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私は剣が大好きだった。
1振り1振りに気持ちを込めると、剣もそれに呼応する。
高校1年の春私は、剣道部に入部した。
部員は2年生の先輩一人だけであった。
そのため、私は彼によく可愛がられていた。
しかし、
「なぜだ。君に基礎を教えてもう1年じゃないか。どうしてこんな簡単なこともできないんだ。」
先輩の呆れたような顔が私の心を抉った。
私はただ、型に縛られず剣でフィールドを舞踊りたかっただけだ。
それなのになぜ、可能性を狭めるのか。
「1本!お互いに礼。」
これで、35連敗。
自分には才能がないことは十分理解していた。
でも、諦めたくなかった。
ある日、いつも通り剣道場を訪れたが、そこで衝撃な一言を言い渡された。
「お前、明日から来なくていいよ。部員二人だけだから渋々付き合ってただけだけど、もう我慢の限界だ。お前と練習していると、下手になる。
強くドアを閉められ、その後少し時間が経ち
「1、2」
と掛け声が聞こえてきた。
突然のことで、呆然としていた。
ただ一つの居場所を失ってしまったことは私にとってとても重要なことであった。
「もう夕方だな、烏も泣いている。」
体育館の裏はほとんど誰も立ち寄らない。
ここにくると安心する。
誰の目にも止まらないから。
よくここで弁当を食べている。
しかし、今日に限っては全く落ち着かなかった。
一番大切にしていたものが抜き取られ、空っぽになっていた。
今まで、クラスメイトに酷い仕打ちをされても歯を食いしばり耐えてきた。
今日は涙が止まらなかった。
「悔しい、自分が情け無い。」
体操座りで身体を小さく小さくしてうずくまった。
涙が下の芝生に滴り落ちる。
一滴のお粒の涙が、大きな石に浸水した。
「眩しい!」
光が私の周囲を埋め尽くし、その輝きに耐えきれず、顔を手で覆った。
「ようやくここまできた。長く辛い道だったなあ。」
目を開けると、周りに3人の異文化の服をきた少年少女が立っていた。
私は突然のことで全く理解が出来なかった。
「ようやく魔王目前だし、そろそろいいんじゃない。」
紫色のとんがり帽子をかぶる金髪美少女が、頭にかんむりのようなものをつけたリーダーのような男に話を始めた。
「そうすね」
リーダーの隣にいた私よりも小さく可愛らしい見た目の男が同意を示した。
彼らの視線が一気に私の元に集まる。
緊張感から私は、唾を飲み込んだ。
「君は近接戦闘しかできない。この魔法至上主義のこの世界でね。俺たちはお前が死なないように、サポートをしてきた。でもお前が敵を倒せたことはあったか。」
「……ん?」
内容を全く理解することが出来ず、言葉が何も出てこなかった。
「要するにお荷物はこのパーティーにはいらないということ。つまり、プラシア君は追放だ。」
その言葉を残し、3人は前へと歩き出し数分もしないうちに見えなくなった。
この状況は現実の世界とリンクしているように感じた。
剣道部で起きたことと同じように悔しさと虚しさがあった。
自分の周りを眺めてみると、今まで制服であったはずなのに、さっきの3人と似たような服装になっていた。
それに腰に剣を携えていた。
その剣は、重く切れ味が鋭そうで、おもちゃ屋のものとは比べ物に精巧に作られていた。
剣の持ち手には文字が刻まれていた。
よく見えなかったので、服を使って汚れを綺麗に払った。
「ヴァルキリー?」
何がなんだか分からないが、不安よりもワクワク感の方が優っている気がした。
ぜひ星をキラキラさせて次話をお読みください。
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