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魔王の異世界戦記~その最強の実力は願った平和を求めるために~  作者: D-delta


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▽第31話 選ばれる者たち

 王城、謁見の間にて。

 食事中のトレイルとマカルタ、ルゼン王を庭園に残し、ユウとポクニ公爵は謁見の間へと戻っていく。


「あ、ユウ君!」


 謁見の間に入ると、先に戻っていたルーシーがいつもの元気さで近寄ってくる。


「イサム殿、戻られたか」


 ジェズ侯爵の声。

 ルーシーの後ろにはリシタ伯爵とジェズ侯爵がいた。ロミ大臣はいない。

 マナと思考型魔法のことを話すには丁度良い機会であった。


「リシタ伯爵、ジェズ侯爵、実は……」


 ポクニ公爵が話を切り出す。

 そして秘匿が破られた全てのことをリシタ伯爵、ジェズ侯爵にも話した。


「あれ、マナとかって王様が話しちゃダメって言ってなかった?」

「状況が変わったんだ、ルーシー」

「はぁーん……なるほどねぇ」


 ルーシーは秘匿が破られたことを把握。

 秘匿が破られたということは、ルゼン王から言い渡された他言無用という鎖が外れたということを意味する。


「そんで話の本題は? ユウ君の力を受け取ろうって感じ?」

「察しが早いな」

「へへぇーん♪」


 ポクニ公爵が言わずとも、ルーシーとユウの会話でリシタ伯爵とジェズ侯爵は大体の本題を把握。

 そのままジェズ侯爵が「誰がイサム殿の力を受け取りに?」と話を進めた。


「イサムに同行する指揮官、代表者が該当する」

「え、じゃあ僕も該当するのですか?」


 リシタ伯爵は自分が該当者なのか、反射的に自分に指を差した。

 もちろんアルセイダ家から供与された戦力の代表者は、アルセイダ家の人間でいて攻勢に同行するリシタ伯爵の他にいない。


「リシタ伯爵はアルセイダ家の代表者として同行するのだろう?」

「はい、もちろんです!」

「じゃあ今からイサムやワシと同じ勇者だな」

「……は、はい!」


 ポクニ公爵から直々に勇者呼びされて、リシタ伯爵は口角を上げて静かに喜ぶ。

 マナを受け取る四人目はリシタ伯爵で決まりである。


「リシタ伯爵も力を受け取って、同行するのですね」

「ジェズ侯爵はどうする?」

「私は王都騎士団の指揮と管理があります。ですが、今回イサム殿に供与する戦力の指揮官に丁度セグメンタ家の者がおります。力は彼女にお与えください」

「うむ、分かった」


 セグメンタ家からも代表者が決まった。

 これでマナを受け取る者は五人目。


「うーん、ユウ君」

「なんだ?」

「アタシも、同じ力が欲しいかも」

「分かった」


 ルーシーは言う。

 彼女はなにかの指揮官でも代表者でもない。が、ユウは彼女を信頼している。


「ルーシーにもマナを──」

「待て、イサム殿」

「?」


 ルーシーにもマナを与えようすると、ジェズ侯爵が止めに入った。


「ルーシーは魔王だ。穏健な元勇者とはいえ、彼女に力を渡すのは危険だ」

「怖がり過ぎたって、ジェズさん。アタシは世のため、人のため、ユウ君のために力を使うだけだから!」

「それをどれだけ信用して良いことか。私には疑問が残る」


 魔王のルーシーを信用出来ないというジェズ侯爵の意見。

 魔王という存在に力を渡すのは不安要素がある、そういう判断だった。


「気持ちは分からなくないがな、ジェズ侯爵。しかし元だろうと、彼女は勇者だ。そういう排他的なのは彼女を初代魔王と同じにする行為だぞ?」

「僕もそう思います! それにルーシー様は優しくて可愛いんですから!」


 そんなジェズ侯爵の意見に対して、ポクニ公爵とリシタ伯爵はルーシーがマナを受け取ることに賛成。

 魔王とはいえ、元勇者。そして裏表のないルーシーの性格は信用に足るものがあった。


「ジェズ侯爵、ルーシーは信用出来ます」

「少しでも騙されている可能性は?」

「ないです」

「なぜ、そこまで言い切れる?」

「もしも良からぬことを企んでいるなら、実行に移すチャンスはこれまでに何度もあったはず。でもしなかった。それに──」

「それに? なんだ?」

「ルーシーは俺を好きでいて、また俺もルーシーが好きです。これで納得頂けると思いますが?」


 ユウはルーシーがなにも悪いことをしていない事実と互いに〝好き〟という絶対的な信頼があることを言う。


「……いいだろう。決めるのは君だ、好きにしたまえ」

「ありがとうございます」


 魔王という先入観から不信感を抱くジェズ侯爵でも、ユウが口に出した事実と信頼は理解出来る。だからルーシーに不信感を抱いたままでも、後の判断は全てユウに託すことにした。


「ユウ君」

「どうした、ルーシー?」

「えへへ、さっきの聞いてたら顔が熱くなっちゃうなって!」

「そういえば俺のことをクール系とか言っていたよな? 抱いて冷まそうか?」

「ちょっ! それ更に熱くなっちゃうてばぁ!」

「?」


 澄ました顔のユウの発言に、ルーシーは顔をほんのり赤く染める。

 そうしてマナを受け取る者はルーシーで六人になった。


「イサム、これくらいで充分か?」

「はい、ポクニ公爵。とりあえずは六人で抑えてきましょう」

「うむ。後はビス家の姉妹とルゼン王が戻ってから行動を起こすとしよう」


 力を受け取る者の選出は終わった。

 トレイルとマカルタ、ルゼン王が食事を終えるまでユウたちは謁見の間にて待つ。

 全員が揃えば、攻勢の始まりである。

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