STORY21:王都へ⑤ー結論ー
印象的な事件だったと思う。
ただエルを失うかもしれないと思った。
王から詫び品として魔導機関自動車を1台頂いたのだった。
これで移動も楽だが、操作ってこれ自動車と同じなのか?あとこの王都はあらかじめ通る想定なので駐車スペースもあるようだった。
本日はもうここから出発は厳しいだろう。
なので1泊することになった。
そしてその晩は豪華な食事と久しぶりの安らぎで満足した・・のだが。
宿、ここは王都の宿だけあって、レフラルドの宿とは規模が違った
これこそ宿ではなく、ホテルそのものだった。
と、いうのも食事処が宿内にあってそこで食事していた。
そして、宿のカウンターには4人もスタッフが並んでいて部屋もたくさんあったのだった。
部屋は4人で、4部屋並んで空いてるのを確認したが
まだ空きが多いらしく、以前のようにヘンな気を回すこともなさそうであった。
なので8F構成、部屋は各フロアで10部屋ある。
5Fの4部屋を取り・・・。
507:クロエ
508:アドー
509:オレ
510:エル
この部屋でこの配分にしたのには意味があった。
オレは今日・・気持ちの答えを出したい。
今度はオレからエルのほうへ出向くのだ。
オレの部屋を介することによってアドーやクロエを一回引き離す目的があった。
さすがにここまですればもう大丈夫だろう、と考えた。
各自部屋に荷物を運びそのまま部屋でいつもの思考整理だ。
なにを話そうか悩んでいる。
白紙にした話からすればいいか?
動機がいるのか要らないのか、いや、エルは論理的な思考はあるが
この要素に論理は求めないだろう。
あーーっこういうとき気の利いた話を思いつかないのは
器用になにかしようとしている悪い癖だ。
15分くらい経っただろうか?
行動と態度で示せ・・か。
言葉が思いつかないのでそうするしかない。
そばにいてほしいことも、抱きしめたいのはホントのことだから・・。
ドアの音を極力立てずに開けて閉めた。
そしてすぐ隣のエルの部屋へ尋ねる。
心臓が痛い・・・やっぱ確証がないわけでもないが
自身で気持ちを打ち明けるのはエネルギーもとい、精神力を使う。
中学のときぶりだな、この新鮮な好意ってのは。
それ以降はなにごとにも駆け引きや大人ってのを知ってしまったから。
かといってエルがこどもか?というわけでもない。
自身の価値観での18とこの世界の18はなにが違うかもわからないのだ。
どちらかというと自身がこの状態に慣れてきて18の男として引っ張られてるのか?
いや、旅を始めたときからエルとの時間の過ごした日々が気持ちを育ててきたんだろう。
部屋の前まできた・・なんかくぐもった声が聴こえる気がするが
構わずゆっくり3回ノックすることにした。
「誰?」
たしかにそうエルは言ってる。
「ホープだ。話したいことがあるんだが、開けれる?」
5秒沈黙した・・・
その後にたしかに
「開けていいよ?」といって
ガチャリ、とカギが開く。
ゆっくりドアを開いた。
エルが薄着で対応してきた。
オレは目が泳いでしまったうえに喉をならしてしまう
一瞬みたそれは
【エルは自身を慰めていた】のか?
言葉に詰まったオレは、緊張のあまり
「どういうことだ・・?」と問うが
エルは真っ赤になって俯くも蚊のなくような声で
「ホープのこと・・考えてた。」
雨に打たれた子犬のような目でこっちを見てくる。
察してしまった。
オレはこんなことをきいたら言葉は必要ないと思った。
「そういうことで・・・いいんだよな?」
確認はする、許可を得たい、それだけだった。
オレは声がちゃんとでるかわからないほどに枯れそうになってた。
手汗もかいている。
軽くため息を吐いて、エルの目を真っ直ぐに見た。
エルは目を潤ませながら手をギリっと握って、震えている。
「大事に・・しなさいよ・・。」
そんなの、わかっている。それでも不安なのだろうか?
エルはオレの手を引いてゆっくりベッドへとグイグイ手を引っ張る。
招かれるままに従う。
そしてエル自身がベッドに仰向けに倒れ込んだまま、その手でオレを引き入れて一緒に倒れる。
オレは押しつぶさないよう膝で体を支える。
そして不安にさせないように放つ言葉は
「目を、瞑ってくれ。」
すると即座に目をギュッと瞑る
震えていて、なお手はシーツを強く掴んでいる。
体全体がブルブル震えていて、それを見たオレはどうやって安心させられるかと、なんせこういう反応する人は転生前にはあったことがないからだ。
そして極力デリケートに前回のように触れるか触れないかの絶妙な唇の距離。
「ん・・・・。」
この瞬間さらにエルはシーツを強く掴んで引っ張る。
少し声が漏れるが、結構長い秒数繋がっていた。
離れるとエルは大量の空気を求めて
「ぷぁっ・・・」
肩で息をしている。
金色の目が少しとろんとしてきて
「もう1回・・・。」
オレはこのリクエストに喜び、応えるのだ。
今度は唇をもっと強めに重ねてみる。
「んぅ・・・。」強めの声がでた。
今度はその目をちゃんと開いて目で通じあっている。
オレはエルのシーツを掴む手を両方剥がして自身の指と組み付けた。
「エル・・オレはお前を・・愛してる。」
それに応えるように組みついている指に強く力が入り
「あたしも・・愛してるわ・・ホープ。」
あの日、婚約を白紙に戻そうとして、エルに机を叩かれた。
あの馬車から始まった時間が、今ここにつながっている。
オレは、理解した。
ようやく自分の気持ちにたどり着いたのだ。
祝福するのはうっすらと綺麗なスタンドライトと外の窓の月光だけだった。
光が目に刺さる時間・・・
隣に一糸まとわぬ姿でブランケットにくるまっているエルがいた。
「うーーーー。」
目を覚ましたエルが伸びをした。
そしてこっちを見た・・
「あう・・・・。」
赤面している・・・。
「なななな・・!?」
余韻が戻ってきたらしい。
「朝からなにしてくれてんのよ!!!」
バシィ!!
「ぐぇ!!!」
オレは謎のツッコミをもらった・・・。
答えはなにかをみたエルとオレだけのナイショだぞ?!
そしてオレも謎の言葉を放つのだ。
「朝の生理現象にいちいち怒ってたらキリがないんだぞ?」
呆れつつもツッコむ。
更にシーツ周りをみたエルの反応が・・・
「わきゃーーーー!!な、な、なに?!!」
昨晩の痕跡。
シーツは、2人が絵の具を重ねるように描き上げた、愛の共同作品のキャンバスとなっていた。
もうおどろかねぇぞ。
「仕方ないだろう?なるべくしてそうなったんだから。」
やれやれのポーズで余裕を見せた。
「そういう問題じゃない!!恥ずかしいからどっかにそれよけなさいよ!!」
エルが激しく抗議した。
「うるせーーーーー!!昨晩のお前の顔思い出せーーー!!!」
オレまで赤面してきてしまった。
「うるっさいわね!!!その口なんとかしなさい!!」
オレの口の端から引っ張って横に広げる
「ひゃめほーーーー!!!はなへーーー!!」
訳:やめろーーーー!!!はなせーーー!!
ただこの光景は以前より距離が縮まったきがするんだ。
なんだかこのやり取りさえも愛おしい。
着替えている最中
「アンタ・・毎日この調子だと疲れるわね・・・」
前屈みでブラを付けているエルは言い放つ。
「あ・・・これもうクロエとアドーにバレてるわ。」
ちんたらしすぎてオレの部屋がカラッポ、挙句にこの怒声に近いやりとり。
終わった・・・・。
「アンタはアホよ、鼻の下ばっかり伸ばしてるから・・・」
そうはいってもエルはちょっと嬉しそうに見てくる。
着替えて荷物もまとまり、部屋から出る。
見回すと2人はいた。
クロエは手を後ろに組んで、アドーはつま先でリズムを取っていた。
「ホープ様、昨晩は夜這いでございますか、ほどほどにして頂かないと。」
ため息がきこえてきそうな声色だった。
「お兄様・・静かだと思ったら・・エルおねえちゃんのとこいってた??」
アドーは赤面しつつもジト目でそわそわしてる。
「すまんすまん、大事な話があってな・・」
ウソは言っていない、大事な話ではなく行為だがな。
そしてアドーがジロジロみてくるのだが・・・
「お兄様?なに?この赤いアザは。あと爪の引っかき傷と・・?歯型ぁっ??ケンカでもした??」
「いや・・ケンカ・・ではない。」
まさか、これはうっかりしたか・・夢中で気づいてなかった!!
なぜかエルが反応する。
「あーーそうそう!ホープがふざけてるから引っ掻いてやったり噛みついたのよね!!剣でぶった斬るわけにもいかないしーーーうん!」
こいつ・・アホだろ。
アドーは心配してくれる。
「お兄様のその傷は・・治癒魔法で治そうか?」
オレは首を左右に振った。
「これは・・いいんだ。」
アドーは首をかしげた。
クロエは声を低くした
「ホープ様はそういう趣味があったんですか?初めて知りました。」
おい、クロエ・・・?!
エルが追撃してくる
「ホープ!!アンタ!ヘンタイだったの??!!」
おいまて、お前だろうがやってんの!!
「消したら困るのはエルだろう?オレをヘンタイ扱いしおって!」
ホントになんなんだ朝から!!
「え・・おねえちゃんはそういう・・?」
アドーの矛先が変わった!
「よくみたらエルおねえちゃんの鎖骨のあたり・・アザあるけど、お兄様?!!手あげちゃだめでしょ!!」
なにぃ??誤解だ!!それは・・違う!!
一番リアクションがでかかったのはエルだった。
「いやーーーそれはーーーー、あの、蚊に刺された・・かも?」
クロエが即座に否定した
「それはキスマークというものです、おそらくホープ様がつけたものかと、同時にホープ様についてるそのあざもエル様のつけたものだとおもわれます。」
アドーは真っ赤になって
「え、え、え???あの、あの、キスマークって本にも載ってる例の??」
「っっっっっっっっっっ!!!」
エルが限界突破した。
「元はといえばアンタが悪ノリしたんでしょ!!なにしてくれてんの!?!」
「オレのせいにしてるけど、この癖はお前んだろ!!消さないで・・じゃねーーんだわ!!」
もう収拾つかないww
クロエは呆れていた。
「どっちもどっちですね。らちあかないんでもうチェックアウトしませんか?」
アドーがちょっとバグっている。
「きすまーく、きすまーく、きすまーく。」
おーいかえってこーい。
なんだかこのやり取りが心地いい。
たしかにこの瞬間の気持ちは少し幸せになれた気がするんだ。
クロエは少し複雑そうな表情をしたが、すぐいつもの冷静な佇まい。
アドーはちょっとクロエに対しても案じているも、決着がついたと察して安堵もしていた。
ついに! ついに!
ケンカップルになってしまう
これで立派なバカップル兼ケンカップルですねwwww




