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ベティーナ対一矢

『マジかーーーッ! 何でそうなる!? そっち系? いや、そっち系ってどっちだよ!?』


 混乱する一矢を他所にベティーナは近付いてくる。


 だらりと持った剣の先が地面をカラカラと擦る。


「この想い……受け取って下さい」


 一矢の震えが止まった。


 ベティーナと対峙し直す一矢。


 どす黒いとも言える殺気が向けられている。


 襟足がチリチリとする程の殺気が、一矢だけに。


 一矢は唾を飲み込んだ。


 だが怯えだけではないようだった。


 頬に赤みが差し、瞳の奥に何か別の光が灯っていく。


 初めて向けられる強い想いに、一矢はどこか高揚しているようにも見えた。


 一矢はしっかりと立ち、真っ直ぐにベティーナを見た。


「俺も……ベティが大好きだ!」


 その一言にベティーナの瞳は潤んだ。


「嬉しい……」


 顔の横に剣を構える。


「嬉し過ぎて……早く、殺したい」


 甘い息を吐くベティーナに一矢は微笑む。


 鋭く振り下ろされた剣を、一矢は両拳で挟み、叩き折る。


 ベティーナは残った刃で一矢の胴を薙ぎにいく。


 一矢はベティーナの懐へと一気に踏み込む。


 剣の鍔元が一矢の腹に食い込む。


 構わず一矢はそのままベティーナの腹へ膝蹴りを入れる。


「ぐっ……」


 ゆっくりと崩れ落ちるベティーナを、一矢は受け止めた。


 瞳が揺れながら一矢を捉える。それに一矢は笑って応えた。


「最高だったよ」


 その言葉にベティーナも微笑む。


「……生き……て」


 やっとそう言葉を発すると、意識を失った。


 そっと地面に横たえると、一矢は辺りを見回した。


 一番近くに居るのはあの四人組だ。


「ベティを医務室へ!」


 叫ぶと、腰を抜かしていた男が口をパクパクと開いた。


「あっ……あ、いやぁ……」


「早くッ!」


 焦れた一矢がもう一度叫ぶと、四人組は転がるように悲鳴をあげて逃げて行った。


 一矢は半ば呆れながらそれを見送った。


 再度辺りを見回す。


 先程まで静まりかえっていたが、ざわめき始めていた。


 一矢はもう一度ベティーナを見下ろす。


『悪いけど……俺は行かなきゃいけない。……でも、絶対生きて帰ってくるよ。ベティの所に』


 一矢は城へ向かって走り出した。

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