STORY25:痕跡③ー続闘ー
ポータルを抜けた先には、禍々しい世界があり、奥に祭壇のようなものがあった。
ポータルの抜けたポイントは決まっており、続いてあとに続いた連中が出てきた。
「あたたたた・・・なによ!これは!!」
エルがちょっとふんすふんすと怒っている。
隣にアドーが突っ伏している。
「ひざ擦りむいちゃったぁ~・・・」
オレはそれをすかさず近づいて、アドーが自身で治癒する前に
【清淨なる光の加護】で治癒する。
緑と白の淡い光が目に刺さる・・・
「お兄様!ありがと!」
目をキラキラするアドー。
治癒してくれたという気遣いが嬉しかったらしい。
クロエが出てくる・・が??
「なんか・・つっかえています・・・強い力で押さないでください・・・」
目の保養・・・?!!
ドサっと抜けて倒れてきた。
気づけばエルが耳を引っ張ってくる
「あだだだだだだっ!!なにすんだ!!」
エルはむっすーーっとした顔で鼻がひくひくひく。
「今!やらしい目で見たでしょ!あたしにしなさいよ!!」
なにいってんだ??!!照れくさい。
続いてクリスが出てくる。
「ほう、こんなところがあるとはな?気づかなかったぞ。」
小屋が途中に何箇所もあるが、そこから小型の魔物が飛び出してくる・・・
「こいつらがポータルを抜けてくるのか?」
クリスが注意喚起した
「油断するな!来るぞ!!」
小型の魔物に対応する
黒弾を連打するクリス。
力強いエルの斬撃で前にでていく。
アドーは強化と光弾で殲滅していく。
クロエはまるで料理をするように斬り刻んでいく。
いかんせん数が多い、オレもルミナイトセイバーで流れるように斬りながら、祭壇を目指す。
「あの祭壇気になる、アレを目指すぞ!」
なんとなくこの程度の魔物の処理方法はわかってきた。
「あまり魔法は使いたくないんですが・・・」
クロエが躊躇するも手をかざす
「炎の精霊の加護にて、憎悪の如く燃やし尽くせ!!インフェルノ・レイ!!」
ドゴォォォォォン!!!
小屋に炎の波動を撃つ。
小屋は爆音と共に燃え盛っている。
「クロエ??」
アドーは口をあんぐりとあけた。
「アークディザスターと同ランクの魔法を・・」
詠唱時間も短いのにアッサリ使うこと。
これには驚く。
クリスは小屋が吹き飛んだのを見て
「ただの人ではないようだな・・・。」
負けないと言わんばかりにアドーも言葉を乗せている
「清淨なる光の波動よ・・」
クロエ、クリス、エル、オレ。
4人は祭壇を目指すに目の前の魔物を斬り倒していく。
1匹、2匹、3匹・・・。
「悪しき者を全て無に返す束になれ!アークディザスター!!!」
詠唱が完了して、今度は燃えているのと反対の小屋に向ける
ボゴォォォォン!!!
激しく破片が散り、雨のように破片が降ってきた。
「あぶねぇ、加減しろよアドー!!」
クロエに対抗したのだろう。
周囲に気をつけないと味方を巻き込みかねないのだぞ。
「今競い合ってる場合じゃない、周囲の味方を巻き込むな!いいな!」
危うく、刺さるとこだったぞ。
「うん、気をつける。」
アドーは目を鋭くして口を結んだ。
大体殲滅したので全員祭壇へ向かっていく・・・。
祭壇の真ん中に佇む魔物・・・禍々しい雰囲気と瘴気に覆われている。
走ってきたので周囲を見たらアドーは少し肩で息をしていたり
エルからため息が聞こえたりしている。
その魔物から、言葉を聞いた。
「愚かな人間たちよ、我を滅ぼすというか・・?」
こいつ・・雰囲気や瘴気が只者ではない、ダークグルなんかよりも全然・・。
いきなり鎌を後ろに引いて勢いを付けた。
「しゃがめ!!」
オレは察して鎌を警戒した。
ブン!!!といった音と共に、空間を斬るような勢いがあった。
オレらの頭の上をかすめて数本髪の毛が舞った。
「ほう・・・今のを避けるというのか。偶然にしてはやるものだ。」
姿は血のように赤く、翼は横に大きく広がっており、長い尻尾は矢のように先端が鋭く、目が3つ。
ツノは後方へ長く伸びていた。
コイツは【デミサタン】
魔王族:即死属性無効。
あとは強力な魔法や鎌による物理技で威力も強い。
こんなやつがこんなとこにいるとは・・・
生存重視だ、チームで力をあわせるしかない。
「いいか、こいつは只者じゃない、雰囲気でわかる!連携を意識して決してワンマンでやらないことだ、ムリだとおもったら撤退も検討してくれ。」
これは・・失敗をしないための判断だが、万一ってのがある。
軽く振りかぶるデミサタン。
「滅せよ!」
振り抜いた鎌が回転して飛ぶ!
回転する鎌はアドーに向かっていく、コイツ考えてるな?!
「光の大盾!!」
ガガッ!!!パリィン!!
シールドは鎌を弾いたが1撃で割れた
「うそ・・・」
威力は今までの中では最高のようだった、気を抜くと一瞬で絶命するぞ。
3方向、左からクロエ、クリス、エルと同時に攻める。
「はぁぁぁぁぁ!!」
「つぁぁぁぁあぁあっ!!」
「でぇぇぇぇぇい!!!」
各々の掛け声が響く中、付近に駆け寄る!!
「月の祝福にて、強い加護を!ルナエクステント!!」
アドーは範囲でルナブレスを掛けている。
デミサタンは、3人の攻撃を長い爪でいなしている。
キィン! ガギィィン!!
「フハハ、効かぬわ!」
その合間の出来事。
「あぶねぇ?!」
オレは折り返してきた鎌がアドーの背後に迫っていたのを見た。
即座に金属剣の方を抜いて振り抜いた。
「くっ!!」
ギャリィン!!
弾いたとしても軌道を大きく変えずにデミサタンの手に戻っていく。
「お兄様・・・ありがとう。」
ほんの少しだがアドーの頭にそっと手を置いた。
「油断・・するなよ?一瞬心臓止まりかけた。」
それを聞いたアドーはほんの少し顔を赤くして前に向きなおる。
オレは万一アドーの身を案じて少し位置を考えている。
少し離れすぎててオレの立ち位置が陣形的に死んでいるのではないかと思っている。
クロエがデミサタンの右腕、エルが左腕を塞いでいる。
鍔迫り合いのようになっているところ、クリスが真上に振りかぶる。
「とったぁ!!!!」
しかしデミサタンが不敵な笑みを漏らす
「ぬるい!!」
目からでた光線がクリスの肩を撃ち抜いたのだ。
「ぐはぁぁぁぁっ!!」
カラァン!
激しい痛みで反対の手で肩を押さえながら激しく転げ回る。
「うぐぁぁぁぁっ!!」
「人間の概念でものを見ている、だからぬるいといっている。」
そうだった、魔物は人間と同じような手と足はあれど、多様な攻撃手段がある。それを考慮しないものがおごりとなるのだ。
「クロエ、代わってくれ!オレが入る!クリスをアドーに!」
オレの治癒能力では傷が塞がらない、だからアドーを守ってもらうのと、クリスの傷を癒してもらわないとジリ貧だ。
クロエはクリスを抱えてひきずってアドーのほうへ連れて行く。
その間も痛みで暴れて引張りづらそうだった。
金属剣を鞘にしまい、ルミナイトセイバーを抜いた。
「被弾は絶対できない・・・な。」
ルミナイトセイバーを構えたまま駆けつける。
「コイッツ・・・馬鹿力ね・・・!!」
いや、張り合っているエルも実は強いのでは・・?
「アドー様、多少手間をおかけしますが、よろしくお願いします。」
クリスを引き渡した、相変わらず苦しそうな声をあげている。
「エル、もう1度やるぞ!」
「え??なにを??」
オレは考えたんだ。
「オレが右腕、エルは左腕を封じてくれ。あとはクロエ・・信じてる。」
クロエはコクリと頷いた。
「ドラァァ!!」
剣を弾こうと手を出したデミサタン、しかし・・
スカっと爪の判定を抜け、デミサタンの右腕をなんと落としてしまった。
激しく血が飛ぶ!
「なんだとぉぉぉぉ!!!」
続けてエルが振り下ろす
「喰らいなさいよ!!!」
少しだけ怒っているデミサタン。
「愚かなやつめ、ムダだといっている。」
ガキィィン!!
クリスの再現になるが今度は腕もない、だがここで・・・。
「クロエ!!頼む!!」
静かに頷いてふともものホルダーに入った短剣に炎魔法を込めて2本投げた
精度の高い軌道で飛ぶその先は・・・。
そしてオレは剣を大きく振りかぶってクリスの再現をする。
「ぬぉぉぉぉぉぉっ!!!」
デミサタンはまた笑みを浮かべた
「愚かな、同じ手を!」
確証はなかったが、光線はもしかすると・・・
オレはルミナイトセイバーを意図して刃を横に向けて広いほうを見せたまま眼前で止める。
光線はオレの方へ向くが、なんと、ルミナイトセイバーが光を吸っている。
まさかと思うこと、これか!!
メタであるゲージの溜め方とはこの類だったのだ。
ルミナイトセイバーが輝きを増していくとき
ちょうどクロエの投げた短剣が2本、オレを狙っている目からの光線を塞ぐように2つの目左右に1本ずつズブリとめり込んだ。
光線は止まり、両目から血しぶきがブシュゥと飛ぶ
「な・・・なんだとぉぉぉぉぉぉお!!!人間風情がなぜ・・!!」
オレは必殺技のようにルミナイトセイバーを縦に向け直して振り下ろす。
「散れ!ルミナイトブレイカー!!!!」
激しい光を纏った光の軌道はデミサタンを縦真っ2つに裂いた。
「まさか・・・まさかぁぁぁぁぁ!!!ばかなぁぁあ!!!死ぬ・・??」
霧散しながら最後は断末魔をあげる
「恨めしく思うぞ・・・人間よ・・・にん・・・げ・・・」
霧散して跡形もなく消え去っていった。
正直毎回こんなんじゃ体がもたんな・・。
しかし収穫もあった、賭けであったがカンと以前の体験は貴重なものだった。
ダークグルの闇のレーザー。
あれは実体じゃなくても防げた、多分クロエは今回は賭けに乗ったのだ。
投げるタイミングが絶妙すぎた、おそらくもっと早く短剣を投げる事はできたんだと思う。
ただ、クロエも実際ヒヤヒヤしただろう。
もし失敗してオレの体が撃ち抜かれたら、一生悔やむくらいはするだろうな。
怖いのは都合よく実体と使い分けられないことだ。
なので金属剣は正解だろう。
正直鎌を防ぐのにルミナイトセイバーで防ごうとしたら抜けてアドーが真っ2つだなんて想像したくない。
意図して使い分けることができない以上は金属剣のほうにもこだわりが必要だな。
アドーがかなり集中してクリスを治癒している
「傷は塞がってきたけど、相当痛かったみたいで気絶しちゃった・・。」
クリスの気絶している顔を見た・・・
こいつ・・端正な顔立ちしてる、しかも中性的・・
オレには無縁な話なのだが性別は気になる。
よせ、オレはそこまでの権利はない。
クリスの肩の部分を治癒しているので少し衣服を緩めている・・
なんか鎖骨も綺麗だ・・・
あとなんかよくみるとゴツゴツしていない・・・
察したが、オレはこれ以上知ろうとは思わない。
なぜなら・・・
エルが後ろからオレを抱きしめてくるからだ・・
「ねぇ・・。」
不安にさせてしまっている。
前に回っている手を強く握りしめて安心させる。
「ん・・・」
後ろから安堵の息が漏れているのが伝わる。
「今回も無事で・・よかったな・・。」
だれ1人死者をこのメンバーで出さなかった。
オレはため息をつきつつ
「解決・・ってことでいいのかこれは。」
クロエは頷いて
「そうだと・・・思います。」
アドーも座り込んで膝にクリスの頭をのせたまま
「うん・・・クリスさんがちょっと心配だけどね。」
エルは言葉の代わりにオレとの繋がった手に力が入った。
クリスは穏やかな表情で目を閉じたまま呼吸している。
1人即席でメンバーが増えた、だが無事だ。
幸福に・・なれるのだろうか?




