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あっと!ヴィーナス!!  作者: 神崎理恵子
アポロン編
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第二章 partー3

 数日後。

 ファミレスのバイトを始めた二人。

「ありがとうございました」

 バイトの仕事にも慣れて、そつなくこなしている。


「いらっしゃいませ!」

 客が入店してくる。

 その客の姿を見て、ヒソヒソと店員たちが耳打ちしている。

 それもそのはずで、来店客は黒眼鏡に頭から足まで黒ずくめの衣服を着ていたからだ。

「なにあれ。少年探偵コナンのコスプレ?」

 客が席に着いて、テーブル担当の店員が注文を取りにいく。

「これとこれと、それからこれ」

 と注文した品は、調理に時間のかかるものばかりだった。

「これとこれと、それからこれ、でよろしいですね」

「ああ、たのむ」

「かしこまりました」

 一礼して、オーダーを出しに厨房へ伝えに行く店員。

「オーダー入りました!これとこれと、それからこれ、です!」

 客は、お冷を一口飲むと、ポケットから何かを取り出した。

 写真のようだった。

 それをジッと見つめたかと思うと、店員と見比べている。

「何、あの客。うちらのこと見つめたりして、気色悪いわあ」

「もしかしたら、興信所の人?」

「ええ?じゃあ、誰かを調べているの?」

「よく観ると、新人の方を見ているみたいよ」

 確かに客は、新人である弘美と愛の動きを追っていた。

 やがて注文した料理が届くと、一口入れては観察、一口入れては観察。

 咀嚼の間中は二人を交互に観察していた。


 そうこうする内に、二人の勤務時間の終了となる。

「お疲れ様でした!」

 更衣室で制服から、自分の服に着替えて、店を出る二人。

「ふうっ!疲れたあ」

 大きく伸びをする愛。

「それにしても……あの人、なんだろうね」

「例の客?まだ食べているのかな」

「ううん……どうかな。もう食べ終わってるんじゃない?」

 談笑しながら帰り道を歩く二人。


 その時、一陣の風が吹いた。

 スカートの裾が舞い上がり、慌てて両手で抑える。

「酷い風ねえ」

 砂が目に入ったのか、目を擦っている弘美。

「きゃあ!」

 悲鳴を上げる愛。

 目を開けると、愛を抱えて走り去る黒尽くめの男。

「ああ、あの変な客だ!」

 なんて言ってる暇は無い。

 黒尽くめを追いかける弘美。

「待ちなさい!愛をどこへ連れていくの!!」

 人一人抱えて走りづらいはずなのに、黒服は軽々と走り続ける。

 じりじりと差を詰めていく弘美。

 あと一歩!

 手を伸ばした瞬間だった。

 ふわりと黒服が宙に浮かんだのだった。

 見ると黒服の背中から真っ白な羽根が生えている。

 その羽根をバサバサと羽ばたかせて、空高く舞い上がってゆく。

「天使!?」

 羽根の生えた黒服は、すでに空の彼方に消え去っていた。

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