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フェイント  作者: 坂本健太
12/13

カーテンコール

 アップテンポの音楽が、最初は小さく、だんだん大きな音で聞こえてくる。体育館のライトは全て灯され、コートの中はまるで真夏の屋外のようなまぶしさだ。


 MCの南監督が紹介する声にあわせて、下手から登場人物が次々と現れ、センターサークル付近で一礼した後、1歩さがって整列していく。みんな満面の笑みを浮かべ、一生けん命に手を振っている。17Sのメンバーの入場が終わった。


 この後は17S以外の登場人物が数人ずつコートに入り、あいさつをした後、17Sを囲むように整列していく。

 最後にぼくとパパが2人揃って入場する。パパがコートの真ん中でお礼の言葉を述べ、フィナーレを迎えることになっている。

 

哲也 「あれ、修、なんでそこでユニフォーム脱ぐん

   だ?」


 修、顔にドーランを塗り、かつらをかぶる


哲也 「え、シンさん?」


 松山、ブルーのトレーニングウェアをはおり、ジェルを使って髪を後ろになでつける。


哲也 「松山さんが、川崎先生……?」


健太 「おう、あの2人は出番が少なかったから、一

   人二役だ」


 アレグリアスIN センターサークルに到達し、一礼した後、一斉にユニフォームを脱ぎ、髪形を元にもどす。


哲也 「あれは、平峰高の甲斐君、大地君、竹本君。

   それにONESの諒君と慎介君だ」


健太 「お前、試合に出てたのに、気づいてなかった

   のか?あいつらには何試合も出てもらってたん

   だぞ。」


哲也 「そういえば、試合の途中で、みんなの声が聞

   こえたような気がして……」


健太 「役者さん多いと、ギャラが高くついちゃうか

   らな。節約、節約」


哲也 「南監督がタケさんで、さち子さんはダンスサ

   ークルの……」


健太 「この業界じゃあ、よくあることだろ。てつが

   大好きなアニメでも、刑事さんと小学生が同一

   人物だったりするじゃねえか」


哲也 「いや、あれは声優さんが同じってだけで……

   じゃあ、慶次君は?」


健太 「慶次君は目立ちすぎるからな。他の役をさせ

   ると一発でばれちまうから、祭りの場面で太鼓

   叩いてもらったよ」


哲也 「え、じゃあ、ひょっとしてパパも……」


健太 「安心しろ、おれとてつだけは、ほかの役には

   ついてねえよ」


哲也 「そうか、よかった。

    いや、待って、パパとぼくだけって、じゃ

   あ、亜紀ちゃんは?まさか……」


健太 「おう、やっと気がついたか。てつ、よく思い

   出してみろ。どうしてママは1回も、てつの試

   合を見にきていないんだ?」


哲也 「見に、これなかった?ほかの人の役があった

   から……ま、まさか、ママが?

    ママは模擬店の手伝いもしていないし、反省

   会にも来ていなかった」


健太 「よし、てつ、そろそろ最後の出番だ。行く

   ぞ」


哲也 「う、うう、うん」


健太 「みなさーん、最後までご覧いただき、本当に

   ありがとうございました」


 パパは観客席に向かって、何度も何度もお辞儀をしている。みんなは記念品のサイン入りゴムボールを、お客様めがけて次々に投げている。拍手はいつまでもなりやまない。


音響、照明 フェイドアウト


 パパゴレ 完

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