選択
【1周目:海域戦クライマックス】
解析装置(自動アナウンス)
『――データ解析完了。作戦目標の達成を確認』
ピア
「は、はひぃ……! か、勝った……!? 生きてる……僕、生き残れましたよぉぉ!!」
マリー・アントワネット
「ふう……冷や汗をかかされましたわ。ですが、わたくしたちの勝利ですこと! ねぇ、先生?」
ジャンヌ
「はい……! 主の御加護のもと、無事にこの試練を乗り越えられました。皆さん、無事で良かったです……!」
カトリーヌ
「チッ……なんとか凌ぎ切ったわね。手柄は上層部に報告して――ん?」
マリー・アントワネット
「……あら? なんだか、急に視界がぐらぐらと……」
ピア
「ひぐっ……!? が、頭が……頭が割れそうに痛い……! なん、なんですかこれ……黒い……黒いウネウネが肌のなかを……!?」
ジャンヌ
「なっ……お二人とも!? 肌に……禍々しい刻印が浮き出て……!」
さくら
「そんな……!? 倒したはずなのに、あの異形の汚染が二人の中に留まって……!?」
軍本部・自動通信(無機質な機械音)
『――警告。固有識別コード:マリー、およびシェイクスピアにレベル5の浸食反応を検知。汚染率88%を超過。規定プロトコルに基づき、当該機体の【即時殺処分】を命じます』
さくら
「殺処分……!? そんなのあんまりです! 解析器のデータを調べれば何か解決方法があるはずですよご主人様! ねぇ、なんとかしようよ!」
カトリーヌ
「無駄よ。レベル5の浸食反応……規定上、24時間以内に確実に自壊して暴走するわ。……それどころか、今の進行速度ならあと数十分も持たない。感染を拡大させる前に、今すぐここで排除すべきよ」
さくら
「24時間……!? 24時間もあるなら、軍の施設に持ち帰れば抗体が見つかるかもしれないじゃないですか! あきらめないでよ、カトリーヌさん……!」
ピア
「嫌だ……嫌だぁぁぁ!! 殺処分なんて嫌だぁぁ!! 悲劇の結末なんて嫌だ! 僕だって、僕だって生き残って、物語の主人公になりたかったんだよぉぉ!!」
(暴れ狂うピアを、黒い斑点に身体を蝕まれたマリーが震える手で必死に押さえつける)
マリー・アントワネット
「お静かに……ピア! 醜く取り乱すものではありませんわ…… 」
ジャンヌ
「そんな……可哀想に……っ!
ジャンヌ
「私の魂を切り取り、器をあければ彼女たちは助かるのでしょうか……!? お願いです、私の身を削ってでも二人を……!」
カトリーヌ
「甘いことを言って惑わせるんじゃないわ、聖女様。」
マリー・アントワネット
「ジャンヌ。ありがとう。でも、わたくしのせいで、誰かが犠牲になるなんて。もう、私ひとりのために誰かが命を落とす悲劇は……見たくありませんの」
カトリーヌ
「ジャンヌ。近づくと危険よ。あなたも同じように侵される。」
カトリーヌ
「……さあ先生。あなたなら安全に処分できる。」
【主人公の選択肢】
選択肢1:[自分で引き金を引く]
選択肢2:[引き金を引くことができない(撃たない)]
【選択肢1:[自分で引き金を引く]を選んだ場合】
主人公
「……俺がやる。二人の最期は……指揮官である俺の手で決める」
(主人公は震える手で銃を構え、銃口を二人に向け直す)
さくら
「ご主人様……っ!やめてください。まだ何か方法はあるはずです!」
マリー・アントワネット
「……ふふ。お見事なご覚悟ですわ、先生。」
マリー・アントワネット
「不審者だなんて疑って……ごめんなさいね。最後くらい、美しく散らせてくださりませ……」
ピア
「やめて……やめてよ先生ぇぇぇ!! マリーさん放してください!助けて……誰か……嫌だぁぁぁぁ――っ!!」
(引き金が引かれる。――銃声が二度、静かな海域に響き渡る)
マリー・アントワネット&ピア
「……」(死に顔)
(マリーは感謝の笑みを浮かべたままとけて消え、ピアは絶望の叫びを遺して塵となって砕け散る)
(手に残る反動の重みと、引き金を引いた感覚。主人公はその拳を強く握り締め、一生消えない罪悪感を背負う覚悟を胸に刻み込む)
軍本部・自動通信
「――汚染廃棄物の消滅を確認。規定プロトコルに基づく破棄処理、完了。」
「清掃作業、ご苦労様でした。解析データを回収の上、速やかに母艦へ帰還してください」
さくら
「あ……あぁ……ご主人様……? どうして……どうして撃っちゃったんですか……?」
(その場に膝から崩れ落ちるさくら。ポロポロと涙を溢れさせながら、光を失った瞳で主人公の手にある銃と、二人が消えた空虚な空間を交互に見つめる)
さくら
「酷いよ……ご主人様……っ! 助けるって……一緒にかえるって言ったのに……! あは……あはは……ご主人様が……二人を殺しちゃった……」
(いつもの明るい笑顔は完全に消え去り、虚妄の混じった乾いた笑い声だけが静まり返った海域に虚しく響く)
カトリーヌ
「……行くわよ、次の警戒区域へ」
【選択肢2:[引き金を引くことができない(撃たない)]を選んだ場合】
主人公
「……ダメだ。仲間を……自分の手で殺すなんて、俺にはできない……!」
(葛藤の末、主人公は力無く銃を降ろしてしまう)
カトリーヌ
「……チッ。覚悟のない甘ちゃん指揮官ね。土壇場でこれだから信用できないのよ」
さくら
「ご主人様……」
カトリーヌ
「(冷酷な視線でさくらを射抜き)……さくら、あなたがやりなさい。ご主人様を守るのでしょう? 汚染された二人が暴走したら、真っ先に死ぬのはその無能な指揮官よ」
さくら
「え……? 私が……マリーさんと、ピアさんを……!?」
マリー・アントワネット
「さくら……いいのですわ。あなたのせいじゃない。」
マリー・アントワネット
「あなたの手で、美しく散らせてくださりませ……」
ピア
「嫌だぁぁぁ! さくらちゃん撃たないでぇぇ! 助けてぇぇぇ!!」
さくら
「あ……あぁ……うそ……うそですよねご主人様……っ! いや……嫌だよぉ……っ!」
カトリーヌ
「さっさと引き金を引きなさい! 主人を守るドールでしょう!」
さくら
「ごめんなさい……ごめんなさい……! これが……これがご主人様を守る唯一の方法ならぁぁぁーーっ!!」
(――引き金が弾かれ、二つの魂が撃ち抜かれる)
マリー・アントワネット&ピア
「……」
(光の粒子となって消えていく二人。その場にポツンと残されたさくらは、銃を握ったまま膝から崩れ落ちる)
さくら
「あは……あはは……私……撃っちゃった……マリーさんも……ピアさんも……私の手で……」
(ポロポロと溢れ出る涙でぐしゃぐしゃになった顔。しかし、その瞳からは先ほどまでの太陽のような光が完全に失われ、底なしの絶望と虚無だけが残されていた)
ジャンヌ
「さくらさん……! ああ、神よ……なぜこのような試練を……!」
軍本部・自動通信
「――汚染廃棄物の消滅を確認。規定プロトコルに基づく破棄処理、完了。」
「清掃作業、ご苦労様でした。解析データを回収の上、速やかに母艦へ帰還してください」
さくら
「……ご主人様。私……ご主人様を守れましたか……? ……ふふ、あはは……」
ジャンヌ
「まだ、終わっていません。」
遠い目、1カット。




