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匍匐飛行 ~ ヘリコプターパイロットの細腕戦記 ~  作者: 梅小路 双月
第3部 エピローグ
139/140

今回のお仕事も概ね無事終了

 私は150mという申し分のない距離にまで近寄り、20mm機関砲4門の本物の火力を解き放つ。すると、辛かった戦闘訓練 ―それが勝利の大きな、そして唯一の秘密である― の時と全く同じように、目標にぴたりと命中する。機関砲弾は、敵機の左翼から食い千切り始め、翼の付け根へと着弾点を移し、恐ろしい爆発と共に全てが終わった。


     イスラエル空軍 大佐 アハロン・ヨエリ




 市街地を飛び立った敵のVTOL攻撃機フォージャーを撃退(?)した後、事態は急速に進展して終息へと向かった。

 市庁舎を占拠していた敵は、地上部隊の突入に(指揮系統の乱れから結構グダグダだったにも関わらず)あっさりと投降、人質も無事解放された。

 地上戦による人的・物的損害は当然発生したものの、当初見積もられた物よりも桁一つは少なかった様だ。


          ◆


「しかし捕獲された乗員の一人が、カーボラーブ市の市長だったとは」


 ここは、ドック型揚陸艦ギール・ジャール内に設けられた航空機搭乗員控室で今は民間軍事警備会社 エアアーマー社の待機所兼ブリーフィング・ルームとなっている部屋であり、隊長であるサッド以下、パイロット全員と整備クルーの責任者クラスが勢揃いしている状況だ。


「フォージャーが複座型だったのは、気付けなかったわね」


 れっきとしたチナヌカマ領であるベラランタ島に対する隣国による武力侵攻は、ほぼ事態が終息しつつ有り、派遣艦隊は事後処理に必要な最小限の艦を除きそれぞれの母港へと帰還の途に就いているが、旗艦であるギール・ジャールは本来持つ指揮機能及び多用途性能力故に引き続き現場海域に留まって作戦行動を継続中である。

 既にわが社に依頼された《支援》も、その任務を終了しており離艦のタイミングを待つ状況に有る。


「それにしても、敵もあっさりと白旗を上げたもんだな」

「そもそも、敵にしても当初の計画とは全く違った状況に陥ったって認識だったらしいからな」

「そうなんですよ。

 我が軍の反応が激烈かつ素早過ぎたみたいで」

「いや、自国領土の島に武力侵攻されたら奪還作戦を実施するのは当たり前だろ」

「まあ、それには色々と経緯が有りまして。

 最も大きな理由は、海軍がドック型揚陸艦2隻を進水させた事と引き換えに、老朽化していたLST(戦車揚陸艦)を大量に退役させた事が、誤ったメッセージを相手に与えてしまった様で」

「へえ~、そうなんだ」

「そうなんですよ。敵国側も状況をコントロールしつつ増援を投入して、我が国との交渉に持ち込む意図だったらしいのですが」

「今回は、初動で持てる最大の戦力を一気に投入する判断をこの国が出来た事が、幸いしたと云う事でしょうか」

「それは本当に僥倖でした。

 更に言うなら、敵に通じていたカーボラーブ市長がイイ感じにポンコツだったのも我に有利に働いたと思います。

 ただ、それも現段階では憶測の域を出ませんが」

「事が事だ。今後も、公になるかは不明か」

「ま、今回の紛争も政治の段階に入ったって事で」


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