屋台にとっての音頭
屋台と葵が声の方を振り向くと、そこにはサッカー部キャプテン[前原 景]の姿があった、
「よかった、やっぱり夜空は夏期講習受けて、学校にいたんだな」
「あ、前原先輩、今、部活終わりですか?」
「ああ、これから帰るところだけど、その前に夜空、お前がいないか探しに来たんだよ」
どうやら前原は屋台に用があるらしい、
「では私はこれで失礼します」
立ち去ろうとする氷菓 葵であったが、
「ちょっと待ってくれ氷菓、ちょうどいいからお前も一緒に聞いてほしいんだ」
前原に呼び止められて、足を止めたが、
「夜空君に用と言うことは、おそらく部活の勧誘でしょう、そこに私がいる意味はありますか?」
なるほど、これが[氷の模範生]か、と屋台は思った、
「ああ、大いにあるんだよ、確かに夜空の勧誘だけど氷菓も説得に協力してくれ」
前原もこれまで何度も夜空を勧誘しているが決して首を縦に振らない、もやなりふり構っていられないのだろう、
「前原先輩、何度来られても俺はサッカー部に入るつもりはありませんよ」
「でもな夜空、色々な部活の助っ人に行ってるだろ、もしお前がバスケ部辺りに入ったりしないかって、他の部員が心配してるんだよ、お前が入ってくれたらうちのサッカー部はかなりいいとこまで行くと思うんだよ、氷菓だって夜空は部活動した方がいいと思っているだろ」
前原は氷菓に話を振る、そして、
「確かにその通りだとは思います、蓬栄学園の部活動は自由参加ですが、夜空君ほどのスポーツ万能がどの部にも所属しないのは、もったいないと同時に、何故と言う疑問も浮かんできます」
二人は屋台に言う、しかし屋台の返事は、
「二人に何を言われようと、俺はどの部活にも入る気はありません、ただ……」
屋台は少し口ごもった、
「ただ?、何ですか?」
葵が聞き返すと
「もし、音頭が一緒にサッカー部に入ろうと言ったらサッカー部に入ります」
「「・・・」」
前原も葵も呆然としている、
「夜空、お前祭とどんな風に思われてるか知ってるか?」
前原の質問に屋台は、
「?、いえ、知りませんが?」
「[祭 音頭]と[夜空 屋台]はできてるって思われてるんだぜ、そんな風に言われたら、俺だって思うよ」
続けざまに葵も、
「私もあなた達と知り合ってまだ比は浅いですが、夜空君は音頭君の言葉に首を横には振りませんよね」
二人の言葉に、
「はっはっはっ」
突然屋台が笑いだした、
「な、なんだ、夜空、どうした?」
「いやぁ、できてるとか、首を横に振らないとか、そんな程度としか見られてなかったのかと、思いまして」
屋台が言わんとしてることが今一解らず、葵が聞く、
「そんな程度とはどういう事でしょうか?」
屋台は胸を張り、ハッキリと言う、
「できてるとか、そんな生ぬるいものじゃない、首を横に振らないのは当たり前、何故なら音頭は俺にとって[勇者]なんですから」




