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【本編完結】王子の寝た子を起こしたら、夢見る少女では居られなくなりました!  作者: こさか りね
後日談

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15

「おはよう、フェアリエル」


その声で目を開けると、目の前にウィルフォードの顔があった。


・・・え?


ビックリし過ぎて一気に目が覚めた。


すると『そろそろ、準備しないと遅れてしまう。今、メイドを呼ぼう』と、昨日とは打って変わって元気な様子のウィルフォードに言われたのであった。


そして私は、寝顔を間近で見られた事に恥ずかしくなり、布団を被った事は言うまでもない。


それからはメイドに準備をしてもらい、朝食をウィルフォードと済ませた。


そして時間になったので馬車へと乗り込み、マジッククレーが取れる山を目指して出発したのであった。


案内役のモルディンさんが窓から流れる景色を色々と説明してくれる。


私は、前世のバスツアーを思い出し、懐かしさのあまり、妙に聞き入ってしまったのだ。


そして、モルディンさんから教えてもらった予備知識を蓄えた私は、マジッククレーの故郷、クレール山に降り立ったのである。


私はリュックを背負い、モルディンさんに付いて行く。


するとウィルフォードが『そのリュックには何が入っているんだ?重そうだな、持とうか?』と聞いて来た。


「大丈夫!中身は着いてからのお楽しみよ!

それより、ウィルは手ぶらなの?」


「ああ。これといって、持ってくる物もないしな」


なんと!?

ウィルフォードは見学だけで満足できるらしい。


でも私は、マジッククレーを掘る体験をしたいのだ。


もちろん、モルディンさんに許可を得てから掘るつもりだが、聞いた時に『スコップが無くて出来ません』と言われない為にも、リュックにスコップを忍ばせてきているのである。


もしかしたら、スコップでは掘れないのかもしれないが、無いよりはマシだろう。


私はルンルン気分で山を登る。


すると、先程モルディンさんが話してくれた、中継地点が見えて来たのだ。


桶に、なみなみと入っているマジッククレーらしき物。


お仕事をしている方達に挨拶をしてから、よく見せてもらう。

すると、白く濁った水だったのだ。


これが、粘土っぽくなるのかしら?



マジッククレーは土の中にある物と勝手に思い込んでいたのだが、もしかしたら違うのかもしれない。


それからも、舗装された山道をどんどんと進んで行く。

すると、モルディンさんが口を開いたのだ。


「こちらがマジッククレーの原液です。

触っていただいても大丈夫ですよ」


見ると、山の湧き水みたいに岩間からチョロチョロと流れ出ている。


触っみると、少し(ぬめ)りがある液体だった。


・・・やっぱり


さっきの予感は当たってしまった。

せっかくスコップを担いで来たのに意味無かったのである。


「リュックの中身は出さなくていいのか?」


とウィルフォードが聞いてきた。

できれば、忘れていてくれたらよかったのに、と思いながら『残念だけど、必要なかったみたい』と返したのである。


それからは中継地点まで戻り、マジッククレーの加工の仕方を見せてもらった。


するとモルディンさんが『体験してみますか?』と聞いてくれたのだ。


私は『是非お願いします!』と返し、モルディンさんの説明に耳を傾けたのである。


まずは、桶に原液と塩を入れてよく混ぜる。

すると、固液分離(こえきぶんり)するので、上澄みの液体を取り除く。


そして桶の中に残ったマジッククレーを、机の上にある、手のひらサイズの丸い型に入れて、乾燥させたら出来上がりだそうだ。


なるほど。

それなりに、手間暇かかるようだ。


「では、早速手配しますね」


と言って、モルディンさんが準備をしてくれた。


「ウィルは加工をするの初めて?」


「ああ。

見た事はあるが、実際に体験するのは初めてだ。

楽しみだな」


すると、準備が終わったようでモルディンさんやって来たのだ。


「申し訳ありません。

備品が足りないみたいでして・・・。

体験が難しいそうです」


「あの、何が足りないんでしょうか?」


「かき混ぜるヘラと型に入れるレードルに余りがないそうでして。

本当に申し訳ありません」


2回も謝らせてしまった。


けど、私は思った。

スコップが役に立つのではないだろうか?と。


私はリュックを下ろし、スコップを2つ取り出して見せる。


「これで代用出来ませんか?」


すると、ウィルフォードとモルディンさんの視線が、スコップに釘付けだ。


「は、はい。大丈夫です。

では、材料の準備をしてまいります」


よかった!

備えあれば(うれ)いなしだ。


私は、ウィルフォードにスコップを1つ渡すと無言で受け取ってくれたのである。


どうしたのだろうと不思議に見ると、ウィルフォードが静かに口を開いた。


「・・・なんで、スコップなんだ?」


ああ、なるほど。


「マジッククレーが土の中にあると思い込んでいたのよ。

だから、掘れるようにと持って来たの。

役に立って、よかったわ!」


そう言う私に『面白い思い込みだな。だが、そのおかげで体験が出来るんだから、感謝しないといけないな』と言い、笑みを浮かべて、私の頭をポンポンとしたのだ。


前世で憧れていた頭ポンポンに私のトキメキは爆上がりである。


それからは、教えてもらった工程通りに仕上げていき、自分で作ったマジッククレーをお土産でもらったのだ。


今日は本当に楽しかった!


マジッククレーの開発をする時には、もっと大事に扱おうと思う。1日となったのであった。


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