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【本編完結】王子の寝た子を起こしたら、夢見る少女では居られなくなりました!  作者: こさか りね
後日談

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16

それから3週間


私達はアリステリアスの文化に触れて、楽しい日々を過ごしていた。


そして今日は、楽しみにしていた民族衣装を着せてもらう日だ。



アオザイに似た衣装【フォーニョン】を準備してくれたそうなので、袖を通す。


できれば、ベティニアが着ているような、シックな色合いの物が良かったのだが、我儘は言えない。


私は、黄色とピンクのフォーニョンを着て、鏡の前に立ったのである。


それから、衝立(ついたて)が片付けられたあと、私を見たウィルフォードは『うん。よく似合っている。とても可愛いよ』と言ってくれたのであった。



そしてこの後、ベティニア達と一緒に街へと行く予定である。


程なくして、ベティニアが部屋へとやって来た。


「2人とも、おはよう。もう準備はできたか?

・・・ほう。

エルのフォーニョンは(あで)やかで良く似合っているではないか」


「ありがとう。

ベティはもう出れそう?」


「私は大丈夫だ。外でラウル達と合流するからな。

ミレットもフォーニョンを着て来るそうだぞ。

では、行こうか」


そうして私達は、街へと向かったのであった。


王宮の門を出ると、ラウルとミレットがいたのだ。

ミレットは水色と紺色のフォーニョンを着ていた。


「みんな、おはよう!

妖精ちゃんのフォーニョンは、すごいね!

出てきた瞬間、すぐに気付いたよ」


・・・え?

もしかして、この色って普通ではないのだろうか・・・。


私は気になり、辺りを見回した。


すると、大人はみんな落ち着いた色を着ている。

もちろん、ピンクや黄色を差し色として使っている人はいたが、私みたいに、目が()()()()する人は見当たらなかった。


「ねぇ、みんな?

私が着ているのって、普通とは違うのかしら?」


「そうだね、あまり大人で見かける色ではないかも――(もごもご)「フェアリエルさん!そんな事はありません。

とっても、お似合いですよ!」」


と、ミレットがラウルの口を手で塞いで、被せるように話してきたのだ。


するとラウルが、ミレットの手を外して『ミレット!?ちょっと近いってば!少し離れてよ!』と顔を赤くしながら、恥ずかしそうに言っている。


私は今一度、自分のフォーニョンを見てみた。

すると、ベティニアが口を開いたのである。


「・・・そのな?

目立つ色の方が、私もウィルフォードも見失わなくて良いんじゃないかって話になったんだよ。

だから、一番目立つ色を用意させたんだが、嫌だったか?」


「嫌じゃないわ。

でも、理由が分かって良かったかも。

じゃあ早速、街を見てまわりましょうか」


すると、後ろでミレットが『ラウルさん?女性の(よそお)いに、口を出してはいけませんよ!』と叱っている。

それに、シュンとしているラウルが目に入ったのであった。


では、気を取り直して、私達は街をぶらぶらする事にした。

今日はお忍びではない為、後ろから護衛がちゃんと付いて来ている。


そして途中、ミレットの好きなお菓子屋さんがあったので、一休みする事にしたのだった。


お店の中は、イートインスペースとガーデンテラスが用意されていた。

私達は、ガーデンテラスへと腰掛けたのである。

すると、ミレットが口を開いたのだ。


「ここのお菓子は、とても美味しいんですよ!私、大好きなんです!」


「先日、ネフタリアさんがミレットさんへ勧めていたお菓子よね?」


「はい!アリステリアスに来て、初めて食べた時の感動は、忘れられません!」


私達の話を聞いていたベティニアが『美味しいと言ってくれると嬉しいな。これはアリステリアスの伝統菓子なんだよ』と微笑みながら教えてくれた。


実は、先日出されたお菓子は、手を付けていないのだ。だから、どんな味なのか楽しみである。


すると少しして、ウィルフォードとラウルが、お菓子と飲み物を持って来てくれたのだ。

私はお礼を言い、受け取ってよく見てみる。


見た目は、小さい丸い揚げパンに粉が掛かっていた。


そして、口に入れてみると・・・・!!


・・・これは!!?


チュロスだ!!


私は前世、チュロスが大好きだった。

屋台やキッチンカー、遊園地などでは、必ずと言って良いほど、食べていたのである。


・・・・懐かしい。


私は無言でパクパクと口へ運んだ。


すると私の様子を見ていたベティニアが『その様子は、気に入ってくれたようだな』とお菓子を口に運びながら、ニンマリとしていたのだった。


私とミレットが、お菓子に夢中になっている頃、ラウルが口を開いたのである。


「あれからさ、マティニア殿下からは何もないの?」


「ああ。特に接触はない」


「私も目を光らせて見ているが、特に怪しいところはないな」


「そっか。

ならよかったよ。僕の勘違いだったようだ」


その言葉に引っかかるものがあったのか、ウィルフォードがラウルへと問いかけた。


「勘違いとは、なんだ?」


「いや、大した事じゃないんだ。

それより、もうすぐ帰っちゃうんだよね」


と三人が会話している時に、ミレットが真剣な表情で私を見つめて助言をくれたのだった。


「フェアリエルさん。

マティニア殿下の件、油断は禁物ですよ」


「ありがとう。けど、あと1週間で帰るのだし、もう何もないんじゃないかしら?」


すると、ミレットは一度瞳を閉じてから、表情を緩ませ『それもそうですね。怖がらせるような事を言ってしまい、すみません』と謝ってきたのだ。


「心配してくれてありがとう。それより、ネフタリアさんとすごく仲良くなったのね?」


「はい!私の事を少しは好きだと言ってくれたんです!私、嬉しくて、とても幸せです!」


いつの間にか私達の話を聞いていたラウルが、慌てて会話に入って来た。


「!?ミレット!?それ、今言う事じゃないよね!?」


「??嬉しい時は、嬉しいって、すぐに言わないとダメなんですよ?時間は有限ですから」


「・・・それは、そうだけど・・・」


そんな2人の会話にハッとした。

私は『ミレットさんの考え方は素敵ね』と伝えたのである。


いつかではなく、今伝える事の大切さを教えられた気がした。


それから私達は、その後も色々と回り、楽しく過ごしたのだ。

きっと、この街を巡るのも今日で最後だろう。

私は、思い出を刻むように、心に焼き付けたのであった。


そして、この時の私は、ミレットの助言を痛いほど痛感する出来事が起ころうとは、夢にも思わなかったのである。

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