▽第28話 戦力供与
ユウたちは王都ルクセフォンの王城へと転移。思考型の転移魔法で第一城壁都市ルキセディアから一気に移動した。
同時にアベイラ公爵の変身魔法も解けて衣服は元に戻る。
「すごい! あっという間に王城だ!」
「戦闘時の短距離転移だけでなく、こんな長距離の転移まで出来るとは……!」
思考型の転移魔法を初めて体感する、リシタ伯爵とポクニ公爵。詠唱の動作もない一瞬の長距離転移に二人は驚きと感動を隠せない。
「その力が手に入れば全てが変わるな」
「ポクニ公爵、秘匿を破る件の前にまず戦力供与の確認をします。よろしいですね?」
「構わない。行こう」
ユウの力の秘匿を破ること、戦力供与のために全員は王城へと入っていく。
※
王城、謁見の間にて。
ユウたちはポクニ公爵とリシタ伯爵を加えて、再びルゼン王とロミ大臣、ジェズ侯爵と顔を合わせる。
「よく帰ってきた! 第一防衛線でも戦闘があったと聞いたぞ、少しは休んでいくかね?」
「いえ、俺は大丈夫です」
「他の者は?」
ルゼン王は疲れを見せないユウ以外に訊く。
すると「ちょっとトイレに行きたいかも」や「なにか飲み物か食べ物を頂きたいです」と声が出てくる。
「これが最後の食事、最後の顔合わせとなるかもしれぬ。存分に休んでいくが良いぞ」
ルゼン王は言う。
そこからそれぞれに動き出す。
「あの、おトイレはどこぉ?」
「僕が案内しますよ」
「ありがとー、リシタ君!」
ルーシーはリシタ伯爵の案内でトイレへ直行。
お腹を空かせたトレイルとマカルタはルゼン王に「庭園へ来なさい」と誘われ、庭園へと向かう。
「ポクニ公爵はどうしますか?」
「ワシは勇者イサムと残る」
「ではついでです、戦力供与について話しましょう」
「うむ」
謁見の場に残ったユウ、ポクニ公爵、ロミ大臣、ジェズ侯爵の四人は戦力供与について話すことを決める。
「まずは私、王都騎士団から。先に話した通り約千人を確保しておいた。どの騎士もまだまだ未熟者だが、素養はある。上手く使ってくれ、イサム殿」
「ありがとうございます、ジェズ侯爵」
ジェズ侯爵の王都騎士団からは約千人。言葉通りの数字の戦力供与である。
「次は王家直属兵団だが、すまない。こちらからの戦力供与はない。ルゼン王を含めた要人の護衛など、万全を期す必要があるから供与の余裕はないということだ」
「構いません。足りない分は俺がカバーしてみせます」
「すまないな。負担を掛ける」
王家直属兵団からの戦力供与はない。ロミ大臣は申し訳なさそうに答える。
王家直属兵団は少数精鋭。規模は二百人にも満たず、万全を期すために戦力供与の余裕はないという事情があった。
「イサム、ワシの魔法教団からも戦力を供与しよう。他より人数は少ないが、魔法を使いこなせる強力な人員だ。ワシも同行するから指揮は任せたまえ」
「ポクニ公爵もですか?」
「元とはいえ、ワシとて勇者だからな。今こそ出番であろう」
ポクニ公爵が抱える魔法教団からも戦力供与が決まった。
マジックキャンセルの懸念はあるが、魔法による大火力の投射から回復などのサポートまで出来る集団──この世界の魔法に精通したポクニ公爵と魔法使いたちが戦列に加わるのは頼もしい限りであった。
「イサム殿、用意した戦力は既に待機させてある。出撃する際は一声掛けてほしい」
「了解。ルゼン王に用件があるので、後ほどお伺いします」
「私はルゼン王が戻るまで謁見の間にいる。用件が終わったら来ると良い」
「はい」
戦力供与の話はそこで終わる。
「イサム」
「はい、庭園に行きましょう」
「食事中に邪魔をすることになるな」
「気分を害してでもやらなければならない。そうでしょう?」
「その通りだ。行くぞ」
次はユウの力の秘匿を破ること。
ユウとポクニ公爵はルゼン王がいる庭園へ向かう。




