▽第32話 ロリカ・セグメンタ
どうも、しばらく風邪を引いていました
ようやく治ったので更新再開出来ます…しかし久しぶりの風邪は中々厳しいところがございますわ
王城、謁見の間にて。数分後。
食事を終えたトレイルとマカルタ、ルゼン王が戻ってきて、謁見の間に全員が集まる。
次にすべきは王都騎士団から供与された戦力の受け取り。そして今回同行する王都騎士団の代表との顔合わせ。
「ジェズ侯爵」
「うむ、待機させてある騎士団に案内する」
全員が集まったところでユウは合図を送り、ジェズ侯爵は案内を始める。
そうして王城内を歩くこと数分。
ユウ、ルーシー、トレイル、マカルタ、ポクニ公爵、リシタ伯爵の六人はジェズ侯爵の案内で騎士団が待機している場所の一つ──第一騎士館に着く。
「あそこだ」
そのままジェズ侯爵は案内を続ける。
足を進める先には約千人という大勢の騎士たちの姿。第一騎士館の広い敷地内で鍛錬や休憩をしながら待機している。
「ジェズ侯爵、あれが用意した戦力ですか?」
「そうだ」
この待機中の騎士たちこそ、ジェズ侯爵が用意した戦力。
騎士たちはいずれも全身を金属で固めたフルプレートアーマーではなく、一部に金属板を使ったレザーアーマーを装備。
肌の露出がほとんどないとはいえ、重装備で攻撃に特化させる王都騎士団の装備とは真逆の軽装備であった。
「いつもと装備が違うな」
「イサム殿に同行させますからな、ポクニ公爵。王都騎士団の戦い方は出来ないと判断したまでです」
ポクニ公爵の指摘にジェズ侯爵が答える。
ユウたちに同行、つまり国外へと長距離の攻勢をするなら、国内で本領を発揮する王都騎士団の戦い方は出来ない。それ故の軽装備だった。
「あ、お兄様ー!」
待機中の騎士たちに近付いていくと、金髪でショートヘアの少女がこちらに向かって手を振ってくる。
ジェズ侯爵は応えるようにして、その少女に手を振り返した。
「お兄様……セグメンタ家の者とは、あなたの妹ですか?」
「そうだ、イサム殿」
手を振ってくる少女はジェズ侯爵の妹。
しかしジェズ侯爵は壮年で四十歳は超えている。それに対しての妹はまだ十代後半の少女。
兄と妹にしては年齢がかなり離れているように見える。
「中々お若い印象の方ですね」
「印象じゃない。実際、若いんだ」
ユウが聞くと、ジェズ侯爵は実際に年齢が離れていることを答えた。
「これも婚約を破棄した影響だ。イサム殿は分かっているな?」
「はい。話は覚えています」
「あの後、セグメンタ家の血筋が途絶えることを危惧されたんだ。それで両親は私に王都騎士団の全てを任せ、現役を引退。子作りに専念した結果、二十歳差もある妹が生まれたという訳だ」
詳細な事情の説明が挟まる。
その年齢差は、マレイア辺境伯との婚約を破棄したことが影響していた。
「お兄様!」
幼さが残る笑顔でジェズ侯爵の妹が走り寄ってくる。
近付いてきて鮮明に見えてくるほど、その年齢差が如実に表れる。
それでも親し気な様子。年齢差があっても、兄妹として仲の良い関係性が見える。
「待たせた、ロリカ。出番だ」
「はい、お待ちしておりました!」
そうしてジェズ侯爵の妹は自らの兄に向けていた好意的な視線を、ユウたちの方へ移した。
「初めまして、皆様方。私はロリカ・セグメンタと申します。今回、皆様に同行する王都騎士団の代表者です」
礼儀正しく、丁寧な自己紹介。ジェズ侯爵の妹は自分の名前──ロリカ・セグメンタを名乗る。
「私のことはロリカと呼んでください。これから戦いを共にする者の一人として、気軽に接してくださいね!」
「了解した。俺はイサム・ユウ、これからよろしく頼む」
「はい、新しい勇者様! こちらこそよろしくお願いします!」
ロリカから手を差し出され、ユウは応じるように握手。
挨拶と握手を交わして第一印象を良くしながら親交を深める。
「活躍を期待しているぞ、ロリカ」
「はい! 期待して待っていてください、お兄様!」
ロリカの自信があると同時に元気の良い返事。
ジェズ侯爵は「フッ」と笑みを漏らす。
「では、イサム殿。妹のことをよろしく頼む」
「はい、ジェズ侯爵」
これでロリカと供与された約千人の騎士が仲間に加わった。
「次は──」
「我らビス家の兵団だな」
「まずはアタクシたちの村、ルデンバ村ですわね。お母様はまだそこにいるはずですわ」
王都騎士団の次は第二防衛線のビス家からの戦力供与。
「第二防衛線に移動だな。ロリカ、行けるか?」
「もちろんです!」
ビス家からの戦力を受け取りに、早速移動を開始する。
「特別攻勢騎士団! 集合してください!」
ロリカの移動指示により約千人の騎士が待機状態から移動に移行。
特別攻勢騎士団と名の付いた騎士団が動き出す。
「イサム、この人数でルデンバ村への転移は可能か?」
「可能ですが、大規模な人数の転移となると転移に失敗する人員の発生に心配があります」
「それならワシの魔法教団にある転移陣を使おう。ルデンバ村に魔法教団の施設があるから直行で行ける」
「そうしましょう。そちらの方が確実です」
思考型の転移魔法は人の頭で制御する都合上、認識出来ていない人員を転移出来ずに置いていく事案が発生することがある。
その発生を防ぐために、今回は転移陣による確実な移動を選択した。
「ワシに付いて来い」
「了解。全員、移動するぞ」
「特別攻勢騎士団各員、移動します!」
ポクニ公爵の案内で転移陣のある魔法教団の施設に移動。
ロリカと特別攻勢騎士団を引き連れて、ユウたちは第二防衛線に向かう。




