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STORY20:王都へ④ー決闘ー

王子の姿が遠のいていく。


両手両足に力を込めて踏み出す、体が軽い。

王子が階段を1段飛ばしで駆け下りるがオレも同じように駆け下りる。


クソっ結構脚が速いな!!

ならばっ!


「まてっ!」

オレは吊られてる照明を光弾で撃ち落として障害を作り出す。


王子はつまづいたりで速度がオチた。

チャンスか!!一気に距離を詰める、先には正面の玄関口。

そこから出られたら庭か!


もうちょい・・で、追いつく!!!

玄関口を開けるのに手間をかけているぞ、いけるか!


王子が扉を開けて出る!

その直後オレは飛びついて王子もろとも転がって庭に出る。

庭の真ん中には小さい噴水があり。

長い舗装した道の先に正門・・・。


「往生際が悪いぞ!!逃がすか!大人しくしろ!!」

オレは押さえつけようとしたが

「ここで終わるわけにはいかない!!」

王子も必死で抜け出ようとした。


「ストール王太子殿下!賊が出たのですか?!」

まずいぞ・・騎士か!クソ、かまっているヒマなどないのに・・・


「待て!ストールよ!そして騎士団よ、ストールを捕らえよ!」

威厳のあるよく通る声。

ストール王子も脚をつい止めてしまった。

「父上!?」

さっきクロエが解放したといった王と王妃。

「誘導いたしましたわ。これでよろしいでしょうか?ホープ様。」


ニヤっと笑みを浮かべて

「上出来だ、クロエ。」


少し遅れてオレの上着を抱きしめているエルと、アドーが来た。


「なぜだなぜだなぜだぁ!!!完璧だったはずだろ!!」

追われてたことも忘れて地団駄を踏んでいる王子。

「そもそもなぜ王都にお前がいるんだ!!ホープ・ルミネス!!」

ごもっとも。原作ではこんなとこには来ない、死ぬしな。


「そもそもの話、王子がエルの貞操をムリに奪おうと誘拐したことが始まりなのですがね、そんなワガママ、通ると思いますか?!」

安堵したオレは冷静に話せているぞ。

エルは俯いている、クロエは呆れている、アドーは王子を睨んでいるようだ。


「儂は悲しいし恥ずかしいぞ、我が息子がそんな卑劣な手で想い人を奪おうとは・・」

王は深いため息をついている。


王妃が早足で王子へ近づく・・王子は逃げることもできず動かない。

そして・・・


乾いた激しい音が響く

パシィ!!!

「!???」


王子がふらふらとよろけた。

「母上・・・。」


「私は情けない、育て方を間違えたのですか・・?!そんなことを私は教えましたか?いえ、ダメなことを教えてこなかったからですか?」

よろけた分の歩幅を詰めて、声を震わせる王妃。


王子は唇を震わせて

「みるなよ・・・そんな目でみるなぁ!!!母上もか!!みんな私をダメ王子だって思ってる!!好きで王太子として生きているわけじゃないのに・・そんな事言うなら・・」

いうなよ・・?この先のセリフは大体予想がつく、親に言ってはいけない呪いの言葉だぞ?愛情があるほどダメージがあるアレだ。


オレは小学生のころ叱られていることで腹いせに言ったことがあるが・・・

2度と言わないと誓う程度には心が痛む、言った側よりも言われた側の気持ちが。


「私なんぞ産まなければよかったんだ!!母上は愚かだ!!」

その直後もう1度、2度!乾いた音が続いた。


「ストールは・・私のことが嫌いなのね・・ごめんなさい・・ごめんなさい・・・。」

王妃は嗚咽しながら膝から崩れた・・・

もう見ていられない・・・気持ちがわかるとこの空気が重い・・。


「ストール!!言っていい言葉と悪い言葉もわからんか!!」

王が喝を入れてくる。


「いいか、お前には王太子としての権限と立場を剥奪する!処遇は追って決める、わかったか!」

さすが王の威厳。


「お前にはジェレイアの未来は託すことができない!」

王はもうストール王子には期待できないのだろう・・・。



「・・さいよ・・」

王子が顔を上げたとき、覚悟を持った堂々とした表情で

「うるさいよ!!これもなにもかも、そこのホープ・ルミネスのせいだ!!お前がエルナーシアなどと知り合わなければ!!」

まだいうかこいつは。


「お飾りの王子になってしまったこの私が決闘を申し込む、エルナーシア侯爵令嬢をかけてな!!」

何いってんだコイツは、でもプライドがこの決闘を受けろと胸に叩き込んでくる。


「その決闘、お受けしましょう。このホープ・ルミネスが!!」


オレの視線がそのときエルに向いた。

「あたしのために・・」

エルはぎゅっとオレの上着を抱きしめている。


そのとき騎士たちは揃って剣を下に向けて見守る。


オレはルミナイトセイバーではなく、軽量で扱いやすい金属剣を抜いた。

「あくまで決闘です、命を取ることは想定していませんが・・間違ったときは・・・」

構え直し、直後に

「覚悟していただきます!!!」


王子は剣を構え握る力が強くなる。

「寝言をおおおおお!!!!!」

即座に駆け寄ってくる!!


型がないのはオレもだけど、スキだらけだ。

そしてこれが経験というものか、彼の攻撃に殺気がない。

ただ構えて走っているだけで、まるで駄々っ子が腕を振り回しているようだった。


シャリィィィン!!

振りかぶる剣を横に滑らせ流す。

その流れで回転して脇腹に蹴りを入れた

「1つ!」

ドッ!!

「ぐはぁ!」


スキがありすぎる、修練をしていないのか??


がむしゃらに振ってくる王子。

「このっこのっ!」


キィン!ガキィィン!!


素人すぎる・・・王子といえど鍛錬をするものだとおもっていたものだが

オレが少し規格外を相手していたせいか?


いや、アレはルミナイトセイバーのおかげであって数ヶ月分の経験しかないオレがこんな格差を生むとは思い難いが・・・。


「なぜだっ!なぜお前風情の身分にオレの剣が通らないんだ!!」

王子は必死に身分の話をする、そういうところだぞ。


決闘だってのに緊張感もなくなってオレはくだらなく感じた。

いじめもすきじゃないしオレはいじめられた側の気持ちがわかる。

だから決着をさっさとつけれるならつけようと思う、なぶるのはスキじゃない。


王子はバカの1つ覚えで上からしか振らない。

騎士たちは黙ってそれを見ている、動かない。


王は首を横に小さくブンブンと振っている。

王妃はずっと嗚咽しながら顔を覆っている。


アドーはあちゃーって顔して

クロエはジト目でみている。

そしてエルは上着をギュッと口と鼻まで覆うほどに抱きしめてオレを見ている。


ギャリィン!シャアリィィン!!

王子の大振りのスキをついて、スネの背後を刈るように足で払う。

「なっ!!!」


その後受け身もとらず、仰向けに、そこを眼前に剣をピタっと止める。


「勝負、アリですよ・・・王子。」


「・・・・」

王子は言葉を出さず、嗚咽して顔を腕で覆った。

「私は何にもなることができない!!うっ・・・」


王子も1人の人間なんだよな・・どこでこうなったんだろうか?

オレもこどものころそう思ったことはあった。

21で社会にでて、周りのことがわからずに仕事辞めてしばらくニートで過ごしたとき社会を恐れて、自身の無力と何にもなれない気持ちを知った。


こういうときはかける言葉もないし、自身の問題なんだろう。

オレは母親が自身の選択を信じたからいいが


この王妃は王子にどんな励まし方ができるだろうか?

余計なコトを考えてしまう。


勝利の確定したすぐに

「ホープ!!!」


いつもと雰囲気の違うエルが息を切らしながらこっちまで駆け寄ってきた

「よかった・・・勝ったわね!!」

無邪気なこどものように顔をくしゃくしゃにして。


そんな表情してるくせに・・・。

安堵と愛おしさとこの気持ちの答えを今・・・

「エル・・・。」


目を瞑っている、そうだよな。

応じるようにオレは顔を近づけて・・・優しく触れるか触れないかの程度だが・・・。


ゆっくりと唇を重ねた。

「ん・・・・」

時間が止まったようにオレのエルを支えてる手に力が入る。

エルは抱きしめていたオレの上着をパサっと落としてしまう。


これは明らかに・・オレの意思がそうさせている

流されてはいない、確証でもあった。


数十秒、何秒の間そうしていただろうか

どちらかともなくゆっくりと離れた。


肩で息をなぜかしているエルと、オレの心臓がさっきからゴングを鳴らしているようだった。

このタイトルマッチは負けたな。

顔がニヤけていた。


周りを見ると・・・


王はなぜか満足気味であり

クロエはジト目をしながら拍手しており

アドーは真っ赤にして目だけは見たまま顔の大半を覆っている。


騎士はそして忠誠のポーズに構え直している。


王妃まで笑顔になっているのだ。

王子はどうしたんだこの王妃w


「旧友の息子は立派だと、感動をしたよ。」

王の口が信じられない言葉を放った。


「父、ブレイブをご存知で?」

オレは不敬ではないか恐れながらも質問した。

「うむ、ブレイブは勇敢で人に優しさを分けている者であった。」


なんか嬉しくなった、オレは確かにホンモノのホープではないが、父の優しさは知っているし家族にも愛情があった。

「私は、父ブレイブを尊敬し、誇りに思います。」


「苦しゅうないぞ、妹にもよろしく言っておいてくれ、ロードルミネス。」


「妹・・ですか?」

疑問だった、まさか・・?


「そうだ、ディボは我が妹なのだ、ブレイブならと儂の父が認めたのだ、あり得ん話だったのだがな、ハッハッハッハ!」

王は平然と身分も抜きにしてこんな事を言っている。


「必ず、伝えます!」

無礼講のようなので不敬に当たらない程度には崩した敬語で接する。


王子が立ち上がり、こちらに寄ってきた。

「合点のいかないことばかりだが、私の負けだ。」

どういう風の吹き回しだ?こういう都合なの???


「わかってはいた、身分どうこうってのはフェアではないことも、ただ・・認めたくなかったんだ、私が勝る部分が1つもない。」

自嘲気味に語る。


「想い人も手に入らず、自身で人生を決めることもできない、わかっている、だが、ロードルミネス、貴殿に勝てるものは身分しかなかったんだ。」

うなだれている。


「私はお飾りの王子を受け入れるが、自身でまた、見つめ直して行こうと思う。悔しいが、感謝する・・・。」

なんだよ、この王子ホントはマジメなの?


「王子、その気持ちをお忘れないよう・・、きっとそれが実ります。」

オレは人生経験からの話ではあるが、転生したことは伏せてやんわりと話した。


エルはそれでも王子を親の仇のように睨みつけている、憎悪と殺意だった。

そりゃそうだ、でもエルは精神的に強い。

ちゃんとこの場で立っていられるから、未遂だとしても人が怖くなる事が多いんじゃないかと思うし。


自然とエルの腰からオレ自身へ抱き寄せていた。

「ちょっと・・人前なのに・・・」

まだ立ち直れてないな、なんかしおらしい。


この一連の騒動は王城だけで起きたので、王都の騒ぎにはならないと思ったが、エルが抗戦してたことだけは王都の中の一部では知られており

王の下す王子への処遇で王都の民は察したのである。


それはのちの話・・・。


「なんだか・・ホッとしたけど、あまり後味のいい話じゃないな。」

オレは正直ガチで焦ったんだ、オレは過呼吸なんて転生前1度もないから相当精神にきたんだろうな。

あのときのクロエの対応もすごいと思ってしまう。


この世界にも人為的な世界のせいでゲームの仕様ではないのに過呼吸という概念が認知されているってことか?


クロエが安堵しつつ困るよって感じで

「エル様、しっかりしていただかなければ困ります。取り返しがつかなくなるところでしたよ?」


エルが顔真っ赤に反論

「不可抗力でしょ!!!なんであたしなのよ!!被害者じゃない!!!」


アドーは目を潤ませている、共感してるのかも?

「おねえちゃん、大丈夫・・?」


ふん!と鼻息をならし

「ま、まぁ?これくらいなら、ホープ来るとおもってたし?!ピンチのヒロインのフリしてた・・なんてね・・!」

痩せ我慢しちゃって・・・こいつ可愛いな。


ふと目を離すとこういうことにもなりかねないってことか・・・。

心配が多すぎてノイローゼーになりそうだ。

とはいってもオレって昔からそうだったんだろうか、ピンチになればなるほど頭が冴えて、問題に対して鋭く思考する。


まだふざけれる場面は余裕があると。

オレが加害者側の車で事故ったときも冷静に示談までの流れがムダなく段取れたり。


でもできるだけならピンチは避けたいとこだな。

幸福でいられるために、そして最悪でもこのメンツだけは不幸にしたくない。

自分勝手だが、オレのキャパシティなんてそんなもんだろう。

そう思うことにしたんだ。

あまりにも因果が拡大しすぎてスケールがやばいです。

王都編はそこまで長くなかったような気もしますが、プロットはできているのであとは出力のみ!

ご愛読して頂いてるみなさまへ感謝を。

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