表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
あっと!ヴィーナス!!  作者: 神崎理恵子
アポロン編
31/52

第三章 partー9

「油断したな……。まさか暴力を振るうとは思わなかったよ。可愛い顔している割には豪傑のようだ。まるで巴御前だな」

「もう一度投げ飛ばしてあげようか?」

 袖まくりして息荒い弘美。

「遠慮しておくよ」

 と言いながら立ち上がり、椅子にかけ直す。

「まあ、落ち着きたまえ。腰を落ち着けて話し合おうじゃないか」

 突然の出来事で面食らったようだが、気を取り直していつものアポロンの表情に戻る。

「愛ちゃんを返してくれるんだろうな」

「仕方あるまい。返してあげよう……。ただし」

 というと、愛に向かって何やら仕草をした。

 すると、愛の身体が石になっていき、やがて石像となってしまった。

「石像の愛だがな。あっはっはあ!」

 高笑いするアポロン。

 一度手に入れたものを、簡単に返してしまっては、神様としての沽券に関わる。

 そして、反骨精神旺盛な弘美も、手なずけるのは困難であろう、

「おまえも石像になるがよい!」

 と石化の神通力を掛けた。

 身構える弘美。

 しかし、何の変化も見せなかった。

「なぜだ?なぜ、石像にならない!?」

 身振り手振りを繰り返し神通力を発動させながらも、石像化しない弘美に唖然とするアポロン。

 と、その時だった。

「それは、彼女がファイルーZの娘だからだよ」

 神殿の奥から、荘厳な響きを持った声が届く。

 振り返る一同。

 そこには全知全能の神、オリンポスの最高神ゼウスの姿があった。

「ゼウス様!!」

 ヴィーナスとディアナが同時に叫ぶ。

「ゼ、ゼウス……さま……?」

 アポロンも意外な神の登場にうろたえる。

「アポロンよ。速まったな」

「こ、これには、訳が……」

「ヘラに命じられたか?」

「そ、その通りです」

「そこの愛もか?」

「これはただの石像ですが……」

「そうか」

 とゼウスが指をパチンと鳴らすと、愛の石化は無論麻痺化も解けて元に戻った。

「弘美ちゃん!」

 目を見開き弘美に駆け寄り抱きつく。

「よかった、よかった」

 その身体を受け止めて、強く抱きしめる弘美。

「さて、申し開きを聞こうか、アポロンよ」

 と詰め寄ると、アポロンの身体が石化した。

「ちっ!ヘラの仕業だな。口封じしたか……」

 舌打ちするゼウス。

「仕方あるまい。その姿のまま、地上界で頭を冷やして来い」

 ポンと肩に触れると、一瞬にして消えた。

 そして、その姿はギリシャ時代のエーゲ海の海底へと深く沈んでいた。

 やがて考古学者によって発見され引き上げられて、ローマ国立博物館に所蔵されることとなった。

「弘美そして愛。済まなかったな、神として謝罪する」

 腕まくりする弘美。

「一発殴ってもいいか?」

「それは勘弁してくれないか」

 慌てて手を前にかざして横に振るゼウス。

「で、ファイルーZとやらはどうするんだ?」

「それはそれ、これはこれ。ま、クレオパトラとかジャンヌダルクとかと同列に扱われるんだ。栄誉と思って感謝して欲しいな。いずれ君は歴史を変えるような働きをすることになるのだから」

「いまいちピンと来ないんだが」

「念のためにはっきり言っておこう。ファイルーZは何もわたしの愛人にするとかいったリストではないとだけ。ヘラは何か勘違いしているようだがな」

「本当だろうな?」

「インディアン、嘘つかない!」

「おまえも神夜映画劇場見てんのかよ!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ