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…地球じゃないって。そんなにクールな顔でサラッと当たり前かのように言われるとどうリアクションしたら良いか分からなくなる。
戸惑って返事をせずにいたら、神月は説明を続ける。
「ここは”フルーディア”っていう名前の星。ほぼ地球と同じサイズで同じような形、地球との位置関係は全く不明。」
神月は太陽を眩しそうに見上げる。
「あれは太陽によく似た恒星で実際は太陽ではない。…だけど不思議なことに、この世界であれの呼び名は”太陽”。太陽が名づけられた時から地球とフルーディアを行き来できる誰かがいたって言われてる。夜になると巨大な月が見えるけどそれも実際月ではない。星空は綺麗だけど地球から見える星座は一切見えない。」
やっと、聞きたかったことが聞けた。丁寧に説明してくれて助かる。とりあえず聞いた説明を一旦全て受け入れる。ここまで何も分からないと、信じるも信じないもない。
「先輩は、なんでこの世界にいるんですか?」
「俺は親父がこの世界の人間で、母親が地球の人間だから子供のころから地球と行き来してる。地球とフルーディアを行き来できる人はかなり限られてて、その道を作ってもらうにはそうだな…地球で言う1億ぐらいかかる。」
「えぇぇ!神月先輩、お金持ちなんですか?」
「懸賞金かかってるやつとっ捕まえれば大金が稼げるけど、親父が結構有名ってか…その話は重要じゃないから追々。…で、ここからが本題。」
まだ本題じゃなかったのか…と思いつつ頭の中を整理する。話を聞いている限り、懸賞金がかかっている人間を捕まえることができるような強い者であればこの世界でお金に困ることはなさそうだ。地球との道を作るとか、誰が、どのようにして?気になるが、そこまで細かい話を聞いていたら先に進まなさそうだ。大まかに必要なことを話してくれているのだろう。
「この世界の言語は地球とは違う。フルーディアにも地球と同じようにいくつもの言語があって、それぞれの国で言語を聞き取れるようになれる”言語の飴”が販売されている。見ての通り、この世界には、魔法のような力が存在してそれを使える人間は身体能力も一般の人間より高いことが多い。そういう人たちのことを”ディフ”っていう。…信じられないだろ?」
魔法のような力。魔法と言わないのにも意味があり、何か原理があるのかもしれない。しかし、あの絵本には魔法と書いてあった。新しいことを知れば知るほどに聞きたいことが逆に増えてしまう。
「…うん、アニメの世界みたい。でも、なんでかそこまで驚かないというか、記憶のどこかに特殊な能力を使う人とか、この世界の情景が少し残ってて…」
「それなんよ。桜はこの世界の言語が来た時点で分かってた。ってことは、以前言語の飴を食べたことがあるってことになる。学校から来たあの扉も俺が行き来するために作ってもらった道で、通常ディフじゃないと通れないんだよ。普通の人間なら弾き飛ばされる。」
「じゃあ、私もその…ディフってこと?」
でも、その他の魔法など使える気がしない。使い方すら分からない。いたって普通の人間だ。それが使えるというのならわくわくして仕方がないけれど。
「…それが、ディフには通常特殊な能力を扱うために必要な力が巡ってるんだけど…桜からはあまりそれが感じられないんだよ。何が起きてるのか俺にもよく分からない。」
…なるほど。魔法が使えるようになることは、あまり期待しない方が良さそうだ。そしてこの世界に長くいる人に分からないことが自分に分かるはずがない。ここは考えるのをやめよう。
桜の膝の上にいた白は、むくっと起き上がって言う。
「情報屋に行く。こんな時はあのジジイに聞くのが一番じゃ。」




