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突然飛ばされた世界は、自由であった。
剣をいくら振り回しても、叱られることもない。
私だけのユートピアのようであった。
本物の剣は、重くて女の私では振り回せないと思っていたが、案外軽かった。
竹刀とは全く違うようであった。
「今の私は舞姫、なんてだだっ広くて美しいところかしら。」
今までこれほど笑顔になったことはない。
運動音痴の私がこんなに身軽に動いているなんて信じられない。
夢かと思い頬を思い切りつねってみたがなんの変化もない。
つまり、この状況は現実であった。
「誰だ。この地域は我々魔王軍の領土だ。小鼠がちょこちょこ何をしている。」
大きさは私の倍ぐらいであろうか。
二足歩行の怖い顔をした狼が私の元に歩み寄ってきた。
威圧感に圧倒され少し後退りをした。
こいつは、多分やばい。
そういえばさっきあの勇者っぽい人たちが、魔王の近くとか言ってたっけ。
ゲームだったらレベル1の旅人が、いきなり魔王軍と戦うようなこと。
まずいと思った時にはもう遅かった。
狼は腕を合わせ、何かためのような体制に入った。
次の瞬間、ビームが私を目掛けて飛んできた。
アイツあんなにムキムキなのに、遠距離攻撃なのかよとツッコミを入れたかったがそんな暇はない。
避けようと考える前に体が動いていた。
あんな攻撃をまともに食らったらひとたまりもない。
だが、私はこの戦いを楽しんでいた。
剣を持ち敵とばちばちにやり合うことが子供の時から夢だった。
「なんて気持ちいの。」
私は、狼の懐まで次々にくるビームを華麗に避けたどり着いた。
「いけーーー」
渾身の一振りが、狼にクリーンヒットした。
「何この威力…」
周囲にあった数百本の木が横に真っ二つになっていた。
ここでの私は最強なんじゃないか。
そう思ったのも無理はない。
狼は今気絶しているようだが、またいつ襲ってくるのかわからない。
だから私は走ったとりあえず引き返し、人が暮らす街へ行きたいと考えた。
ーーーー
ヴァルキリーとは何なのか?
私はどうしてここへ飛ばされてしまったのか全く皆目検討も付かなかった。
神様が自分の願いを聞き入れてくれたのか。
まずは、情報が欲しかった。
少し先を進むと湖が見えてきた。
水が透き通っており、美しく映えていた。
喉も乾いたので少し水を飲もうと、両手をカップのようにし水を掬おうとした。
「ええっ。」
水面に反射した顔はまさしく私であった。
「ということは私の身体であんな動きができてたってわけ?」
あんなに弱く、剣道の試合でも1回も勝ったことがないのに。
この国はまだ謎だらけで曖昧なことばかりだ。
今すぐ、全てを理解する必要はない。
きっと進んだ先に答えがきっとあるはず。
私は両手で顔をパンパンと2回叩き、気持ちを切り替え先へと進んだ。
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