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新青天の霹靂  作者: まめ
第二章 オープン記念パーティーで
30/51

青天の霹靂29(復讐されて当然)

そして、原っぱには花に囲まれ眠った穂波がいた。

「穂波ん」

二人は最悪な事態を覚悟した。

「起きて下さい。穂波さん、お願いですから目を開けて下さい」

「ぅ、ううん」

切羽詰まった冬眞の声に、穂波は気怠げに目を開ける。

冬眞は、ホッとする。

それでも、穂波を揺する。

そうすると、穂波は目を覚ます。

最初の内、状況が分かってないようだった。

冬眞は聞く。

「大丈夫ですか?」

「何で、目覚めるの? 私が死ななきゃ、彼の復讐は成立しないのに。もう、彼には時間も残されていないのに」

穂波は泣きじゃくる。

「どういうことだよ、それは?」

それに、日向が慌てたように聞く。

「彼は病気なんです。もう、時間がないの。お願い私を死なせて」

「絶対、イヤだ」

冬眞はきっぱり言う。

「彼って、富山さんのことですよね?」

「・・・」

「答えないとこを見ると当たりですね。なぜ今になって、復讐を結構したんですか?」

冬眞は聞く。

「それはルリカが、廉夏さんを殺したいって言ったから」

「動機は思った通りだったな、冬眞」

「ええ、でもなぜ、彼はすぐに復讐しなかったんですか?」

「正確には分かりませんが、たぶんですけど、私たちを見て、思いとどまったんだと、思います」

「どういうことだ?」

日向は首を傾げて聞く。

「父には、父性愛などまるでなかった。彼はどうやれば、自分が儲かるかしかなかった。だから、子供も育てた。自分の有利になるとこに子供を輿入れさせるために。それを目の当たりにし、富山は私たちを可哀想に思ってくれたんだと思います。だけど、ルリカは富山に絶対言っては、ならないことを言ってしまった。廉夏さんを、殺したいだなんて、彼は1番聞きたくなかった言葉だと思います。彼の復讐心を目覚めさせるには十分だった。なのに、ルリカは言ってしまったんです。私もあの男の金で教育を受けてきたんです。彼の復讐を成功させるためにも、私は死ななくては」

「それは、違います」

冬眞が言う。

「どう?」

「僕は生きて、欲しいと思うんです。富山さんも、同じだと思うんです」

「えっ?」

「たとえ、それが両親の死の理由であったとしても、僕も廉夏に生きて欲しい。僕の両親は廉夏を庇って死にました。でも、僕は廉夏に生きて欲しい」

「えっ?」

「僕の両親も廉夏によって殺された様なものです」

「そんな、嘘でしょ?」

「いいえ、それが真実。だからこそ、廉夏には逆に生きて、地獄を見て欲しい。生きてくれないと、自分が味わった地獄は見せられないでしょう」

冬眞は地獄と言うが、それはあまりにも甘い響きで、聞くものには、地獄に行きたくさせた。

「だから、富山さんも一緒だと思うんです。富山さんも、あなたには生きて、自分と一緒に地獄を歩いて欲しかったんじゃないかな」

「そんな?」

冬眞にそう言われ、穂波は泣き出す。

「泣かないで下さい、穂波さん。さぁ、我々は生きることを諦めた王子の目を覚ましに行きましょう」

「どうやって?」

「貴方が、彼に生きろと言えば、多分良いんです」

そう言われて、穂波は何かを決意するように立ち上がる。

「いいえ、私には、やるべきことが、今、分かりました。お願いです。私が行くまで、富山をお願いします」

そして、走り出した。

冬眞は会場に戻る。

冬眞は、静かに富山を前にして言った。

「彼女は平気です。僕がもう無事保護しました。今は彼女は、己のやるべきことが分かったと言って走り出しましたよ」

それを聞くと、富山はホッとする。廉夏はビックリする。

「それって、どう言うことそ。もしかしたら、彼女は死にたかったのかもしれない」

それに、弾かれたように富山は顔を上げる。

「どういうこと?」

「彼女は自分も復讐されるべきだと思っていました。自分が死ななければ貴方の復讐は、成立しないと頑ななまでに思っていました」

「何で?」

「己も知らぬこととは言え、そう言った人たちのおこぼれに預かったから許せないそうです。貴方の復讐は、穂波さんが死ななければ、成立しないんですか?」

「いいえ」

「それを、本人にも、言ってあげて下さい」

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