしまおうとしているわけだよね。


 こんな事を聞いたら、ますます協力なんかしたくないし、ここから早く出て行きたいと私は思った。


 だけど、どうやったらここから出ていけるのだろう?



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。