報告
冷たい石壁に背を預け、一矢とエイミーはディナの帰りを待っていた。
夜風が城壁の外を撫でていく。
「この後、どうするか決めてるの?」
「ディナの報告次第かな」
一矢は城の方を見ながら答える。
「報告聞いてどうするの?」
「そりゃあ、報告聞いて決めるよ」
「考える、じゃないのね」
一矢がエイミーを見る。
「まあ、決断力も俺の魅力だからね」
一矢は微笑むが、エイミーは笑わない。
「今の状況、分かってる?」
一矢はまた城の方へ視線を戻す。
「大丈夫。今回はエイミーの出番無いかもだから」
「私はあんたの心配してんの!」
エイミーは一矢の横顔を見詰める。
「何でそこまでするの?」
「それはハーレムを作るためだよ」
「本当に? 本当にそんなくだらないことの為に命かけてるの?」
一矢の目がいつもと違うように感じた。
どこか寂しそうで、悲しそうな。
「俺はさ」
バチッと一矢の体に電流が走る。
一矢は声にならない悲鳴を上げた。
「なにお姉様を口説いてんのよ!」
ディナが雷を纏って、一矢を見下ろしていた。
「ただいま戻りましたわ。お姉様」
「おかえり、ディナ。どうだった?」
「そうですね、部屋の中には姫の他にも人間の女が一人、窓の下にも兵士が二人立ってましたわ」
エイミーは思わず眉を寄せた。
「ずいぶん警戒されてるわね。どうするの一矢」
一矢は壁に手をついて体を支えている。
「それなら、帰って寝ようか」
「良いの? それで」
壁から手を離し、一矢は一息入れる。
「これだけ警戒されてるんなら、答えはノーだよ。王様はもう侵入させたくないし、魔族とも停戦するつもりも無さそうだ」
「間違いないの?」
「さあね。でもそうでなければここまで警戒しないと思うよ」
一矢の声には迷いがなかった。
「それで、これからどうするつもり」
「知りたい?」
一矢はニヤリと笑う。
エイミーは嫌な予感がした。




