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第99話 流れの外側
外は同じだった。
霧はいつも通り濃い。
街並みは変わらない。
静かながらも、人々の生活の音がある。
ユリウスは歩いていた。
目的はない。
ただ、動いている。
あの場所で足が止まった。
何も残っていない。
血もない。
痕もない。
何もなかったみたいに綺麗だった。
「……そういうもんか」
小さく言う。
でも、答えはない。
目を閉じると思い出す。
子供。
レオン。
イレーネ。
全部、そこにあった。
でも、今はない。
「選ばなかった」
呟く。
「……選べなかった、か」
言い直す。
どっちでもいい。
結果は同じだから。
少しだけ、空を見上げた。
けれど、霧で何も見えない。
「……どうするかな」
ぽつりと、誰に聞くでもなくこぼした。
そのまま、歩き出す。
いつも通り、流れるだけ。
でも、少しだけ違う。
前は、ただ通っていただけ。
今は、少しだけ、引っかかっている。
それだけ。
それだけなのに、十分だった。




