表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
やがて霧に還る  作者: いづくにか
セラフィナ編
PR
101/180

第99話 流れの外側

 外は同じだった。



 霧はいつも通り濃い。


 街並みは変わらない。


 静かながらも、人々の生活の音がある。




 ユリウスは歩いていた。


 目的はない。


 ただ、動いている。



 あの場所で足が止まった。

 


 何も残っていない。


 血もない。


 痕もない。


 何もなかったみたいに綺麗だった。



「……そういうもんか」


 小さく言う。


 でも、答えはない。



 目を閉じると思い出す。


 子供。


 レオン。


 イレーネ。


 全部、そこにあった。



 でも、今はない。



「選ばなかった」


 呟く。


「……選べなかった、か」


 言い直す。


 どっちでもいい。


 結果は同じだから。



 少しだけ、空を見上げた。


 けれど、霧で何も見えない。



「……どうするかな」


 ぽつりと、誰に聞くでもなくこぼした。


 そのまま、歩き出す。


 いつも通り、流れるだけ。


 でも、少しだけ違う。


 前は、ただ通っていただけ。


 今は、少しだけ、引っかかっている。


 それだけ。



 それだけなのに、十分だった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ