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「いらっしゃい、鑑定じゃな。」
この髭を長く生やした老人は、アマディア共和国唯一の鑑定所らしい。
辿り着いた街で聴き込みを続け、この場所が最適解であると判断した。
どうやら能力を教えてくれる場所のようだ。
薄暗い店内が妙に不気味で、早くここを出たいと思うほどであった。
「鑑定をお願いします。」
「ほうほうどれどれ、これは驚いた。お前は、魔力を有しておらぬ。どういうことじゃ、全国民が魔法を使えるはずじゃが。不思議なことじゃのう。」
私にとっては、魔法を使えないことは普通であったが、この世界ではそれがイレギュラーなことらしい。
本当は私も火を飛ばしたり、物を持ち上げたりしたかったが、あまり求めすぎるのも体裁が悪いと考えこの状況を受け入れた。
「あのこの剣について何かご存知ないですか?」
私は鑑定士に剣を渡した。
彼は興味津々のようで、剣の持ち手から先端までをくまなく調べていた。
「うーむ、ヴァルキリーとな。」
「何かご存知ではないですか。」
「詳しくは知らんのじゃが、少しばかり書物で。その昔ある村でそれはそれは美しい女性がいたそうじゃ。彼女は戦いだけを求め突き進んでいた。孤立無援の彼女は自分の強さだけを追い求め、やがて死に至る。私が知っているのはここまでじゃ。その続きが全く見つからんでのう。」
その続きが知りたいのであった。
強さを追い求めれば求めるほど死に近づく?
今の私の知識力では真実には辿り着くことはできなかった。
鑑定所を出たが、頭の中がもやもやしていた。
ヴァルキリーって一体何なのか?
「ぐぅぅー」
そういえば、この世界に来てから一度も食事をしていなかった。
「お金とかないかしら。」
ポケットを弄ると薄い石のようなものが出てきた。
多分これがここの貨幣なのだろう。
とりあえず目の前にある店に入った。
適当に注文をすませ、料理の到着を待つ。
「お待たせしました。」
「うっ…」
唯一知っている料理だからという単純な理由でパスタを注文したが、上に具材はなく、麺を塩のみで味付けいたものであった。
「なんか物足りないなー。」
この世界はまだ食の発達が進んでいないようだった。
しかし、空腹であったためそんなことは全く気にならなかった。
「カンカンカンカン」
町中に大きな鐘の音が響く。
「勇者が凱旋したらしいぞー。」
「行ってみよーぜ。」
「今度こそ魔王を倒したのか?」
私も街人の流れる方向へ移動した。
「すっすいません。魔王をはあ、倒すことが、はあできませんでした。」
みると最初にあった3人がボロボロの状態で国の門を潜ってきた。
私にあれだけ大口を叩き、吠え面を描いていた彼らがこのようになるとは、魔王ってどれだけ恐ろしい人なんだ。
「帰ってくるなよ。魔王倒してないくせに。」
住人は、勇者たちを目掛けて石ころを投げて罵声を浴びせた。
期待を裏切られた焦燥感が溢れた結果であろう。
勇者は私を見つけたようでこちらをまじまじ見ていた。
「プラシア、この勇者パーティに帰ってきてくれないか?さっき言ったことは撤回する本当に申し訳なかった。さっき俺たちみたんだよお前が狼の化け物を倒すところ。」
「申し訳ございません。私何も覚えていませんでして、特に思いれもございませんが断らせてください。」
私は振り返り、スタスタと勇者とは反対方向を歩き出した。
やはり私は自由に暮らしたい。
だから勇者さんごめんなさいね…お力になれなくて。
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