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第二章 4


ファティには今、切迫したある悩みがあった


「さすがにもう使えませんね・・・」


洗い場で灰色にくすんだ、もとは真っ白だった襤褸切れを手に、少女は困り顔だ。

それはよく見れば三角型に縫い合わせられており、二つ大き目の穴がつくられていた。

そう肌着である。

繊細な下半身を守るために作られた、薄いがとても頼りになる存在だ。


「困りました、もともと着の身着のまま逃げてきたからこれ一枚しかないんですよね。」


オーキーとこの森に棲むようになってから、毎週洗濯をかかさずだましだまし履いてきたが、安物の素材で作られたその布は耐久力に限界がきていた。

足を通すための空き口は糸がほつれ麻袋のような見た目になっており、穿き心地もごわごわとしており、気持ちのいいものとは言えない。


「でも、ないと虫にかまれたりするしなぁ。何より履いてないのは恥ずかしいし。」


普段、洗濯中は大き目の葉っぱを腰に巻いて、乾くまでごまかしているが、それでも恥ずかしいので、なるべくオーキーからは離れて過ごしている。


洗濯物を済ませて、洞窟に戻ってきたファティは開口一番に言った


「オーキー、お願いがあります。」


「いいぞ」


「まだなにも言ってませんよ」


「ファティの頼みなら叶えられることは何でも叶えるよ」


「甘やかしすぎです。私そんなにダメなこじゃないですよ」


「いや、甘やかしているつもりはないんだが。それで、何をしてほしいんだ?」


「もうっ! いつもそうなんですから。お願いというのは、街へいきたいんです。」


自分のお願いなら本当に何でも叶えてしまいそうなオーキーに呆れつつも、その優しさに胸が温かくなる。


「街、かぁ・・・。俺はこの体と見た目だから、街には滅多に入らないんだ。」


「あ、そうかそんなこと考えもしていませんでした。ごめんなさい。」


あまりに自然と人間扱いしてくるファティにはいつも驚かされる。


「大丈夫だよ、気にしてないから。それより街か、何か欲しいものでもあるのか?」


「えっと、あの、その・・・秘密です!」


顔を赤らめ、耳まで真っ赤にして答える。

するとファティの足元に一匹の白い兎がすり寄ってきた。


「キュキュ?(どうしたのごしゅじん)」


「あら、カルロったら。ふふっくすぐったいわ」


「キュキュ?キュキュキュッ?(けんか?でっかいやつける?)


「大丈夫よ、お話しているだけだから。」


言葉が通じているわけではないが、何となく心配しているような感じをうけたファティが安心させる。


「この兎、なんか殺気放ってるんだが」


以前大けがを負っているところをファティによって助けられた蹴爆兎のカルロは、献身的なお世話によって命を拾い、そのままファティになついてしまった。


追い出すわけにもいかず、そのままこの洞窟で飼うこととなった。

ちなみに名付け親はファティだ。


危険な魔獣である蹴爆兎に常に警戒しているオーキーは、そのせいでカルロには嫌われている。


「その兎やっぱり捨ててこないか?」


「おこりますよ」


「キュー!(やんのか!けるぞ!)」


おしりをあげて戦闘態勢に入るカルロ。


「わかった、わかったから蹴ろうとするな」


「だめよカルロ、この人は私の大切なひとなのよ」


「キュウ(ごしゅじんごめんなさい)」


「よしよし、いいこね」


カルロを落ち着かせ、その柔らかな毛並みを撫でながら本題に話を戻す


「それで街行きの件なんですけど、どうにかなりませんか?」


「そうだな、いけないこともないぞ。小さくはなれるからな。」


「えっ!小さくなれるんですか!?」


「ああ、ただ人の姿にはなれないから、買い物とかはできないんだ。だから街に行っても何もできず、ただ街並みを眺めて帰ってくるくらいしかしたことはないんだ。」


「どんな姿になれるんですか?」


「ちょっとまっててくれ」


そういうと「―変―<ヴァリエ>」と一言つぶやく

するとみるみるうちにその大きな体が縮んでいき、見た目も動物のように変わっていく。

気づけば目の前には中型犬サイズの狼に似た黒い四足動物がいた。


「かわいい!」


おもわず抱きついてしまったファティ。


「ファティ、そのイヤなわけではないんだが、わしゃわしゃされると、その気恥ずかしいというか、その・・・」


見た目はかわいい犬のような狼のような姿だが、中身はオーキー。

気持ち的には普段と変わらないので、抱きつかれて恥ずかしそうにするオーキー。


「こんなかわいい姿になるオーキーが悪いんです。あきらめてもふもふされていてください」


全身でオーキーを撫でまわし、毛に埋もれて吸ってくるファティにあきらめて、されるがままの体勢で受け入れる。



いやぁお久しぶりです。すっかり更新しない飲んだくれとして定着してしまいました。

申し訳ない。

また次話、いつになることやらわかりませんがまた読んでやってください。

ここまで私の駄文にお付き合いいただき本当にありがとうございます。

イイネとブクマと感想を糧に頑張っています。感謝!!


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