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あっと!ヴィーナス!!  作者: 神崎理恵子
アポロン編
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第二章 partー2

 そうこうするうちに弘美の家が見えてきた。

 そういえば、愛ちゃんを家に上げるのは幼稚園の時以来かな……。

 男の子と女の子、異性を感じるようになった頃から、互いに遠慮するようになっていた。

 しかし今は女の子同士、愛も何のためらいもなく家を訪問することができるというわけである。

「ただいま!」

「お帰り」

 母が出迎える。そして……、

「あら、愛ちゃんじゃない。久しぶりね」

「おばさま、お邪魔します」

 幼馴染みの母親という記憶は、どうやら残っているようだった。

 都合の悪いことは消したりすり替えたりしているが、影響のないことはそのまま記憶を残しているようだった。まったく見ず知らずの他人というわけにはいかないらしい。

「遠慮しないで、ゆっくりしていってね」

「はい」

 というわけで、自分の部屋に案内する。

「へえ……、久しぶりだけど。弘美の部屋ってこんなだったんだ」

 そりゃそうだろな。

 愛がちょくちょく遊びに来たのは幼稚園の頃だ。

 月日も経っているし、女の子的な雰囲気にすっかり模様替えしてしまったから。

 あの頃はまだ異性ということを意識していなかったからな。

 

「悪いけど、着替えるね」

「うん……」

 帰ったらすぐに着替えるように母に言われていたからだが、他人がいるとやはり恥ずかしいものだ。とはいえ、学校の体育の授業前に、何度もクラスメート達と一緒に着替えをする機会があったので、少しは慣れっこにはなっている。

 授業前にはじめて着替えするときは、心臓どきどきものだったけどね……。

「それでさあ、朝のことだけど……何が言いたかったわけ? そろそろ話してくれてもいいよね。夏休みの予定がどうのとか……」

「それなんだけどさあ……」

「なに?」


「あのね……。一緒にアルバイトしないかな? と思ってさ……」

「バイト?」

「ファミリーレストラン」

「ファミレス?」

「うん……一緒にアルバイトしない?」

「なんでそうなるわけ?」

「一人じゃ行きづらくて……」

「だったらやめとけば?」

「そうもいかないのよ」

「どうして?」

「実はね……。バイト料でお父さんの誕生日プレゼント送ろうと思っているの。冬なら手編みのセーターとかでいいんだろうけど。夏にセーターはねえ……」

「そっかあ……、誕生日プレゼント送るんだ」

「そうなの」

 といいながら、じっと弘美を見つめる愛。

「わかったわよ。一緒にバイトしてあげる」

「やった!」


 それから数日後。

 愛と一緒にファミレスの面接を受けている。

 勤務希望日時とか尋ねられて、

「やっぱり土日の午前中かな……」

「あのねえ、夏休みなのよ。もう少し働かないと雇ってもらえないでしょ。ねえマネージャー」

「そうですね。最低でも三日間のフルタイムか、五日以上のハーフタイムは働いて頂かないとね。シフトが組めませんから」

「ほらね」


「うーん……。どうしようかな」

 頭を抱えている弘美。

「取りあえず四日以上のフルタイムを働いて頂けるなら、採用決定なんですけどね」

「へ? 採用決定?」

「新店舗が出来たせいでかなりの従業員がそちらに振り分けられて、こちらの人員が足りなくて、急ぎ募集する必要があるんですよ。今なら無条件採用です。いかがですか?」

「念のためにお聞きしますけど、時給はいくらくらいですか?」

「採用条件に合えば、時間七百五十円をお支払い致します」

「七百五十円? それって平均的?」

「そうですね。高校生の時給としては妥当なはずですが」

「フルタイムって何時から何時ですか?」

「あなた達は、女子高校生ということで、就業規則により午前十時から午後六時までとなっております。それ以降の勤務時間は、学校側や父兄から帰宅に問題が生ずるとクレームがくるからです。大切なお嬢様をお預かりするわけですから当然の配慮です」

「ふうん……お嬢様ねえ」

 そっかあ……。

 一応あたしはお嬢様なんだ。

 そう言われると悪い気はしなかった。

 あれ?

 女の子として扱われることに抵抗してたんじゃなかったっけ?

 うーん……いつの間にか、女の子としての生活に慣れ親しんでいるってことか。

 そりゃそうだ。

 実際にしても、誰が見ても正真正銘の女の子だものな。

「ねえ。どうするの? 早いところ決めておかないと他の子に仕事取られちゃうよ。ここのアルバイト、結構人気があるんだから」

「そうなんだ」

「どうしますか?」

「決めちゃいなよ」

「マネージャーさんも忙しい中を時間を作って、相手してくださっているんだから。今更

断りきれないわよ」

「あ、あのねえ……」

 それじゃあ、脅迫みたいじゃない。

「わかったわ。取り合えず、四日のフルタイムということでお願いします。ただ曜日はもう少し考えさせていただけませんか?」

「結構ですよ。四日のフルタイムですね。曜日に関してはある程度融通が利きますから大丈夫です」

「それじゃあ、そういうことでお願いします」

「判りました。一応採用ということで、こちらこそ今後ともよろしくお願いします」

「やったね」

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