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新青天の霹靂  作者: まめ
第三章 短編集
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青天の霹靂32(友の死)

廉夏は、うららかな日々を、送っていた。

冬眞もまだ、新婚生活満喫中だった。

そんな、廉夏の元にその情報がもたらされたのは夏休みも終盤に入ったときだった。

午後、眠くなった頭で受話器を取った廉夏をパコーンとおもいっきり叩いた。

「廉夏ちゃん、(リン)ちゃんが殺されたって」

泣いて伝えられた一報に、廉夏は一瞬、何を言われたか分からなかった。

いや、分かりたくなかった。何かの冗談だと思いたかった。

「えっ?」

「今日の朝、登頭(トウガシラ)公園で遺体で見つかったって」

電話の向こうから、泣き声が聞こえる。

それで、嘘じゃないことが分かる。

「どうして?」

廉夏は震える声で何とかそれだけ聞いた。

「通り魔じゃないかって言われてるけど、変なの? その遺体お腹が、何度も刺されメチャクチャだったって」

「ありがとう」

それだけ言って、廉夏は受話器を置く。

「どうしました?」

尋常じゃない廉夏の様子に、冬眞は聞く。

「……何でもない」

無理に笑いながら、廉夏は言う。

廉夏は「ちょっと、コンビニに」と行って家を出る。

そして、凜と良く行っていた喫茶店へと廉夏は行く。

そこには、落書きノートが置いてあり、いつも凜は熱心に何かを見ていた。

それが、何だったか探すと、すぐに分かった。それはページの隅に日付と時間がかかれていた。

それに、相手が時間と場所を書いていた。それが、昨日の日付の分まであった。

そして、その癖のある字に廉夏は愕然とする。

『そんな』

それは、生徒にも人気のある英語教師:芳賀の字だった。

凜も確かに、彼のことが大好きだったけど、どうして?

廉夏は一芝居打つことにした。

で、芳賀にも連絡し、相談があると言って、来てくれるように頼む。

そして、登頭公園に行こうと足を向けるが、それを止めさせた人間がいた。

誰であろう、それは冬眞だった。

「犯人と1人で対峙するおつもりですか?」

「何で、知っているの?」

廉夏は驚く。

「生徒会を運営してた者にも、廉夏が、家を出てから連絡がありました。『在校生が殺された』とね」

「やられたね。家のネットワークの強さってないね。もう、冬眞の所まで行くなんて、最悪だよ。もう、私と9年の差があるのに」

廉夏は額を押さえる。

「廉夏大丈夫ですか?」

「大丈夫だよ? ただのクラスメートだし」

「そうは見えません。ただのクラスメートって嘘でしょう?」

冬眞がそう言うと廉夏の、顔が崩れる。

冬眞は廉夏を力強く抱きしめる。

「だって、凜だけが一番最初に、私を受け入れてくれたんだもん」

「やはり、廉夏には特別だったんじゃないですか? と言うことは、しいては、僕にとっても大切な人と言うことです」

「私の色々な噂が流れてたから、近づこうとする者がいなかった。その中で、一番に近づき、私に友達をたくさんくれた」

「ほら、特別じゃないですか」

そう言って、廉夏を抱きしめる。

「泣いて下さい」

そう言われ、廉夏は静かに静かに、涙をこぼす。

冬眞は黙ってそれを受け止める。

「ありがとう。後は終わってからね」

廉夏は涙を拭くと、戦闘モードになる。

「一人で行くつもりですか? こう言うときには、僕に頼って欲しいですね」

呆れたように、冬眞は言った。

「で、でも、危ないよ」

「危ないことをしようと思っているなら、僕を呼んで下さい。尚更、頼って欲しいんですがね。仮にも、僕は廉夏にあなたを守る壁になると言ったでしょう?」

「でも、これは私が勝手に思っているだけだから」

「そのぐらい、大切なお友達だったんでしょう? それで、誰でした? 俺も知っている人ですか?」

「知ってるんじゃないかな? たぶん。冬眞の時には、もういたと思うよ。たぶん、その頃新任教師じゃないかなあ?」

「誰ですか?」

「芳賀先生」

その名を聞き、冬眞は驚く。

「知っているも何も、僕らの代で彼にとっては、担任を受け持つ初めての生徒で、僕の担任でした」

その名を聞き、冬眞は驚く。

「どうして、彼が?」

「どうやら、二人で、逢い引きしていたようね」

「じゃあ、あの警察が調べてたのも、ガセネタじゃなかったわけか?」

「えっ、何それ?」

「ああ、それは卒業生の生徒会をやっていた者に自宅に警察から調査って言う名目で、電話があったんです。生徒と不純異性行為に及んでいると、挙げられた教師の中に、芳賀先生の名も確かあったはずです。でも、僕も人のことは言えませんけどね」

「最悪ね。本当だった分けね。でもでも、冬眞は違うよ。だって、結婚してくれているし」

冬眞はそれを聞いて、笑う。

「何か、もっと、手を出されたいみたいですね」

慌てて、廉夏は顔の前で手を振る。

「ち、違うよ」

「これが片付いたらね。考えておきます。でも、あの人、確か今、恐妻家の奥さんがいますよね?」

「そう、5年前に結婚したからね。相手に、それも押し切られるまま。だから、でしょうね。どこか、別のところに休める場所を求めた。それが、生徒とは分からないよね」

「教師になった以上、そう言った気持ちは蓋をしないとね」

「人って、複数の人を愛することって、できるのかな?」

「相手によって、求める物が違えば、それも可能かと思いますが」

「私には、分からん」

廉夏は怒ったように言う。

「さて、どうしますか?」

「もう、来ているはずよ」

それで、廉夏がもう呼び出していたことが分かる。

それに、冬眞は苦笑いする。

「手際が良いことで」

「当たり前よ。だって、やるからには、抜かりなくやらなきゃ。だから、廉兄にも警察呼ぶよう頼んだし、来る際には静にって来てって頼んだし。準備はOKよ。行きましょう」

「すごく準備のよろしいことで」

感心する冬眞。

「だって、この戦いには、負けという言葉は存在しないもの」

そう言って、廉夏は待ち合わせ場所となっている公園の中にいく。

「お~、京極なんだ?」

ポロシャツでラフな格好できた芳賀に廉夏はニッコリ笑って言う。

「良くこれましたね、ここに?」

「何だ?」

「だって、ここで、凜を殺ったんでしょう? 先生以外と、神経ぶっといんじゃない。誉めてあげる」

「な、何を言ってるんだ、京極?」

「先生、駄目なんだよ。警察呼んで、あの喫茶店の筆跡鑑定頼んでるよ、もう。あの、喫茶店でのやりとりが証拠になるよ。でも、どうして?」

「あいつが……凜が妊娠したって言うから。俺には妻も子もいる」

「そんなの理由にするな。それは使っちゃいけない理由だよ。反則だよ」

廉夏は叫ぶように言う。

「廉夏」

冬眞が廉夏の頭を、自分の胸に押しつける。

「芳賀先生、凜は妊娠なんてしてなかったよ。ただ、先生を試しただけ。騙すなら、最後まで騙しきりなさいよ。それができないなら、浮気なんてやるな」

廉夏は泣き叫ぶ。

冬眞は、抱きしめる。

「芳賀先生、僕は先生の教え方が大好きでした。それだけに、こんなことになり残念です」

芳賀は冬眞の言葉に泣き崩れる。

「凜すまない。ほんとうにすまない」

そう言って、泣き出す。

そこに丁度、警察が来て、彼を連行して行った。

廉夏は、芳賀がいなくなると、泣き崩れた。

冬眞は泣いている廉夏に言う。

「死する者は、生きている者の思いの中でしか、生きられない。だから、忘れないいてあげることです。それが、生者に出来る唯一のことです」

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