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のんびり暮らしたい情報処理技術者、村の防衛網をアップデートしたら鉄壁の要塞都市になった件  作者: GenerativeWorks


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14/30

第14話:自動化が生んだ『世界一安全な宿場町』

フォカス男爵が持ち込んだ「記録用」の水晶球。


バザル村長が勝手にメインノードの側に置かせたそれは、一見すると淡い光を放つだけの無害な魔導具に見えた。


だが、サトウのコンソール(石板)には、裏側で実行されている「悪意あるプロセス」が赤黒いアラートとして列挙されていた。


『Critical: unauthorized root access attempt.』


『Warning: Port scanning detected in Background.』


「……やっぱりな。記録用と言いつつ、内部の術式ソースコードを丸ごとコピーしようとしてる。おまけに、こっそり管理権限を奪うための『バックドア』まで仕込んでやがる」


サトウは冷めたコーヒーを飲み干し、石板のキーを静かに叩いた。


横では、男爵が「ほっほっほ、我が領の水晶球が、この村の魔力と共鳴しておる。

素晴らしい交流ですな!」と、バザル村長と握手を交わしている。


「……勝手に共鳴シンクロしてろ。ただし、お前が見ているのは『本物のデータ』じゃないぞ」


サトウが実行したのは、「サンドボックス(仮想展開)」の構築だ。


男爵の水晶球に対し、村の「本番環境プロダクション」を見せるのではなく、本物と寸分違わぬ「偽のコピー環境」を提示したのだ。


「サトウさん、何か難しい顔をしてますね……?」


隣で不安そうに覗き込むリーナに、サトウは小さく笑った。


「いえ、ちょっとした『おもてなし』の準備ですよ。……リーナさん、今から村の門を『自動化モード』に切り替えます。誰が入ってきても、俺が設定した『ホワイトリスト』にない奴は、物理的にではなく論理的に足止めされるように」


「足止め……? 門を閉めるんですか?」


「いや、門は開けっぱなしでいい。……実行エンター


サトウが術式を確定させた瞬間。

男爵の従者が、村の外へ連絡を入れようと門に向かった。


だが、彼は門を一歩出たはずなのに、なぜか再び「村の中」へと歩き戻ってきた。


「……あれ? 今、外に出たはずだが……」


従者は首を傾げ、もう一度門をくぐる。

しかし、やはり気づくと彼は村の広場に戻っている。


リダイレクト(転送)のループ。

サトウが門に仕掛けたのは、未認証のパケット(人物)を強制的に入り口へ戻す「無限ループ処理」だった。


「な、なんだこれは!? 出られないぞ! 門の外へ行こうとすると、なぜか戻ってしまう!」


騒ぎに気づいた男爵が駆け寄る。

サトウはゆっくりと歩み寄り、コンソールを見せた。


「男爵。あなたの水晶球、さっきから『異常なトラフィック』を吐き出してますよ。村の結界がそれを『外部からの攻撃』と誤認オート・ディフェンスして、村全体を完全隔離クローズド・ネットワークモードに移行させちゃいました」


「な、なんだと……!? 早く解除しろ!」


「無理ですね。一度セキュリティが作動すると、俺にも止められません(嘘だが)。……あなたが持ち込んだその水晶球が、村の平和を乱す『ウイルス』だと判定された結果です」


男爵は顔を真っ白にして、自分の水晶球を掴み取った。


だが、その水晶球の中身は、サトウが仕掛けた「偽データ(ハニーポット)」によって上書きされ、今やただの「壊れたガラクタ」と化していた。


「……これが、自動化が生んだ『世界一安全な宿場町』の防衛システムです。許可なく情報を盗もうとする不届き者は、物理的なダメージではなく、一生『村から出られない』という論理エラーに閉じ込める。……怖いでしょう?」


サトウの冷徹な笑みに、男爵は恐怖で震え上がった。

 

結局、男爵一行はサトウに「多額のデバッグ費用」という名の手切れ金を支払い、命からがら村を後にした。


バザル村長は男爵に合わせる顔を失い、自分の屋敷に引きこもってしまった。


「……ふぅ。これでしばらくは静かになるな」


サトウは再び、誰もいない静かな広場でコーヒーを淹れ始めた。


第2章完。

村のインフラは盤石になり、外部からの「不当な介入」も撥ね退けた。

だが、サトウの石板には、去っていく男爵の馬車から放たれた、更なる高位の魔力通信の記録が残っていた。


『Log: Unauthorized Signal transmitted to "Royal Capital".』


「……次は、本格的な『公式ベンダー』の来訪か。休日が遠のくな……」

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