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新青天の霹靂  作者: まめ
第二章 オープン記念パーティーで
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青天の霹靂30(解決)

パーティー会場で冬眞は言った。

「もう、終わりにしませんか?」

「えっ、何を?」

「隠しても無駄です。あなたは、一ノ瀬良。春男と美佳夫婦の子だと言うことは、調べが付いています。計画があまりにも杜撰で、あなただけが生き残ってしまった」

「本当に杜撰も杜撰でしたよ。やる前に下調べは念入りにしとけと、僕の勉強になりました」

「まさか、お前」

「あなたは名前を変えたら気付きもしなかった

。こんなものかと、悔しい気持ちと、やるせない思いでいっぱいになりましたよ」

目線を冬眞に戻し聞く

「僕には、リルカさんのとき、皆さんがアリバイ承認ですが、どうやったんですか?」

「そうだよ。私だって承認するよ」

廉夏が言う。

「う~ん、廉夏なら、どうルリカさんを魔の手にかけますか?」

逆に冬眞に聞かれ、廉夏は考える。

「どうやるって?」

「自分を疑っている人間に、毒をどう飲ませるかですよ」

「私なら、どちらにも毒を入れるわ」

「そうでしょ? でも、それだとルリカさんも毒を飲むことになりますよ。そうしないためには?」

そう言われて廉夏は、ハッとする。

「そっか。解毒薬の方に毒を入れたのね」

「正解です」

「すると、富山さんが・・・」

「そうですね」

「でも、解毒薬を飲むタイミングを合わせなきゃ、この計画は上手くいかなくないわ」

「廉夏なら、どうやってそれを合わせますか?」

「解毒薬は毒を飲む直前に飲まなきゃ効かないとでも言っておくかな」

「たぶん、正解です。でも、ルリカさんが廉夏を殺すことをやめていたら、この殺人は防げた」

「ええ。防げたって?」

「彼女が廉夏を殺すことを思い止まれば、今回の事件はそもそも、起きませんでした。富山さん、あなたは非情になれなかった。だから、ルリカさんにも助かる道を残した。けれど、彼女はそれに、気付きもせず、引き金を引いた。引き金が自分に向いていることすらも知らずにね。だから、僕は自業自得と言ったんです」

「ある意味、本当に自業自得ってことね。でも、人ってそんなものかもしれないわね。自分は誰かの命を狙うのに、狙われるとは思いもしない。そう言えば、多分、金を貸した人に穂波ちゃんなら、利息分は返していたと思うよ」

廉夏がそう言うと、二人とも頷く。

「そうだな。あの子なら父親が奪った金を持ち主に返しそうだ」

「ね、そう思うでしょう?」

ニッコリ笑って廉夏は、言う。

その時、廉のスマホが鳴った。

すぐに出ると、2、3言葉を交わしスマホを切る。

「間宮さん、お慶び下さい。今をもってあなたは会長職を解任されました」

「嘘だ、嘘だ」

「後任には、あなたの娘さんが就かれましたよ。京極もこれからは、何かと便宜を図らせて頂く所存にございます」

そう言った時、日向のスマホも鳴った。

そして、こちらはウンウンと頷いてスマホを切る。

「あんたの悪行が出るわ出るわ。たぶん、一生刑務所から、出られんわ」

「そんな」

ガックリと膝が崩れる。

蹲った間宮を警官二名が連れていく。

そして、富山が静かな声で言った。

「穂波様が園児の時にお金、園児には大金だと思われる50円で200枚も持って謝りに来てくれたんです。しかも、住んでいる場所も変わってたのに、調べて運んでくれた。重かったと思いますよ。だけど、それを気遣う余裕が当時の私にはまだなく、両親の遺体を前にしたばかりで、穂波様にすごく酷い言葉をぶつけてしまいましたが、その間涙を一杯ためながら必死に溢さないよう堪えるんですから、あれにはやられました」

「やっぱり、流石だね穂波ちゃんは」

「ええ」

そう言ってニッコリ笑う。

「その時が私の望みが変わった瞬間でした」

「何に?」

「穂波様を間宮家の当主にすることに」

「だったら、時間をかけて、やれば良いじゃない。何もルリカを殺さなくっても」

「リルカ様を思うと可哀想なことをしました。あの人に、きちんと私は教えてあげたかった」

「何を?」

「『人の命には差なんかない』とだろ」

廉が言うと富山は頷く。

「そうです。しかし、ルリカ様は最後まで分かろうとはしなかった。いつでも、自分本位でした。そう考えると、私も同罪かも知れませんね」

富山は寂しそうに笑う。

「そんなことない」

廉夏は叫ぶ。

「だって、穂波ちゃんを見ればわかるじゃない」

「あの方は私が教える必要などなかった。初めから命の重みを分かっていらっしゃった」

「どうしてそんな、命の重みを分かっている富山さんがどうして?」

「時間を掛けられるなら、私も教えたかった。ですが、私にはもうその時間がありませんでした。だから、私に出来るのは、次の被害者を出す前に黄泉へと送って上げることだけでした」

そう言ったかと思うとグラリと富山は倒れる。

その瞬間、廉夏は、叫ぶ。

「富山さ~ん」

富山は大量の血を吐いていた。

「言ったでしょう? 私にはもう、時間がないと」

ニッコリ笑う。

そんな富山に廉夏は、泣く。

その時に、穂波が、息を切らしてきた。

「富山、ダメ。死ぬ何て許さない。私だけに、重荷を全部背負わせるつもり、富山は支えなきゃダメよ。私が迷わないように」

泣きながら言う穂波に、富山は笑う。

「こんな死を前にしている人間に仰いますか?」

「富山がいいの。富山じゃなきゃだめなの」

訴えるように言う穂波に、富山も覚悟を決めたように言う。

「そうですね。貴女ばかりに負わせては男として立つ瀬がありませんね。冬眞君に先程言われました。では、私が戻るまでの間、穂波様頑張って下さい」

そう言って意識を失った。

「富山」

叫んだ穂波に、廉が言う。

「今なら、まだ間に合うかもしれない。京極の主治医に頼みましょう」

「お願いいたします。富山を助けてください」

泣きながら廉に頼む。

「大丈夫ですよ。口は悪いが腕は確かですから。日向運んで良いよな」

「ああ。俺が連れていく。今から救急車呼んでたら間に合わねえ」

「恩にきる。直ぐに京極の本家へ」

従業員達は一様に心配している。

穂波と富山が好きだった。

どうにか元気に戻ってきてもらいたいと言うのが、みんなの思いだ。

それが、ありありと伝わってくる。

事件も解決し、当主も捕まったことで、場はお開きとなる。

富山はその後、日向の車で京極家へ。

10時間にも及ぶ手術。

その時、手術室のドアが開く。

汗だくの老人が出てきて言う。

「もう、大丈夫じゃ。手術は成功したぞ。本当にこの家に良い手術室があってよかったわい。並の病院より、機材がそろっとる」

「それは、何よりです。先生、お疲れ様でした。何時ものように、銀行にお金を振り込んでおきます」

廉がそう言うと、大げさに驚いた振りをする。

「お前さんが払うのかい?」

「今後、間宮家は家のお得意様になりそうなので、恩は早目に売っておくべきでしょう?」

「やはり、ただじゃなかったか? お前さんらしいよ」

「ところで、私は先生にどう思われているんでしょうか?」

「良いとこ孫じゃな」

それを聞いて、二人は目を見合わせて笑い合う。

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