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第5章9話 閑話

むかし、むかし。

地球という惑星に、

守山謙一郎とフィン・モーガンという、

二人のおじさんが住んでいました。


一人は日本の長野に、

もう一人はオーストラリアのシドニーに。


二人は会ったことも、見たこともない、

まったくの他人同士でした。

一見すると性格も正反対で、

共通点など、どこにもなさそうに見えます。


ところがある日、

何の因果か、

二人は存在そのものごと、

きれいさっぱり入れ替わってしまいました。


謙一郎はシドニーで、

フィンは長野で、

それぞれ“自分ではない人生”を生きることを

余儀なくされます。


最初は戸惑い、悩み、

泣き言も言いながら、

それでも二人は、

少しずつ新しい環境に慣れていきました。


やがて仕事も軌道に乗り、

家庭も落ち着き、

入れ替わった先の人生で、

末長く幸せに暮らしましたとさ。


めでたし、めでたし。


――――――


……って、

そんなわけあるかっ!


謙一郎とフィンの、

あまりにも真っ当で鋭いツッコミが入る。


世界は、何も変わっていない。

相変わらず朝は来て、夜は訪れ、

人々は昨日と同じように生きている。


だが――

二人の心の在り方は、

確かに、少しずつ変わってきていた。


強さとは何か。

自信とは何か。

自分の人生を生きるとは、どういうことなのか。


その変化こそが、

このチェンジリングを元に戻すきっかけになるのか。

それとも、まったく関係のないことなのか。


それは、

神のみぞ知る――

いや、もしかしたら、

気まぐれな妖精のみぞ知るところなのかもしれない。


そして、物語は――

まだ、続いている。



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