STORY5:秘匿
さすがにカラダまで拭くとか言われたら心がフリーズするとこだった。
自身の姿が若いとはいうが精神だけはまだおっさんのままだから
どこかで自身を律しようとブレーキがかかるような気がしているんだが。
バスローブ的なものを羽織って自室へ戻ることにした・・・
Xデーが7年後とは限らないからホントはすぐにでも実行したいが、何も考えずに今のままだとなにもできないままだ。
明日から本格的に短期間でもいい、剣をちゃんと扱えるようになりたい。
自室へ戻り、ベッドに座って考える・・・
最悪最初にやらないといけないことをする
剣を振る、エルナーシアとしばらく会わない。
自身のためであり、周りのためでもある。
考え事をしたり 日記を付けたりして夜も深まっていくところ
急にノックが3回
誰だろうか?よくわからんが。
コンコンコン・・・
騒がしくもないし差し入れかな?
「入って?」
ゆっくりドアが開く・・・
入ってきた人とその姿にぎょっとする。
「な・・クロエ!」
「しっ、声を抑えてくださいまし。」
差し入れか何か持ってきた?
わかっている、けどはぐらかさないとなんだかイヤな予感がする
イヤな、ではないんだがイヤな予感としておかないと・・・。
クロエを見た。
そこは普段の従者としての姿ではなく、薄着で性別をはっきりさせる。
ネグリジェのようなものを纏った姿だった。
ベッドで隣に座るクロエ。
「改めて、誕生日おめでとうございます。」
クロエはそこで18歳から10年ホープに仕えた想いを語る
幼いころのホープの話、何事にも誠実に対応して家族だけでなくメイドにも優しかった話
当時はホープがクロエを従者にしたいという要望も父に叶えてもらった話。
勉強、運動、貴族としての立ち振舞い。
ただオレはホープとして1日しか経っていない。
でも話から想像できる、このクロエという女性はメイドとして、そして従者になり、何者かになりたいのだと。
「ホープ様、今は従者のクロエとしてではなく、1人の女として・・・個人的なプレゼントを持ってまいりました。」
ま・・まて・・・この流れは・・
こんな気持ちぶつけてきて ずるすぎるだろ・・・。
「このクロエ自身を、受け止めてもらえませんか?旦那様や奥様にはナイショですが・・。」
まっすぐクロエを見た、堂々としているも表情こそは恋する人そのもの。
オレは、ホープであってホープじゃない。
だからこの気持ちに対するものを断るのも無神経すぎるし
かといって自身の気持ちがそこまであるかというと・・・失礼なきがする。
でもこの場は、傷つけたくはない。
応えてしまったらどうなってしまうのか。
また・・流されてしまうのか。
しかもクロエが好いているのはオレじゃない、もともとのホープなんだから。
でも姿こそはそのものだから断ったら、傷つくんだろう。
逃げ場はなかった。
クロエの耳元でボソっと言った
「ナイショ・・だからな?」
クロエの喉がなった、しっかりとした口調で答えた。
「できるならば墓まで、持っていくつもりです・・・。」
そう決めたクロエの顔が近づいてきて・・・
オレの唇を貪欲に奪いにきて重なる。
オレの肩を掴んで倒れ込んで【欲望】という海に沈んだ。
ドア越しに気配がする気がしたが、気にしないことにした。
その日は「クロエにとっての【記念日】になってしまった。」
不本意だと思うも、結局納得してしまっている自分に胸を痛めた。
秘匿された恋人・・・。
空が明るくなっていったその光が目に刺さる。
薄く目を開けたオレは、余韻を残しつつも朝を迎える。
隣にはもうクロエはいなかった。
そりゃそうか、バレたら大変だしな。
しかもごっそりシーツなどが剥がされていた
ちゃっかりしてんな・・・。
こういうしっかりしたところがクロエらしいというか・・・。
ノックが3回なる。
「おはようございます、ホープ様。」
ドアが開く・・ギィと。
「ゆっくり休めましたでしょうか?」
いつもの口調で冷静だったが顔を見ると少し赤い。
オレはちょっとイジワルをしてしまう。
「ゆっくり?クロエはどうだった?」
地雷だった、そう地雷をばらまいたつもりだった。
「とても、素晴らしかったです、わたくしが教えなかったことまで知っていたのは、独学でしょうか?」
コホンと咳払いをするクロエ
経験値の問題だろう・・・
「とても満足しました。」
ぶっ!!!
「そ・・そう?それはよかった・・。」
だめだ、この人には通じないらしい、クロエはそれをみてクスクス笑う。
【オレ】に対しては初めてだ、その笑い。
「お召し物はこちらです、お召し替えください」
今日は普通の装飾と軽い制服のような服装だった。
肩には家紋のようなものが付いている。
こんなん外で着たら狙われたりしないもんなのかね。
朝食につくのだが、アドーの様子が少しおかしい。
「お、お兄様!」
「どうしたの?体調でも悪いの?」
アドーは慌てて首をブンブンと振る。
「な、なんでもありません!!」
急にどうしたんだろうか・・まさかな・・。
クロエは真っ赤になって俯いてるし・・困るんだが、平静を装ってくれないと・・・。
寿命が縮まるだろうがw
母が定位置で待機してるクロエに話す。
「あら、クロエ・・・肌つやつやしてない?」
オレは思わず吹き出しそうになったが、堪えた。
あっぶな、反応するな・・・反応するな・・・。
頬をほんのり赤らめ冷静に対応するクロエ。
「昨晩はとてもよく眠れたものですから・・・。」
父はそこで続けるように褒める
「クロエは我が家自慢の元メイド長でホープの従者だからな、そうでなくては。」
そんなクロエだが、頬の色はそのままに普段の振る舞いで
「身に余る光栄でございます。」
なんだか見透かされてそうでいやだな・・・。
食事も済んで、まずしようと思ったことは
剣を振れるように基礎体力を鍛えようと思う。
まずは走り込むことと、剣を少しでも多く素振りでもして振り回せるようにしたい。
あとは柔軟で強い体幹だ。
そう決めたオレは外でまずはルミネス邸周辺の門より内側を周回することにしたんだ・・・
そのあとにまずは10回でも剣を振る、最初は振るだけでいい・・・。
はぁ、はぁ、息が切れる。
転生前も20代の頃は力仕事をするために週に4回くらいは仕事のあとにスポーツジムに通って運動したもんだが、命がかかってるこの世界でのやりとりに甘さは通じないだろう。
果てのない鍛錬をしていかないといけない、目標は高ければ高いほど。
限りはないが段階的に・・だ。
持久走は苦手なんだがこのカラダはどうなんだろうか?
心臓の強さはどうなんだろうか?
この思考は気を紛らわせるのには良かった。
走るだけの時間に しながら にするための意識の逸らしは大事だからだ。
数周したあとに5分ほどのインターバル、今度は剣を振る。
ルミナイトセイバーと同じような重量の金属剣だ。
刃は1mあるかないかではあるものの、間違えると自身を刻んでしまいそうだな。
するとクロエがその姿を見ていてなにか首をかしげている。
「ホープ様、修練をサボっていますか?なまっていませんか?」
ゲっやっぱりホンモノはこの時期から扱えたんだろうか?
なんとかこれを誤魔化す手段を考えねば。
クロエも多少は剣が使えるのだろうか?
「クロエ、剣についてわかることを教えてくれ。」
「剣・・ですか?はぁ。」
なんかリアクションがおかしいぞ・・?これはやらかしたか??
「いいでしょう、貸していただけますか?」
????
従者ってんだから護衛できるとかそういうのか??エセファンタジー知識のような勘繰りで剣をクロエに手渡す。
戦うメイドさんシリーズなんてよくあることじゃないか。こういうとこだけ妙に中世モチーフのゲーム臭がすんだよな・・・
でもこれはみんな現実の人間だ。
あの肌の感触・・・ウソではない。
「ふっ!!!はっ!!」
ブンブンと振り回してゲームのような手さばきで鮮やかだ
息一つ乱さずに鞘に納める
「いかがでしょうか?」
目を光らせて閃いたアドリブを思いついたんだ。
「クロエ・・・実はな。」
耳元でねっとりとした声でお願いする
「お前に剣をもう1度教わりたいんだが、ダメか?」
妙に顔を赤らめていく、耳までも。
「あの・・そのような声色は・・・」
あ、しまった!オレきっしょ!! オレはシチュ酔いしたのかアホなことをした。
ネトゲ間で仲良くなった女性フレンドとの寝落ち通話のときのような・・
親密になると調子に乗るのがオレの悪いクセなんだ・・自重しよう。
咳払いをコホン、と。
「わかりました、なまった腕前を元にもどせるよう協力致します。」
なんだか自分の癖なのかクソきっしょいのはわかっていてもなぜ始まってしまうのかというのは自身でずっと抑えてきたせいもあってこういうのが自己嫌悪になるんだろうな・・・。
真剣に教わろう、自身のためであり今後の周囲にも関わるかもしれない。
マジメに教えてくれるクロエの気持ちにもちゃんと示さねば。
教えてもらう口実とはいえもうちょいマシな頼み方あっただろうと、後悔しているのだ。
そういってオレは剣の素振りをしては、クロエに指摘されながらフォームを直したりしていくが、どうしてもすぐには身につかない
筋力や基礎体力のせいもあるだろうが。
毎日お願いすることになりそうだ。
アドーが大声で呼ぶ
「お兄様!!」
ダダダと駆けつけて飛びつく
ドン! 強い衝撃 「ぬぉっ!!!」
オレは姿勢を崩してよろける・・。
「お兄様、たるんでますわ、今のでよろけるなんて!」
飛びつかれた瞬間なんかクロエの表情が一瞬歪んだような気がする。
「アドー様、今は訓練しておりますゆえあまりお戯れをなさらぬよう。ホープ様は真剣でございます」
アドーは口をぶーっと尖らせて
「お兄様が少しもろいきがしますの。クロエは変だと思わないんですの?」
たしかにアドーはなんか強いな、体幹がしっかりしてるというか・・・。
アドーは指さした先には訓練用のダミーターゲット。
「ちょっとみててくださいまし。」
アドーは前方に手のひらを掲げて光を集めている、小さな光の玉が収束している。
「はぁーーーーーっ!!」
手からレーザーのような波動がターゲットに向かって飛ぶ
その光は眩しく、まっすぐ見てられないほどの輝きだ。
ターゲットが破砕されて弾け飛ぶと同時に貫通していき・・ルミネス邸の一部を破壊した
ドゴォォン!!! パラパラ・・・。
「あ・・・・」
アドーはしまったといった表情で見ている。
「アドー様!!また!!」
クロエの注意はメイドだけに限らないようだった。
「ごめーん!!!ホント、ね、わざとじゃないっ!」
イヤイヤブンブンとリアクション。
「お兄様だってこれくらい本来はできますのよ?」
アドーはいかにもおかしいといった感じでみているが・・・
「実は、オレ・・・記憶を一部失ってしまったんだ。
戦い方がわからない。」
でた、ご都合のように言い訳するオレの希望的観測の言い逃れ。
本来ならこんなん偽物疑われたりするだろう。
だが、まだ今は正直な事をいうよりまだマシだ。
アドーとクロエは両者顔を見合わせて揃ってこっちを見た
「お兄様の優しさはホントのもの、変わらず。」
「ホープ様はほどほどおかしいこともありますが・・その優しさと思いやりは偽りナシですわね。」
申し訳なさそうにオレはくの字にカラダを曲げた。
クロエはやんわりと微笑みながら
「仕方ありませんね、厳しくいきますよ?お覚悟を。」
アドーは無邪気な感じで続く
「わたしも協力しますわ、楽しそう!!」
正直冷や汗ものだ。
ホントはもっと追求されたりするもんなんだろうけど
優しいとこだけは共通しててそれが証明になるとは皮肉だった。
このご都合がどこまでこれから通じるのか・・運がいいだけだ。
オレの知りうる【ホンモノのホープ】を模倣するために
真剣にやっていかないといずれはバレる、いや?
もうバレているのかもしれない・・・
この世界でオレが偽りの存在だとバレたとき
幸福には・・なれない・・だろうな。
このおっさんはスケベのくせして肝心なとき確実なものがないとこうなるんです
めんどくさいおっさんですよねww
しかもハーレムを好まないくせにみんなよければ囲うのが平気だと思ってるんですよ実は。
そんなことは稀有だと思うけど。
日本には一応事実婚で3人くらい嫁がいる人いましたよね???




